omp は、IDEの機能をまるごと積んだ、ターミナルに常駐するコーディングエージェントです。リポジトリの調査からファイル編集、コマンド実行、言語サーバーによる診断、実行中プロセスへのライブデバッグまでを一つのセッションで完結できます。ミニマルなコーディングエージェント「Pi」(Mario Zechner氏開発)を2025年12月末にフォークし、LSP/DAP統合やサブエージェント機能、60以上のモデルプロバイダー対応などを追加した拡張版として登場しました。開発元は Stencil Labs です。オープンソース(MITライセンス)で、Mac・Windows・Linux に対応しています。
主な特徴
- ハッシュライン編集: コード位置をコンテンツハッシュで指定して編集するため、文字列不一致による編集失敗が起きにくく、出力トークンも削減できます(公式ベンチマークでは Grok 4 Fast で61%減という結果が示されています)
- LSP / DAP 統合: 言語サーバーによる診断・シンボルリネームと、実行中プロセスに対するライブデバッグ(ブレークポイント設置・スタック確認等)を、エージェントが標準ツールとして扱えます
- サブエージェント / Agent Hub: タスクを独立したワークツリーの並列ワーカーへ分割し、型付けされた結果を親セッションが直接受け取れます。専用画面で各ワーカーの進行状況を監視・介入できます
- 60以上のモデルプロバイダー対応: 通常・高速・高度推論・計画などの役割ごとにモデルを割り当てる自動ルーティングに対応し、フォールバックチェーンも設定できます
- ネイティブ Rust コア: ripgrep・シェル(brush)・パーサ等を約8万行の Rust でプロセス内実行し、fork/exec を介さないため高速です。Windows も WSL なしでネイティブ動作します
- セッションツリーとライブ協業: セッションを分岐・再開・エクスポートでき、
/collabでリンクを共有するだけで他の開発者が同じセッションに参加・閲覧できます - 既存設定のインポート: Claude Code / Cursor / Codex など8形式の設定ファイルを読み込めるため、他ツールからの乗り換え時に設定を書き直す必要がありません
料金
omp 自体は無料のオープンソースソフトウェア(MITライセンス)で、利用料金はかかりません。公式サイトに料金ページは設けられておらず、Anthropic・OpenAI・Google など60以上のモデルプロバイダーのAPIキーやサブスクリプションを利用者が別途用意して接続する、BYOK(Bring Your Own Key)方式を採用しています。実際にかかるコストは、選択したモデルプロバイダー側の利用料金によって変わります。
2026年9月時点の情報です。最新の料金体系や対応プロバイダーは公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 契約済みのAPIキーやコーディングプランをそのまま持ち込めるため、新たな契約を起こさずに試せます
- LSP診断・DAPデバッガ・ブラウザ/デスクトップ操作・サブエージェントなど31以上のツールを標準搭載し、調査から修正・検証までターミナルの外に出ずに進められます
- MITライセンスで無料。他ツールの設定をそのまま読み込めるので、乗り換えの初期コストを抑えられます
- Windows でも WSL を挟まずネイティブに動くため、環境を選ばずチームに配りやすいです
⚠️ デメリット
- 第三者ベンチマーク(Composio、2026年9月公開)では、タスク成功率・速度・トークン消費のいずれもフォーク元のPiに劣る結果が報告されています(単一ベンチマークによる評価であり要検証です)
- 機能が多く約8万行のRustコアを含む大規模なモノレポで、Piのような最小構成を求める利用者にはオーバースペックになりえます
- AIモデル自体は同梱されないため、各プロバイダーのAPIキーやサブスクリプション費用が別途必要です
- 2025年末の登場から短期間で非常に多くのリリースが出ており、破壊的変更や不安定さのリスクがあります
類似サービスとの比較
- Pi(pi-mono): omp のフォーク元です。4ツールのみの最小構成で、Composio のベンチマークでは成功率・速度・コストのいずれも omp を上回ったと報告されています
- Claude Code: Anthropic純正のCLIエージェントです。omp は対応モデルプロバイダー数が多く、特定ベンダーに縛られない点が異なります
- OpenAI Codex CLI: OpenAI純正のターミナルエージェントです。omp はLSP診断・DAPデバッガ・マルチプロバイダールーティングを追加装備しています
- OpenCode: 同じくオープンソースのマルチプロバイダー対応ターミナルエージェントです。機能を多く積む方向性が近い競合です
こんな人におすすめ
- 既存リポジトリでのバグ調査・修正・テスト実行を一つのターミナルセッションで完結させたい人
- サブエージェントに複数パッケージの監査やリファクタリングを分割委譲し、並列で進行状況を監視したい人
- 実行中プロセスにDAPデバッガを繋いで、エージェントと一緒にライブデバッグしたい人
/collabでセッションを共有リンク化し、他の開発者とペアプログラミングやレビューを行いたい人
まとめ
選ぶ基準は「ターミナルからどこまでやりたいか」に尽きます。エージェントに調査と編集だけを任せるなら軽い選択肢が他にありますが、診断・デバッグ・並列作業まで同じセッションに載せたいなら omp の守備範囲は広いです。一方でフォーク元のPiと比べたベンチマーク結果や、短期間での頻繁なリリースには注意が必要で、導入前に公式ドキュメントで最新の仕様を確認することをおすすめします。