カナダの SuperUltra, Inc. が開発する音声入力アプリ。macOS・Windows・iOS で動作し、Whisper 系の音声認識モデルを端末上(オンデバイス)で実行して、100 以上の言語をオフラインでも文字起こしできる。特定のエディタに閉じた機能ではなく、ショートカットキーを押して話すだけで、Slack でもブラウザでも Cursor でも Claude Code でも、いまカーソルがある場所にテキストが入力される。単に喋った言葉をそのまま書き出すのではなく、Super Mode と呼ばれる AI 処理を通して「メールの文面らしく」「箇条書きに」といった整形までまとめて任せられるのが特徴で、2023 年 7 月の公開以降、翻訳・音声ファイルの文字起こし・会議録音などへ機能を広げてきた。
主な特徴
- どのアプリでも使える音声入力: 常駐アプリとしてキーボードショートカットで呼び出す方式。テキストを入力できる場所であればアプリを問わず使えるため、チャット・ドキュメント・コードエディタ・ターミナルまで同じ操作感で入力できる
- オンデバイス処理とオフライン動作: 音声認識モデルを端末上で動かすため、ネットワークに繋がっていない状態でも文字起こしができる。音声を外部に送らずに完結させられるので、業務メモや機密性のある内容にも使いやすい
- 100 以上の言語に対応: 日本語を含む多言語をサポート。話した言語をそのまま書き出すほか、任意の言語を英語に翻訳しながら入力することもできる
- モードによる出力の作り分け: 「そのまま書き起こす」「文章として整える」といった組み込みモードに加え、自分用のカスタムモードを作れる。AI に渡す指示を変えることで、メール調・議事録調・箇条書きなど用途別の出力を用意できる
- クラウド/ローカルの AI モデルを選択: OpenAI・Anthropic・Groq などのクラウドモデルと、端末上で動くローカルモデルを使い分けられる。自分の API キーを持ち込んで使うこともできる
- 音声・動画ファイルの文字起こしと会議録音: リアルタイム入力だけでなく、既存の録音ファイルや会議の録音をまとめてテキスト化できる
- 辞書登録(カスタム語彙): 固有名詞や社内用語など、認識を間違えやすい語をあらかじめ登録して精度を上げられる
- セキュリティ・コンプライアンス対応: SOC 2 Type II と HIPAA への準拠をうたっており、企業利用も想定した設計になっている
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | $0 | 基本的な音声入力機能を無期限で利用可能。Pro 機能は 3,000 語まで試用できる |
| Pro(月額) | 月額 $8.49 | 自分の API キー利用、クラウド/大型ローカルモデルの無制限利用、英語への翻訳、音声・動画ファイルの文字起こし、優先サポート |
| Pro(年額) | 年額 $84.99(月額比で 2 か月分無料) | 月額プランと同一の機能 |
| Lifetime(買い切り) | 一括購入(価格は公式サイトを参照) | Pro の全機能と今後のアップデートを買い切りで利用 |
| Enterprise | 要問い合わせ | SOC 2 Type II 対応、請求の一元化、利用モデルの管理 |
学生向けの割引と、有料プランに対する 30 日間の返金保証が用意されている。ライセンスはデスクトップ版と iOS 版で共通。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- アプリを選ばず使えるため、「この作業のときだけ音声入力」ではなく、日常の入力手段として組み込みやすい
- オンデバイス処理でオフラインでも動くので、移動中や通信が不安定な場所でも止まらない
- 話した内容をそのまま書き出すだけでなく、AI が文脈に合わせて整形してくれるため、後から手直しする量が減る
- 無料プランで基本機能を無期限に使えるうえ、Pro 機能も一定量まで試せるので、導入判断がしやすい
- 買い切りプランがあり、長く使うほどサブスクリプションより負担が軽くなる
⚠️ デメリット
- クラウドモデルや大型のローカルモデルを本格的に使うには Pro プランが必要で、無料のままでは機能の幅が限られる
- ローカルモデルを動かす都合上、端末のスペック(メモリ・CPU/GPU)に品質と速度が左右される
- 話し方の癖や専門用語が多い分野では、辞書登録やモードの調整といった初期設定の手間がかかる
- Android と Linux には対応しておらず、macOS・Windows・iOS に限られる
- AI による整形は便利な反面、内容が意図と変わっていないか確認する工程は省けない
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Superwhisper | Wispr Flow | macOS 標準の音声入力 | OpenAI Whisper(本体) |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | 常駐アプリ(macOS / Windows / iOS) | 常駐アプリ(macOS / Windows / iOS) | OS 標準機能(Apple 製品) | オープンソースのモデル |
| オフライン動作 | 対応(ローカルモデル) | クラウド処理が中心 | 端末内で処理 | 自分で環境を用意すれば可能 |
| AI による整形 | Super Mode で対応 | 対応 | なし(そのまま入力) | なし(別途組み合わせが必要) |
| 対応アプリ | どのアプリでも利用可能 | どのアプリでも利用可能 | どのアプリでも利用可能 | 実装次第 |
| 料金 | 無料プランあり/Pro は月額制と買い切り | 無料プランあり/有料は月額制 | 無料 | 無料(実行環境の費用は別途) |
OS 標準の音声入力で足りるかどうかがまず分かれ目になる。「入力できればよい」なら標準機能で済むが、整形・辞書・モードの作り分け・ファイル文字起こしまで含めて日常の入力手段にしたい場合に、こうした専用アプリの価値が出てくる。
こんな人におすすめ
- 文章量が多く、キーボード入力の負担を減らしたいライター・企画職・カスタマーサポート担当
- チャットやドキュメントに書く下書きを、口頭で一気に吐き出してから整えたい人
- 会議やインタビューの録音をテキスト化して、議事録づくりの時間を短くしたい人
- 音声を外部に送りたくない、あるいはオフライン環境でも作業する必要がある人
- コーディング中に AI エージェントへ長い指示を出す機会が多い開発者
まとめ
Superwhisper は、オンデバイスの音声認識と AI による文章整形を組み合わせ、「話す」を日常的な入力手段に変えることを狙ったアプリである。どのアプリでも同じ操作で呼び出せる常駐型の設計と、オフラインでも動く点が実用面での強みになる。一方で、クラウドモデルの無制限利用やファイル文字起こしといった中核機能は Pro プラン以降となるため、まず無料プランと 3,000 語分の試用で自分の話し方・用途に合うかを確かめ、そのうえで月額と買い切りのどちらが割に合うかを判断するのがよい。