OpenRyoko は、株式会社TEKION Group が公開しているオープンソース(MIT ライセンス)の AI エージェント用デーモンです。Claude Code・Codex・Gemini CLI といったコーディングエージェントを Slack に「AI の同僚」として常駐させ、雑談には割り込まず、呼ばれたときだけ動きます。会話の中で AI を使うと起きがちな「割り込みすぎる」「途中で止まる」「進捗が見えない」という 3 つの不満を解消することを狙って設計されています。2026 年 4 月に公開され、GitHub のリリースノートでは 2026 年 9 月にも Claude Opus 5.5 への対応などの更新が続いています。
主な特徴
- 空気読みトリアージ: Slack のメッセージごとに、黙る(silent)・リアクションだけ付ける(react)・返信する(reply)のどれにするかを軽量モデルが判定します。確信度が 60% 未満のときは反応しない保守的な設計で、雑談チャンネルに置いても口を挟みすぎません
- 自然言語の /goal: 「これ最後までやって」のような依頼から完了条件を取り出し、条件を満たすまでセッションを継続させます。Claude Code の /goal や Codex の完了判定を使い、途中で手が止まるのを防ぎます
- Slack Canvas での進捗表示: 実行中・待機中のセッション一覧を 30 秒ごとに Slack Canvas へ同期する「Agents View Canvas」を備えています。別のダッシュボードを開かなくても、Slack の中で進み具合を確かめられます
- エンジンの切り替え: Claude Code CLI・Codex・Gemini CLI を設定画面から切り替えられます。タスクの性質や費用に応じて使い分けられます
- AI 組織・Skills・Cron・MCP 接続: 部門や階級を持つ「AI 組織」の構成、Markdown でのスキル追加、cron による定期タスク、GitHub や Notion などの外部 MCP サーバーへの接続に対応しています(OpenRyoko 自身が MCP サーバーになるのではなく、MCP クライアントとして接続する形です)
料金
OpenRyoko 本体は無料のオープンソースソフトウェアです。これとは別に、運用ノウハウをまとめた買い切りの「パッケージ」が公式に販売されています。パッケージはソフトウェア本体ではなく、運用指示書・人格ファイル・Skills などの設定資産集で、GitHub のプライベートリポジトリへの招待という形で納品されます。
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| OpenRyoko 本体 | 無料 | セルフホストで全機能を利用可能 |
| 基本パッケージ | ¥29,800(買い切り・税込) | 運用指示書、人格ファイル 5 枚、cron パターン集、検証ゲート、Skills 9 本など計 26 ファイル |
| 拡張パッケージ | ¥98,000(買い切り・税込) | 基本パッケージの全内容に加え、知識グラフ、自律ループ用キット、Docker サンドボックス、Advanced Skills など |
本体は無料でも、実際に動かす AI エンジン側の費用(Claude や OpenAI のサブスクリプション、API 利用料)は別途かかります。
料金は2026年9月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- ライセンス費用をかけずに、自分の環境で AI の同僚を Slack に置けます
- エンジンを切り替えられるため、特定の AI ベンダーの値上げや仕様変更に振り回されにくくなります
- 雑談チャンネルに常駐させてもノイズが少なく、チームの会話を邪魔しにくい設計です
- 長い作業を任せても、Slack の中で進捗を追えるので「今どこまで進んだのか」を聞き直す手間が減ります
⚠️ デメリット
- 通信の暗号化は内蔵されていません。外部に公開するなら Tailscale や VPN、リバースプロキシを自分で用意する必要があります
- 許可するユーザーの設定(allowFrom など)を怠ると、Slack 内の誰かがプロンプトインジェクションで Bot の権限を悪用できるおそれがあります
- 個人や 1 チームでの利用が前提で、複数組織にまたがる SaaS の裏側として使う想定ではありません
- 動かすには Node.js 22 以上、pnpm、Claude Code CLI などの準備が要り、非エンジニアだけで導入するのはやや難しいです
- 実務向けの運用ノウハウは有料パッケージ側にまとめられており、本体だけで同じ水準の運用を組むには自前の設計が必要です
類似サービスとの比較
以下は各サービスの公開情報をもとにした簡易的な比較です。
| サービス | OpenRyoko との違い |
|---|---|
| Jinn | OpenRyoko のフォーク元になったマルチ CLI 対応のデーモン基盤です。Slack に特化した空気読みや /goal による完遂の作り込みは OpenRyoko 側の独自部分です |
| OpenClaw | WhatsApp・Telegram・Discord など複数のチャネルに対応する個人向け AI アシスタント基盤です。Slack 内での振る舞いの作り込みでは OpenRyoko が先行しています |
| Hermes Agent | 永続的な記憶と自律的な学習ループを軸にしたエージェントで、Slack 常駐を前提にした設計ではありません |
こんな人におすすめ
- Claude Code や Codex をすでに使っていて、チームの Slack から気軽に作業を頼める形にしたい開発者
- PR の状況報告や競合調査、監視のような定型業務を cron で自動化したいチーム
- AI に長めの作業を任せつつ、進み具合を Slack で見守りたい個人開発者
- 自分でサーバーを管理でき、セキュリティ設定まで責任を持てる人
まとめ
Slack で AI を使うときの「呼んでいないのに口を出す」「頼んだ作業が途中で止まる」という不満に、正面から手当てしているのが OpenRyoko の持ち味です。本体は無料で試せるので、まずは自分専用のチャンネルで常駐させ、空気読みの具合と /goal の粘り強さを確かめてみるとよいでしょう。チームで本格的に使う段階では、アクセス制御と通信経路の保護を先に固めておくことが欠かせません。