Fleet は、米国の Fleet AI, Inc. が提供する、AI エージェントの学習と評価のためのプラットフォームです。Salesforce や Excel のような業務ソフトの操作画面を忠実に再現したシミュレーション環境を用意し、その中でエージェントに実務に近いタスクをこなさせることで、振る舞いを測ったり強化学習で鍛えたりします。公式サイトは自社の取り組みを「simulated worlds(シミュレーションされた世界)と real-world challenges(現実の課題)を通じて AI の振る舞いを理解し形づくる」と説明しています。主な顧客はフロンティア AI の研究機関や、金融・保険などの大企業です。一般の利用者が触るアプリではなく、エージェントを開発する側に向けた基盤サービスです。
主な特徴
- 業務ソフトを再現した学習環境: CRM や表計算、ブラウザやデスクトップ上の業務フローなど、実際のソフトウェア操作をシミュレーションした環境を提供します。本番のシステムに触れさせずに、エージェントの操作を試せます
- ソフトウェアを強化学習環境に変換する仕組み: 任意のソフトウェアを、強化学習(RL)で使えるジム形式のインターフェースに変換する仕組みを備えています。GitHub では関連プロジェクト「gym-anything」のフォークも公開しています
- Python SDK と API: 環境の作成・管理・状態の取得をプログラムから行えます。なお、Python SDK のリポジトリ(fleet-ai/fleet-sdk、Apache 2.0)は 2026 年 8 月時点でアーカイブ(読み取り専用)になっており、現在の配布方法は公式ドキュメントで確認が必要です
- 評価フレームワーク「Harbor」: エージェント評価と RL 環境の構築・利用のためのフレームワーク Harbor(Apache 2.0)のフォークを GitHub で公開し、SkyRL と SkyPilot を組み合わせた学習レイヤー「harbor-train」も開発しています
- 業界特化のカスタム環境: 金融や保険など、業界ごとの業務フローやルールに合わせた専用の評価・学習環境を、顧客と組んで構築する導入形態をとっています
料金
| プラン | 料金 | 備考 |
|---|---|---|
| 公開プラン | なし | 公式サイトに料金ページは見当たりません |
| 導入 | 公式サイトで確認 | 企業・研究機関向けの個別対応が前提とみられます |
料金は2026年9月時点の情報です。公開された料金プランは確認できませんでした。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 本番の業務システムを危険にさらさずに、エージェントが実際の画面操作をどこまでこなせるかを検証できます
- 自社の業務ソフトに近い環境で学習させられるため、汎用ベンチマークの点数よりも、実務での使い物になるかを判断しやすくなります
- 評価フレームワークがオープンソースのため、社内の評価基盤に組み込んだり、手元で挙動を確かめたりしやすいです
- 金融・保険のように規制やルールが多い業界でも、その前提を反映した環境を用意できる可能性があります
⚠️ デメリット
- 料金が公開されておらず、費用感をつかむには問い合わせが必要です
- 顧客は研究機関や大企業が中心で、個人開発者や小規模チームがすぐに試せる申し込み経路は見当たりません
- 公式ドキュメントはログインが必要で、契約前に詳しい仕様を読み込むのは難しいです
- Python SDK のリポジトリがアーカイブ済みのため、外部から開発状況を追いにくくなっています
- 「Fleet」という名前のサービスがほかにも多く(JetBrains Fleet、Fleet Device Management など)、情報を探すときに取り違えやすいです
類似サービスとの比較
| サービス名 | Fleet との違い |
|---|---|
| Mechanize | コーディング作業向けの高忠実度な環境が中心。Fleet は CRM や表計算など業務ソフトの再現に軸足があります |
| Surge AI | データラベリングや人手のフィードバック(RLHF)を幅広く扱います。Fleet は業務ソフト操作の環境構築に特化しています |
| Bespoke Labs | 評価やデータ整備のためのオープンソースツールが中心。Fleet は環境そのものの構築・提供に重心があります |
| ServiceNow(WorkArena) | 自社製品を題材にしたエージェント評価ベンチマークが中心。Fleet は第三者向けに幅広い業務ソフトの環境を提供します |
こんな人におすすめ
- LLM や VLM のポストトレーニング用に、業務ソフト操作の環境やデータを確保したい AI 研究機関
- 自社の CRM・ERP・表計算の操作を AI エージェントに任せる前に、安全な場所で精度を測りたい企業の開発チーム
- 金融・保険など、業界固有のルールに沿った評価環境が必要なエンタープライズ
- エージェント評価や RL 環境の構築手法を、オープンソースのコードから学びたいエンジニア
まとめ
AI エージェントに業務ソフトを操作させたいとき、いちばんの壁は「本番で試すのは怖いが、汎用ベンチマークの結果では実務の出来が分からない」という点です。Fleet はその間を埋めるために、実際の操作画面を再現した練習場を用意します。一方で料金や申し込み方法は公開されておらず、ドキュメントもログインが必要なため、導入を考えるなら問い合わせから始めることになります。個人で試すよりも、エージェントを本格的に業務へ入れようとしている組織が検討する選択肢です。
関連リンク
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