スウェーデン・ストックホルム発のスタートアップ Strawberry が開発する、AIエージェントを内蔵したデスクトップブラウザ。公式が「タブのためではなく、エージェントのために作られたブラウザ」と表現するとおり、ユーザーがページを開いて手作業する代わりに、ブラウザ内に常駐するAIコンパニオンがログイン済みのサイトを操作して仕事を進める。営業リードのリサーチ、採用候補者のソーシング、競合・市場調査、Webからのデータ抽出、CRMへの入力、会議の文字起こしや資料作成といった定型作業が対象で、使うほどユーザーの習慣や関わる人・プロジェクトを記憶して手戻りを減らす設計になっている。2025年10月に General Catalyst と EQT Ventures を中心に600万ドルを調達してベータを公開し、2026年2月には事前登録なしで誰でもダウンロードできるようになった。macOS と Windows に対応する。
主な特徴
- ブラウザに常駐するAIコンパニオン: 別タブのチャットではなく、閲覧中のページの文脈をそのまま引き継いでエージェントが動く。ログイン済みのセッションを使うため、パスワードで保護された社内ツールやSaaS上の作業も対象にできる
- ルーティンによる定型作業の自動化: 繰り返し発生する作業を「ルーティン」として登録し、メール・Slack・GitHub などの出来事をきっかけに自動実行できる。毎朝の情報収集や問い合わせの一次処理のような、時間を取られがちな作業を任せられる
- 会議の文字起こしと要約: 会議室に参加する専用ボットを入れずに、そのまま議事メモと要約を作成する。参加者側の同意ハードルが低く、社外との打ち合わせでも導入しやすい
- Webからのデータ抽出と入力の往復: LinkedIn や Crunchbase、G2、Reddit などから必要な情報を集め、スプレッドシートやCRMに書き戻すところまで一続きで処理する。調べる作業と入力する作業が分断されないのが特徴
- 成果物の可視化: 集めた情報をもとに、プレゼン資料・インフォグラフィック・ダッシュボードといった見せられる形まで生成する
- 主要SaaSとの連携: Gmail、Slack、GitHub、LinkedIn、Salesforce、HubSpot、Google スプレッドシート、Airtable、Figma、Notion のほか、Ashby や Greenhouse(採用)、Semrush(SEO)といった業務特化ツールにも対応する
料金
クレジット制で、Web を普通に閲覧するだけならクレジットは消費しない。AIコンパニオンが作業を代行したときにだけ消費される仕組み。
| プラン | 月額料金 | 月あたりクレジット | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 2,000 | クレジットカード登録不要。まず何を自動化できるか試す用 |
| Intern | $20 | 8,000 | 優先サポート |
| Part-time | $100 | 30,000 | 優先サポート |
| Full-time | $250 | 75,000 | 専任サポート |
| Team | 要問い合わせ | 共有プール | 複数のシート種別を組み合わせ、請求の一本化・管理者権限に対応 |
年払いにすると2ヶ月分が無料になる。クレジットを使い切った場合は、どのプランでも1,000クレジットあたり$10で追加購入できる。ブラウザエージェント・ルーティン・会議の文字起こしといった主要機能は、無料プランを含む全プランで利用できる。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- ログイン済みのブラウザ上で動くため、APIが公開されていないツールや社内システムでも自動化の対象にできる
- 無料プランに月2,000クレジットが付き、クレジットカードなしで実際の作業を試せる
- 「調べる → まとめる → 入力する」までが一つのアプリで完結し、ツール間のコピー&ペーストが減る
- ルーティンで定期実行まで組めるため、単発の指示だけでなく運用に乗せられる
- 会議の文字起こしに専用ボットを使わないので、相手先の許可を取りにくい場面でも使いやすい
⚠️ デメリット
- 従量制のクレジットのため、重い調査を繰り返すと月の上限に達しやすく、コストの見通しが立てにくい
- デスクトップアプリのみで、モバイルからは利用できない
- 普段使いのブラウザを乗り換える前提になるため、拡張機能やプロファイルの移行という手間が発生する
- ログイン済みセッションをエージェントが操作する構造上、社内の情報取り扱いルールとの整合を事前に確認する必要がある
- 比較的新しいサービスで、機能や仕様が今後変わる可能性がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Strawberry Browser | Comet | Dia | Opera Neon |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Strawberry(スウェーデン) | Perplexity | The Browser Company | Opera |
| 位置づけ | 業務代行を主眼にしたエージェント常駐型 | 検索・調査を軸にしたAIブラウザ | 執筆・整理を助けるAIブラウザ | エージェント機能を備えたAIブラウザ |
| 得意な作業 | リサーチ + CRM入力 + 資料化の一連の流れ | 情報収集と要約 | 閲覧中のタブを踏まえた文章作成 | Webタスクの自動実行 |
| 定期実行 | ルーティンとして登録可能 | 限定的 | 限定的 | 限定的 |
| 対応OS | macOS / Windows | macOS / Windows / モバイル | macOS / Windows | macOS / Windows |
| 課金の考え方 | クレジット従量制(無料枠あり) | 無料プランあり | 無料プランあり | 有料サブスクリプション |
Strawberry Browser は、この中では「調べる」よりも「代わりにやってもらう」側に寄っている。単に要約が欲しいだけなら他のAIブラウザで足り、CRMへの入力や候補者リストの作成といった手作業の置き換えを狙う場合に差が出る。
こんな人におすすめ
- リードのリサーチとCRM入力に毎日時間を取られている営業・インサイドセールス担当者
- LinkedIn や採用管理ツールを行き来して候補者を探しているリクルーター
- 競合調査や市場調査を定期的に回す必要があるマーケターや事業企画担当者
- APIが用意されていない社内システムへの入力作業を自動化したい小規模チーム
- 会議のメモ取りから解放されたいが、会議室にボットを入れることに抵抗がある人
まとめ
Strawberry Browser は、AIをチャット窓に閉じ込めず、ログイン済みのブラウザという実務の現場そのものに置いたサービスである。強みは、調査からデータ入力・資料化までを分断せずに任せられる点と、ルーティンによって単発の指示を日々の運用に組み込める点にある。一方でクレジット従量制のコスト管理とブラウザ乗り換えの手間は導入前に考えておきたい。まずは無料プランの月2,000クレジットで、自分の作業のうちどこまでを任せられるかを見極めるところから始めるとよい。