英国の Bloop AI が開発したオープンソースのオーケストレーションツール。Claude Code、Codex、Gemini CLI、GitHub Copilot など 10 種類以上の AI コーディングエージェントを並列で走らせ、その進捗をカンバン(Kanban)ボードで一元管理できる。npx vibe-kanban の一行で起動し、タスクごとに Git worktree を自動作成、生成された差分のレビューからプルリクエスト作成・マージまでをブラウザ UI 上で完結させられる。なお開発元の Bloop は 2026 年 4 月 10 日に事業終了を発表しており、現在は Apache-2.0 ライセンスのコミュニティ主導プロジェクトとして継続している。
主な特徴
- 10 種類以上のエージェントに対応: Claude Code、Codex、Gemini CLI、GitHub Copilot、Amp、Cursor、OpenCode、Droid、Qwen Code などを切り替えて使える。ワークスペースごとにモデルや effort(思考の深さ)を指定できる
- カンバンでタスクを計画・追跡: バグ・機能追加などを Issue として登録し、優先度・タグ・親子関係といったメタデータを付けて管理する。どのエージェントが何を進めているかがボード上で一望できる
- Git worktree の自動作成による並列実行: ワークスペースを作ると対象リポジトリとブランチに対して worktree が自動生成され、専用ブランチとターミナルが割り当てられる。1 つの Issue に複数ワークスペースを紐づければ、同じ課題に複数のエージェントを同時にぶつけられる
- 差分レビューとインラインコメント: エージェントが書いたコードを UI 上で diff 表示し、行単位でコメントを残してそのままエージェントに修正を指示できる。マージ前に人間が必ず一度目を通す流れを作りやすい
- ブラウザプレビューとクリック to コンポーネント: 開発サーバーの画面を内蔵ブラウザで確認でき、画面上の要素をクリックすると対応するコンポーネントへ辿れる。UI の手直しを言葉で説明する手間が減る
- PR 作成とセットアップ/クリーンアップスクリプト: GitHub のプルリクエスト作成・マージ、ローカルブランチのマージに対応。依存関係のインストールなどワークスペース初期化時の処理をスクリプトとして登録しておける
- MCP サーバーと VSCode 拡張: Vibe Kanban 自身を MCP サーバーとして公開でき、エディタ側からの操作にも対応する
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ローカル版(オープンソース) | $0 | Apache-2.0。npx vibe-kanban で起動。ローカルワークスペース・エージェント実行・差分レビューなどの中核機能 |
| Free(旧クラウド) | $0 | 1 ユーザー、コア機能、コミュニティサポート |
| Pro(旧クラウド) | $30/ユーザー/月 | 2〜49 ユーザー、99.5% SLA、Discord サポート |
| Enterprise(旧クラウド) | 要問い合わせ | 50 ユーザー以上、SSO/SAML、99.9% SLA、専用 Slack チャンネル |
料金は2026年8月時点の情報です。開発元 Bloop の事業終了(2026 年 4 月 10 日発表)に伴い、クラウド上の Issue・コメント・プロジェクト/組織機能はアナウンスから 30 日で提供終了となり、既存サブスクリプションは解約・直近請求分は返金済みと案内されています。現在も使えるのはローカル完結のオープンソース版です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 複数の AI コーディングエージェントを、乗り換えコストなく同じ画面から使い分けられる
- Git worktree の自動化により、ブランチを手で切り分ける手間なく並列作業ができる
- 差分レビューとインラインコメントが組み込まれており、「エージェントに任せきりにしない」運用を作りやすい
npx一発で起動し、ローカルで完結する。ソースコードが外部サーバーに送られる構成ではない- Apache-2.0 のオープンソースで、フォークや自前改修が可能
⚠️ デメリット
- 開発元が事業を終了しており、今後の開発ペースやサポート体制はコミュニティ次第になる
- クラウド側の Issue・コメント・組織管理といったチーム機能は提供が終了しており、チーム共有の用途では代替が必要
- 利用には Claude Code や Codex など各エージェントの契約・認証が別途必要で、それらの利用料は自己負担
- 並列実行するぶんトークン消費とマシンリソースの消費が増えやすい
- Git と worktree、ターミナルの扱いに慣れていないと、初期設定でつまずきやすい
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Vibe Kanban | Conductor | Claude Code(単体) | GitHub Copilot Workspace |
|---|---|---|---|---|
| 主な役割 | 複数エージェントの統括・レビュー | 複数エージェントの並列実行 | 単一エージェントでの実装 | Issue 起点の実装案生成 |
| 対応エージェント | Claude Code / Codex / Gemini CLI ほか 10 種以上 | 主に Claude Code | Claude Code のみ | GitHub の自社エージェント |
| タスク管理 | カンバンボード内蔵 | ワークスペース一覧 | なし(CLI のみ) | GitHub Issue と連動 |
| 実行場所 | ローカル | ローカル(macOS 中心) | ローカル | クラウド |
| ライセンス/提供形態 | Apache-2.0 のオープンソース | 商用アプリ | 商用サブスクリプション | 商用サブスクリプション |
こんな人におすすめ
- Claude Code や Codex を日常的に使っていて、同時に複数のタスクを走らせたい開発者
- エージェントの出力を必ず人間がレビューしてからマージする運用を、仕組みとして固めたいチーム
- 複数のエージェントを比較しながら、タスクごとに向き不向きを見極めたい人
- 自前でツールを改造したい、あるいは外部サーバーに依存しない構成を求める開発者
- 個人開発で、企画から実装・レビューまでを 1 つのボードで見渡したい人
まとめ
Vibe Kanban は、AI コーディングエージェントを「1 つずつ手で回す」段階から「複数を並べて計画・レビューする」段階へ引き上げるためのツールである。worktree の自動化と差分レビュー UI という地味だが効く 2 点を押さえており、エージェント運用のボトルネックが実装ではなく計画とレビューに移った現状によく噛み合う。開発元の事業終了によりクラウド機能とサポートは失われたが、中核はもともとローカルで完結する設計であり、Apache-2.0 のオープンソースとして手元で動かす使い方であれば今も選択肢になる。導入前に、GitHub リポジトリの更新状況とコミュニティの活動具合を確認しておきたい。