OpenAIやAnthropicの従量課金APIを、月額固定のサブスクリプションに置き換えるLLM APIサービス。OpenAI互換のインターフェースを備えており、接続先のベースURL・モデル名・APIキーの3か所を書き換えるだけで、既存のコーディングエージェントや自動化スクリプトをそのまま乗せ替えられる。リクエストの内容に応じて適切なモデルとプロバイダーへ自動で振り分ける「スマートルーティング」と、共有プールでの実行スケジューリングによって、トークン単価を気にせず長時間エージェントを回し続けられる点を売りにしている。2025年11月公開。
主な特徴
- トークン課金ではなく月額定額: 全プランでper-token課金が発生しない。「今月いくら使ったか」をダッシュボードで追いかける必要がなく、コンピュート予算を月初に確定できる
- OpenAI互換APIで乗せ替えは3行: ベースURLを
api.stdcmpt.com/v1に、モデル名をstandardcomputeに、APIキーを自社発行のものに変えるだけ。OpenAI SDKを使うツールであればコード側の書き換えはほぼ不要 - 主要なコーディングエージェントに接続可能: Claude Code、Cursor、Cline、GitHub Copilot、Windsurf、Aider、Continue など、OpenAI互換SDKを使うエージェントで利用できる
- 複数ラボのフロンティアモデルを横断利用: Anthropic の Claude Opus 5、OpenAI の GPT-5.6 Sol、Google の Gemini 3.1 Pro に加え、GLM 5.2・Kimi K3・MiniMax M3 といったオープンモデルも対象。新モデルは公開から数日以内に順次追加される方針が示されている
- スマートルーティングとプロバイダー最適化: タスクの難易度に応じて軽量モデルとフロンティアモデルを使い分け、同一モデルでも複数プロバイダーの中から速い・安いものへ振り分ける。これが「同じ支払額でより多くのコンピュート」を成立させる仕組みになっている
- ペーシング(速度調整)で枯渇を回避: 月内のコンピュート予算を使い切りそうなとき、リクエストを止めるのではなく応答速度を緩めて走り続けさせるオプションがある
- プロンプトと出力を保存しない方針: 自社でもルーティング先プロバイダーでも、プロンプト・出力を保存・ログ化・学習利用しないと明記。APIトラフィックを学習に使うプロバイダーはネットワークから除外するとしている
料金
| プラン | 月額料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Economy | $39 | 共有実行プール、標準の実行速度、全モデルへのスマートルーティング、APIキー1本 |
| Standard | $89 | 優先スケジューリング、高容量プール、実行速度が向上、APIキー1本 |
| Max | $249 | 最優先スケジューリング、最速の実行、常時稼働のエージェント群向け、APIキー1本 |
| Business | 要問い合わせ | チームの利用量に合わせた定額、APIキー複数本、請求の一本化 |
いずれのプランもトークン単価は発生せず、利用できるモデルの範囲は同一。プラン差は「速度と優先度」に集約されている。初回購読後は7日間の返金対応があり、解約はダッシュボードから随時可能とされている。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 月額固定のため、エージェントを長時間走らせてもコストが跳ね上がらない。予算の見通しが立てやすい
- OpenAI互換なので、既存のツールチェーンをほぼ書き換えずに移行できる
- 1つの契約で複数ラボのフロンティアモデルにアクセスでき、モデルごとに別々のAPIキーと請求を管理せずに済む
- ルーティングが自動なので、タスクごとにモデルを選ぶ設計を自前で持たなくてよい
- プロンプト・出力を保存しない方針が明示されている
⚠️ デメリット
- 月内のコンピュート予算を使い切ると、ペーシングを有効にしていない限り翌月の更新までリクエストが止まる
- 「使い放題」といっても共有プールの上での優先度制御であり、混雑時の応答速度はプランに依存する
- 利用が月に数ドル程度で収まる軽量な用途では、従量課金のほうが安くつく
- モデル名が
standardcomputeに抽象化されるため、特定モデルを名指しして固定したい要件とは相性が悪い - OpenAI互換のインターフェースを持たないツールとは接続できない
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Standard Compute | OpenRouter | OpenAI API(直接) | Anthropic API(直接) |
|---|---|---|---|---|
| 課金方式 | 月額定額 | 従量課金(クレジット) | 従量課金 | 従量課金 |
| 扱えるモデル | 複数ラボの上位モデル | 多数のモデルを横断 | OpenAIのモデルのみ | Anthropicのモデルのみ |
| モデル選択 | 自動ルーティング中心 | 呼び出し側が指定 | 呼び出し側が指定 | 呼び出し側が指定 |
| インターフェース | OpenAI互換 | OpenAI互換 | OpenAI | Anthropic独自(互換層あり) |
| 向いている用途 | 長時間稼働のエージェント | 幅広いモデルの試用・比較 | OpenAI前提の本番運用 | Anthropic前提の本番運用 |
こんな人におすすめ
- コーディングエージェントを一日中走らせていて、月末のAPI請求額が読めないことに困っている開発者
- 個人開発や小規模チームで、コンピュート費用を固定費として計上したい人
- 複数ラボのモデルを使い分けたいが、契約と請求を1本にまとめたい人
- OpenAI互換のSDKで自動化ワークフローを組んでおり、接続先だけ差し替えて試したい人
- 逆に、月のAPI利用が数ドル規模にとどまる人には向かない。従量課金のままのほうが安い
まとめ
Standard Computeは、「トークン単価を気にしながらエージェントを使う」という状態を、月額固定の予算に置き換えることを狙ったLLMゲートウェイである。OpenAI互換なので導入コストは低く、乗せ替えの実験もしやすい。一方で、上限がまったく無いわけではなく、共有プールの優先度と月内のコンピュート予算という制約の上に成り立っている点は理解しておきたい。まずはEconomyプランで自分のワークロードが予算内に収まるかを確かめ、速度が足りなければ上位プランへ移るのが現実的な進め方になる。