CXプラットフォーム「KARTE」で知られる株式会社プレイドが提供するAIアナリティクスプラットフォーム。サイトにタグを1つ設置するだけで、クリック・スクロール・フォーム入力といったユーザー行動が自動で計測され、流入やコンバージョンの状況がダッシュボードに可視化される。特徴は、数値を並べるだけで終わらない点にある。「なぜこの数字が落ちたのか」「次に何をすべきか」という問いにAIが対話形式で答え、改善アクションを優先度スコア付きで提案する。2024年9月にβ版、2025年8月5日に正式版が公開された。月間30万PV相当まで完全無料で、クレジットカードの登録も不要。
主な特徴
- タグ1つで自動計測: 計測したいイベントを1つずつ設定する必要がなく、タグを設置した時点でクリック・スクロール・フォーム入力などの行動が自動的に記録される。イベント設計の工数を大きく削減できる
- AIとの対話で原因を探る: ダッシュボードの数値に対して「原因は?」「打ち手は?」と自然言語で質問すると、AIがデータを参照して言語化した答えを返す。流入チャネル・コンバージョン・来訪頻度などを過去と比較し、特徴的な変化とその要因を説明する
- 優先度スコア付きの改善提案: 検出した課題をそのまま並べるのではなく、重要度に応じて優先順位を付けて提示する。どこから手を付けるべきかの判断材料になる
- ヒートマップとセッションリプレイ: クリック率やスクロール到達率を色で可視化するヒートマップに加え、実際のユーザー操作を動画のように再生できるセッションリプレイを標準搭載。数値だけでは見えない離脱の理由を追える
- ファネル分析: コンバージョンまでの各ステップでどれだけ離脱しているかを可視化し、ボトルネックとなっている画面を特定できる
- BigQuery連携とKARTEのデータ基盤: 蓄積した行動データをBigQueryへ書き出し、自社の分析環境と組み合わせられる。基盤にはプレイドが2015年から運用しているKARTEのデータ基盤を共通利用しており、大量データの高速な解析を前提に設計されている
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | ¥0 | 月間30万PV相当(約50万イベント/月)、セッションリプレイ 約5万PV/月、カスタムダッシュボード10個、保持期間はイベント1年・リプレイ1ヶ月。クレジットカード不要 |
| Growth | 月額¥10,000〜(基本料金+従量課金) | 約2,050万イベント/月、セッションリプレイ 約205万PV/月、カスタムダッシュボード30個、ファネル10本、セグメント30個、保持期間はイベント2年・リプレイ2ヶ月 |
| Custom | 要問い合わせ | 容量・機能を個別に設計 |
| A/Bテスト(アドオン) | 無料枠あり/月額¥15,000 | 無料枠は月間1,000UU・同時1テストまで。有料で拡張 |
| AIアナリティクス(アドオン) | Mini 月額¥7,800 / Standard 月額¥20,000 | AI分析機能の利用枠を拡張 |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 月間30万PV相当まで無料で、クレジットカードなしに本格的な行動分析を始められる
- タグ1つで計測が始まるため、イベント設計や実装にエンジニアの工数をほとんど割かずに導入できる
- ヒートマップ・セッションリプレイ・ファネル分析が同じ画面に揃っており、複数ツールを行き来しなくてよい
- AIが数値の変化を言語化してくれるため、分析の専門知識がないメンバーでも議論の出発点を作れる
- 日本発のサービスで、UI・ドキュメント・サポートが日本語で完結する
⚠️ デメリット
- AI分析機能を本格的に使う場合はアドオン契約が必要で、無料プランの範囲だけでは利用枠が限られる
- 無料プランのセッションリプレイ保持期間は1ヶ月と短く、過去に遡った検証には向かない
- Webサイトの行動分析が主軸で、ネイティブアプリやオフラインを含む横断的な分析が必要な場合は他ツールとの併用を検討することになる
- AIの提案はあくまで示唆であり、最終的な打ち手の判断と検証は人の側に残る
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Wicle | Google Analytics 4 | Microsoft Clarity | Amplitude |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | 株式会社プレイド(日本) | Google(米国) | Microsoft(米国) | Amplitude(米国) |
| 主な用途 | 行動計測+AIによる原因分析と改善提案 | Webアクセス解析全般 | ヒートマップ・セッションリプレイ | プロダクトアナリティクス |
| 計測設計の手間 | タグ1つで自動計測 | イベント設計が必要 | タグ設置のみ | イベント設計が必要 |
| AIによる示唆 | 対話型+優先度付き提案 | 分析情報・自然言語検索 | 一部AIサマリー | AI機能あり |
| リプレイ/ヒートマップ | 標準搭載 | 標準では非搭載 | 標準搭載 | 追加機能として提供 |
| 無料枠 | 月間30万PV相当 | あり(無料版) | 無制限で無料 | あり(無料版) |
| 日本語対応 | 完全対応 | 対応 | 対応 | 一部 |
こんな人におすすめ
- GA4のイベント設計に手が回らず、まずは行動データを取り始めたいWeb担当者
- 数値は見ているが「なぜ下がったのか」を説明できず、次の打ち手が決まらないマーケター
- フォーム離脱やLPの読み飛ばしなど、コンバージョン手前のつまずきを具体的に把握したいプロダクト担当者
- 分析ツールに予算を割きにくい中小規模サイトで、無料枠から始めたいチーム
- 日本語のUIとサポートで、社内の非エンジニアメンバーにも触ってもらいたい組織
まとめ
Wicleは、計測の手間とデータ解釈の難しさという、Web分析の2つのハードルを同時に下げにきたツールである。タグ1つで行動データが溜まり、AIが変化の要因を言葉にして優先度付きの打ち手まで示すため、専任のアナリストがいないチームでも改善サイクルを回しやすい。月間30万PV相当までクレジットカード不要で使えるので、まずは無料プランでヒートマップとセッションリプレイを回し、扱うデータ量やAI分析の使用頻度が増えてきた段階でGrowthプランやアドオンを検討するのが現実的な進め方になる。