OrcaRouter ─ 200種類以上のAIモデルを1つのAPIにまとめ、手数料ゼロで最適なモデルへ自動振り分けするゲートウェイ

OrcaRouterは、米国のContinuum AIが提供するAIゲートウェイです。OpenAI・Anthropic・Google・DeepSeekなど複数のプロバイダーが出している200種類を超えるモデルを、OpenAI互換のAPI1本から呼び出せるようにまとめてくれます。特徴的なのは、届いたプロンプトの難しさをその場で採点し、簡単な依頼は安価なモデルへ、難しい依頼は高性能なモデルへと自動で振り分ける仕組みです。しかもトークンの利用料には手数料を上乗せせず、各プロバイダーの公表レートをそのまま請求する方針を掲げています。2026年5月に公開された比較的新しいサービスで、Claude Code・Codex・Cursorといった開発ツールとの接続にも対応しています。

主な特徴

  • アダプティブルーティング: リクエストごとにプロンプトの難易度を自動で採点し、フロンティアモデルとオープンソースモデルのどちらへ送るかを動的に判断します。同じアプリケーションのまま、内容に応じてコストと品質のバランスを取れます
  • ゼロマークアップ課金: トークン課金はプロバイダーの公表レートをそのまま通し、その上に手数料を乗せません。収益源はチーム向け機能のサブスクリプション側に置かれています
  • 自動フェイルオーバー: 指定したプロバイダーで障害が起きたとき、応答を返し始める前に健全な別の宛先へリトライします。利用者側から見るとエラーではなく通常の応答として返ってきます
  • YAMLとCELで書くルーティングDSL: 「このプロジェクトのリクエストは必ず特定のモデルへ」といった振り分けルールを、アプリのコードを触らずに宣言的な設定として記述できます
  • ガードレールとエージェントファイアウォール: 個人情報のマスキングやコンテンツポリシーを課金が発生する前の段階で適用します。エージェントが行うツール呼び出しやMCP呼び出しも事前審査の対象にできます
  • リクエストログとダッシュボード: 呼び出しごとの採点結果・選ばれたモデル・レイテンシ・コストを一覧で確認できます。個々のリクエストはcURLとしてコピーでき、再現や検証に使えます

料金

プラン月額料金主な内容
Hacker無料200以上のモデルカタログ、OpenAI互換API、自動フェイルオーバー、基本ダッシュボード、プロンプトのバージョン管理、APIキー10本、シングルユーザーのワークスペース
Team要問い合わせHackerの全機能に加えて、チームシート最大10、APIキー無制限、コンプライアンスの強制とレポート、優先サポート
Enterprise要問い合わせTeamの全機能に加えて、シート数無制限、専有インフラ、99.99%の稼働率SLA、新モデルへの優先アクセス、専任サポート

トークンの利用料は上記のプラン料金とは別枠で、各プロバイダーの公表レートがそのまま請求されます。公式サイトは「ルーティング手数料は0ドル」と明記しています。なお、TeamプランとEnterpriseプランの金額は料金ページ上では「Custom」表記で、具体的な数字は公開されていません。Teamプランには無料トライアルがなく、初日から課金される旨がFAQに記載されています。

料金は2026年9月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。

メリット・デメリット

✅ メリット

  • 複数プロバイダーの契約・SDK・認証情報を抱え込まずに済み、アプリ側の実装がOpenAI互換のクライアント1つで完結します
  • トークン単価に手数料が乗らないため、ゲートウェイを挟んだことによる追加コストを気にせず導入できます
  • 無料のHackerプランでもモデルカタログと自動フェイルオーバーを一通り使えるので、本番投入の前に実データで挙動を確かめられます
  • 振り分けの方針を変えたいとき、アプリを再デプロイせず設定ファイルの変更だけで対応できます
  • 障害時の切り替えがゲートウェイ側で完結するため、プロバイダー1社のダウンがそのままサービス停止につながる状況を避けられます

⚠️ デメリット

  • TeamプランとEnterpriseプランの金額が公開されておらず、予算を立てる段階で問い合わせが必要になります
  • 無料トライアルがないため、チーム向け機能を試すには最初から課金する形になります
  • ホスト型の本体はクローズドソースで、公開されているのは機能を絞ったセルフホスト版の「OrcaRouter-Lite」のみです
  • 外部のクライアントから接続できる公式のMCPサーバーは確認できませんでした。MCPまわりはエージェントの呼び出しを審査する側の機能が中心です
  • 2026年5月に登場したばかりのサービスであり、長期運用での安定性やSLAの実績はこれから積み上がる段階です

類似サービスとの比較

サービス名OrcaRouterとの違い
OpenRouter同じくマルチモデルAPIルーター。OrcaRouterは自らを代替と位置づけ、手数料ゼロの課金と採点ベースの自動振り分けを差別化点に挙げています
PortkeyAIゲートウェイとガードレールに強い競合。企業向けのガバナンスや可観測性の領域で機能が重なります
LiteLLMオープンソースのLLMプロキシ。自前で立てて運用する前提のため、ホスト型SaaSであるOrcaRouterとは提供形態が異なります
Martianモデルの振り分けに特化したサービス。OrcaRouterはルーティングに加えてファイアウォールやコンプライアンス機能まで含む点で守備範囲が広めです

こんな人におすすめ

  • 複数のLLMプロバイダーを用途で使い分けており、呼び出し口を1本にまとめたいプロダクトチーム
  • 簡単な処理まで高価なモデルに投げていて、コストの内訳を見直したい開発者
  • エージェントやMCPのツール呼び出しを本番で動かしていて、課金前の段階で監査と制限をかけたい企業
  • Claude Code・Codex・Cursorなどのコーディングエージェントのバックエンドを、障害時の切り替え付きで安定させたい人
  • まずは無料枠で、モデル横断の呼び出しがどれくらい実用になるかを手元で試したい人

まとめ

モデルの選択肢が増えるほど、どれをいつ使うかという判断とコスト管理が重荷になっていきます。OrcaRouterはその判断をゲートウェイ側に寄せ、しかもトークン課金に手数料を乗せない形で提供しようとしているサービスです。無料プランでも中核の機能が使えるので、まずは既存の呼び出しを一部だけ通してみて、採点と振り分けの結果がダッシュボードでどう見えるかを確かめるところから始めるとよいでしょう。チーム利用やコンプライアンス機能が必要になった段階で、金額を問い合わせて判断する流れが現実的です。

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