Drew Raines氏が開発するmacOS向けのMarkdownエディタ。AIエージェントが手元のMarkdownファイルに加えた変更をそのまま上書きさせず、いったん「提案」として受け止め、人間が承認・却下・修正のいずれかを選んでから確定させる。扱うのは暗号化もされていないただのMarkdownファイルなので、APIキーや専用の連携設定は不要で、ファイルを書き換えられるAIエージェントであれば種類を問わず組み合わせられる。2026年5月に最初のバージョンが公開され、2026年8月時点の最新版は0.7.0。
主な特徴
- 変更を1件ずつ承認・却下・修正: エージェントが書き換えた箇所が差分として並び、そのまま受け入れるか、戻すか、手を入れて直すかをその場で選べる。AIを「最終稿を出す道具」ではなく共著者として扱う設計になっている
- フォルダ単位で決めるレビューの厳しさ: すべての変更を待たせる手動モード、細かな修正は自動で通し重要な変更だけ止める中間モード、いったん反映しつつ変更箇所には印を残す自動モードの3段階を、フォルダごとに切り替えられる
- 重要な変更を見分ける差分検出: 言い回しの微調整と、数値の書き換え・否定の反転・削除のような影響の大きい変更を区別し、リスクの高いものから先に確認できる(0.7.0で強化)
- 文書内に書く指示とワンクリックの受け渡し: 直したい箇所に指示を書き込んでおけばエージェントがそれを拾い、修正案を返す。「Send to AI」ボタンで文書ごと渡すこともできる
- バージョン履歴と復元: 文書の変遷を追え、以前の状態に戻せる
- 共有とコメント(Stet Sync): 文書を共有してWeb上でレビューを依頼でき、コメントスレッドと承認のやり取りができる。実験的機能としてGoogle Driveとの連携も用意されている
料金
| プラン | 月額料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | $0 | ワークスペース1つ、Stet Syncは10ドキュメント/10MBまで |
| Writer | $5(Founding Member価格。通常は$10) | ワークスペース無制限、ストレージ1GB |
| Team | 要問い合わせ | ストレージ拡張、支払いの一元管理 |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- AIの変更が黙って確定しないため、事実や数値が入れ替わる事故に気づきやすい
- ローカルのMarkdownファイルをそのまま扱うので、特定のAIサービスに縛られない。APIキーの登録も不要
- フォルダごとにレビューの厳しさを変えられ、下書き用と公開前原稿用で運用を分けられる
- 無料プランでも中核のレビュー機能を試せる
⚠️ デメリット
- macOS専用で、WindowsやLinux、モバイルには対応していない
- バージョン0.7.0と開発途上であり、機能の追加・変更のペースが速い
- 無料プランの共有機能(Stet Sync)は10ドキュメント/10MBと小さく、チーム利用にはほぼ有料プランが前提になる
- Markdown以外の形式(Word、Google ドキュメント形式など)を直接扱う用途には向かない
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Stet | Obsidian | Cursor | Google ドキュメント |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | AIの書き換えのレビュー | ローカルMarkdownのノート管理 | コード中心のAI編集 | 共同編集・提案モード |
| ファイル形式 | ローカルMarkdown | ローカルMarkdown | リポジトリ内のファイル | クラウド上の独自形式 |
| AI変更の承認 | 全変更を3択でレビュー | 標準機能ではない | コードの差分を承認・却下 | 人の提案が中心 |
| 対応OS | macOS | Windows/Mac/Linux/モバイル | Windows/Mac/Linux | ブラウザ |
| 料金 | 無料〜月$5 | 個人利用は無料 | 無料枠あり/有料プラン | 無料〜有料 |
こんな人におすすめ
- AIに原稿の推敲や更新を任せたいが、勝手に事実や数字を変えられるのが不安な書き手
- 仕様書・議事録・手順書など、内容の正確さが求められる文書をAIと一緒に育てている人
- ChatGPTやClaudeなど複数のエージェントを使い分けており、特定サービス専用のエディタに縛られたくない人
- 原稿をMarkdownで管理していて、変更履歴を追いながら仕上げたいMacユーザー
まとめ
Stetは、AIが書いた内容をそのまま採用するのでも、毎回全文を読み直すのでもなく、「変わった箇所だけを、重要度順に確認する」という中間のやり方を用意したエディタである。ローカルのMarkdownを扱うだけなので導入の手間が小さく、どのAIエージェントとも組み合わせられるのが強み。macOS専用でバージョンもまだ0.7.0と若いため、まずは無料プランで手元の原稿を1つ預けてみて、レビューの流れが自分の書き方に合うかを確かめるのがよい。