Phi は、Phinomenon が開発する macOS 専用の AI ブラウザです。Chromium エンジンを AppKit/SwiftUI によるネイティブ macOS アプリとして実装し、閲覧行動から学習した個人の記憶を端末内に保持しながら、信頼度に応じて段階的にエージェントへ作業を委任できる設計を特徴としています。2026年4月に公開されたばかりの新しいブラウザで、記憶管理からエージェント自動化までを一貫して提供します。
主な特徴
- ローカルファーストの Memory: 閲覧行動から自動で文脈を学習し、端末内のファイルとして保存・閲覧・編集・削除・エクスポートできます。クラウドに送信されず、モデル学習にも使われません(公式FAQ)。
- 名前付きAIアシスタント: オンボーディングで名付けたアシスタントが、選択テキストやタブ・タブグループの文脈を踏まえて質問応答や要約を行います。
- 段階的なエージェント自動化: その場で見届けるオンデマンド操作、承認後にバックグラウンドで動く Shadow Tasks、常駐アプリ「Phi Sentinel」によるスケジュール実行の3段階でAIに作業を委任できます。
- Skills システム: オープンな SKILL.md 形式でワークフローを一度教えると、以後は一文の指示で再利用できます。
- Spaces・Profiles と URL Rules: サイドバー中心のワークスペース(Spaces)と、cookie・ログインを分離する Profiles を併用し、ドメイン条件に応じて開き先を自動振り分ける URL Rules を備えています。
- Phi Link(Telegram連携): 公式Botまたは自前のTelegram Botを介して、外出先からアシスタントとチャットしたりタスクの結果通知を受け取れます。
- オープンソースのコアと外部からの操作: コアは Apache 2.0 で公開されており、Playwright 互換の CLI や MCP 経由でコーディングエージェントなどの外部クライアントからブラウザを操作できます。
料金
| プラン | 月額料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | Memory・アシスタント・エージェント操作・Skills を含むAI機能をすべて無料で利用可能。既定は Phi Cloud のモデルだが、任意で自分のAPIキーやローカルモデル(Ollama / LM Studio 等)に切り替えられる |
料金は2026年9月時点の情報です。現時点で提供プランはFreeのみで、FAQでは今後高度な機能について有料化の可能性が示唆されていますが、金額・対象機能とも未発表です。最新情報は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 閲覧行動から学んだ記憶をクラウドではなく端末内だけに保持し、モデル学習にも使わない設計(公式FAQで明言)
- エージェントの自律度を「即時実行→承認制のバックグラウンドタスク→スケジュール実行」の3段階に分け、リスクの高い操作は都度確認を挟めます
- Chromiumエンジンを AppKit/SwiftUI によるネイティブ macOS アプリとして実装しています(Electron 系ラッパーより軽量とされていますが、これは Phi 自身の主張で第三者による計測の裏付けはありません)
- コアがオープンソース(Apache 2.0)で公開されており、CLI・MCP経由でコーディングエージェントなどからも操作できます
⚠️ デメリット
- macOS専用(Apple Silicon・macOS 14以降が必須)で、Windows/Linuxはサポート対象外
- 現時点は無料だが、公式FAQで将来的な高度機能の有料化が示唆されており料金体系は未確定
- 2026年4月公開の新しいブラウザで、拡張機能エコシステムや実績はChromeなど主要ブラウザに比べてまだ薄いです
- 「ローカルファースト」を掲げていますが、負荷の高いAI処理は依然としてクラウド側のフロンティアモデルに一部依存します
類似サービスとの比較
AI ブラウザというカテゴリには Dia(The Browser Company の Arc 後継)、Perplexity Comet、開発が鈍化した Arc、思想的に近いプライバシー重視の Aside といった競合が存在します。
ただし各サービスとの違いに関する情報は、主に Phi 公式ブログの比較記事に基づくものです。自社発の比較であり中立的な第三者評価による裏付けは取れていないため、ここでは個別の優劣を表にまとめることは避け、競合の存在を示すにとどめます。実際の比較検討にあたっては、各サービスを自分の用途で試すことをすすめたいです。
こんな人におすすめ
- 個人の閲覧履歴から蓄積される行動データをベンダーのクラウドに預けず、自分のMac内に留めたいAIブラウジング環境を探している人
- 料金監視やページ変化の監視など、ブラウザを閉じていても継続してほしい定期自動化タスクを実行したい人
- Playwright互換CLIやMCP経由でコーディングエージェントにブラウザ操作を委譲したい開発者
- Arcを使っていたがメンテナンスモードに入ったため、Space・Profileベースのワークスペース管理を引き継げる乗り換え先を探している人
まとめ
判断の分かれ目は、ブラウザに残る行動データをベンダーに預けるかどうかにあります。そこに抵抗がないなら選択肢は他にも多いですが、端末内に留めたうえでエージェントも使いたいとなると候補は限られます。一方で対応OSはmacOSに限られ、公開から日が浅く、料金体系も無料プランのみで今後の方針は未確定な段階にあります。