「問い合わせフォームの送信内容を独自のテーブルに保存したい」「管理画面に自社用の設定ページを追加したい」─WordPressサイトを運用していると、既存プラグインでは届かない小さな要望が必ず出てくる。Steemは、そうしたやりたいことを普通の文章で書くだけで、PHPファイル・管理画面・フック・JavaScript・ディレクトリ構成まで揃ったWordPressプラグインを丸ごと生成し、ZIPでダウンロードできるようにするブラウザベースのAIツールである。2025年12月に公開され、Hacker Newsの「Show HN」で紹介されたことで知られるようになった。生成物はブラウザ内の実WordPress環境でそのままプレビューでき、ローカル開発環境を用意する必要がない。
主な特徴
- 自然言語からプラグイン一式を生成: やりたいことを文章で書くと、PHPファイル・管理画面・フック・JavaScriptを含む完全なプラグインが構成され、ZIPとしてダウンロードできる。スニペット単位ではなく「インストールできる状態」で出てくるのが特徴
- WordPressの作法を理解した出力: フック・フィルター・Settings API・nonce・プラグインディレクトリの標準構成といったWordPress固有の書き方に沿ってコードが生成される。汎用のコード生成AIに書かせたときのような「WordPressらしくない」実装になりにくい
- セキュリティを既定で組み込む: 権限チェック(capability check)、nonce検証、入力値のサニタイズが標準で盛り込まれる。非エンジニアが生成したコードをそのまま公開サイトに載せる場面を想定した設計になっている
- ブラウザ内でのライブプレビュー: 生成したプラグインを実際のWordPressインスタンス上で動かして確認できる。ローカルにPHPやデータベースを用意する必要がなく、インストール前に挙動を確かめられる
- 生成過程が見える: 生成中にPHPファイルが作られていく様子を画面で追える。どのファイルが何のために作られたかを把握しやすい
- コードの所有権はユーザー側: 生成されたコードは利用者が完全に所有し、Steemへのランタイム依存もない。改変・販売・再配布が自由にできる
料金
クレジット制を採用しており、1回の生成で消費するクレジットはプラグインの複雑さに応じて変動する。公式の説明では、単純なプラグインで15クレジット前後、作り込んだプラグインで55クレジット前後が目安とされている。
| プラン | 月額料金 | クレジット | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 75クレジット | ライブプレビュー、ZIPダウンロード、コードの所有権。プラグイン約1本分 |
| Pro | $10 | 毎月500クレジット | Freeの全機能に加え、未使用分を最大1,500クレジットまで繰り越し。解約後も購入済みクレジットは保持。プラグイン約9本分 |
紹介プログラムもあり、紹介リンク経由での登録で100クレジット、その人がProに加入するとさらに500クレジットが付与される。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- コーディング知識がなくても、文章で説明するだけで独自機能をサイトに追加できる
- スニペットではなく「インストールできるプラグイン」として出てくるため、貼り付け先を探す手間がない
- nonce検証や権限チェックが既定で入るため、素人が書いたコードにありがちな初歩的な穴を避けやすい
- ローカル開発環境の構築が不要で、ブラウザだけで生成からプレビューまで完結する
- 生成コードに利用制限がなく、クライアント案件や配布用プラグインにも使える
⚠️ デメリット
- クレジット制のため、試行錯誤を重ねると想定より早く残量が減る。無料枠はプラグイン約1本分にとどまる
- 2025年12月公開の新しいサービスで、運営体制や長期的な提供継続についての公開情報が乏しい
- 生成されたコードの妥当性は最終的に人間の確認が必要。特に外部API連携や決済など影響の大きい処理は、そのまま本番投入せずレビューとテストを挟むべき
- 日本語ドキュメントは用意されておらず、プロンプトも英語のほうが安定しやすい
- 既存プラグインとの競合や、テーマ側の実装に依存する挙動までは面倒を見きれない
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Steem | Telex (WordPress) | CodeWP | WP-Autoplugin |
|---|---|---|---|---|
| 主な出力 | プラグイン一式(ZIP) | Gutenbergブロック/テーマ | コードスニペット | プラグイン(サイト内生成) |
| 動作場所 | ブラウザ(SaaS) | ブラウザ(SaaS) | ブラウザ(SaaS) | 自サイトのWordPress上 |
| プレビュー | ブラウザ内の実WordPress | WordPress Playground | なし | 自サイトで直接動作 |
| 想定ユーザー | 非エンジニア〜制作者 | 非エンジニア〜開発者 | WordPress開発者 | 開発者・技術に明るい運営者 |
| 料金 | 無料枠あり/Pro $10/月 | 無料 | 無料枠あり/有料プラン | オープンソース(AI APIキーは自前) |
こんな人におすすめ
- 既存プラグインでは実現できない小さなカスタマイズを、開発者に依頼せず自分で用意したいサイト運営者
- クライアントの要望に合わせた専用プラグインを短時間でたたき台として作りたいWeb制作者・フリーランス
- PHPやWordPressの流儀を学びながら、動く実例を手元に置きたい学習者
- 定型的なプラグインの初期構成をAIに任せ、自分は仕上げと検証に集中したい開発者
まとめ
Steemは、自然言語の指示からインストール可能なWordPressプラグインを丸ごと生成する、目的の絞られたAIツールである。汎用のコード生成AIと違い、フック・Settings API・nonceといったWordPress固有の作法を前提に出力するため、非エンジニアでも扱いやすい。一方でクレジット制の消費ペースや、公開から日が浅いサービスであることは把握しておきたい。まずは無料枠でプラグイン1本を作り、生成されたコードの質と自分の用途への適合を確かめてから有料プランを検討するとよい。生成コードを本番サイトに載せる前に、動作確認とバックアップを取る習慣は変わらず必要である。