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Speko ─ 音声AIのSTT・LLM・TTSを言語別ベンチマークで自動選択する「音声版OpenRouter」

Spekoは、音声AIエージェントで使う音声認識(STT)・LLM・音声合成(TTS)のモデル選定を、プロバイダーの主張ではなく自社で継続測定したベンチマークに基づいて自動化する音声モデルルーターである。Y Combinatorの公式ローンチ投稿では「OpenRouter for Voice」と位置づけられており、1つのAPIキーとOpenAI API互換の単一エンドポイントから、STT・LLM・TTS・音声対話(S2S)を横断する72種類のモデルへアクセスできる。2026年のY Combinator Summer 2026(S26)バッチに採択され、モルガン・スタンレーやHSBC、Grab向けに4年間音声AIを提供してきたHupoの元CTOが創業した。当初は音声モデルの自動ルーティングに特化していたが、その後ブラウザ・電話の両方で動く再利用可能なエージェントを管理するManaged Agents Platformや、プロバイダーへ直接ストリーミング接続できるオープンソースのローカルランタイムGateway(早期プレビュー)も加わり、開発者が入口を選べる構成になっている。

主な特徴

  • 言語別ベンチマークに基づく自動ルーティング: STT 17種・LLM 23種・TTS 22種・S2S 10種、計72モデルを英語に加えスペイン語・アラビア語・フランス語・ドイツ語・ヒンディー語・ノルウェー語・タミル語・テルグ語・フィリピン語など10言語で継続的にベンチマークし、精度(WER等)・レイテンシ・コストの重み付けを選べるoptimizeFor(balanced/accuracy/latency/cost)に応じて最適なモデルへ自動振り分ける。測定結果はbenchmarks.speko.aiで一般公開
  • OpenAI API互換の単一エンドポイント: 1つのbase URLと1つのAPIキーでSTT・LLM・TTSを呼び出せる。LiveKitのOpenAIプラグインやPipecatなど既存のフレームワークは、baseURLをSpekoの向け先に変更するだけでコードを書き換えずに動く
  • プリレスポンスの自動フェイルオーバー: 選ばれたプロバイダーが失敗すると、ベンチマーク順位が次点の候補へ自動的にリトライする。レスポンスにはprovider・model・failoverCountに加え、X-Speko-Provider等のヘッダーが付き、実際に何が動いたかを追跡できる
  • TypeScript(LiveKit)/Python(Pipecat)SDKと公式MCPサーバー: 型付きのSDKとブラウザ向けWebRTCクライアントに加え、Claude Code・Codex・Cursor等のコーディングエージェントからエージェントの作成・デプロイ・テスト・移行までを操作できるMCPサーバー(https://mcp.speko.ai/mcp)を公式に用意
  • Managed Agents PlatformとGateway(早期プレビュー): ルーティングAPI(Relay)だけでなく、プロンプト・音声・ツールを持つ再利用可能なエージェントをブラウザ会話と電話発着信の両方で動かせる管理プラットフォーム、BYOKの認証情報を自分のプロセス内に留めたままプロバイダーへ直接接続できるオープンソースのローカルサイドカーGatewayも展開

料金

プラン料金主な内容
Routerプロバイダー公表レート + 5%自動選択・フェイルオーバー込みの従量課金。コミットメントなし、メールサポート
Speko infra$0.09/分(オールインクルーシブ)STT・LLM・TTSを分単位の定額に統合。コミットメントなし
Enterprise要問い合わせ(契約でロック)デプロイレビュー、専任サポート、契約SLA、月間最低利用料あり

料金は2026年8月時点の情報です。新規登録には$100分のサインアップクレジットが付与されます。Router・Speko infraともに現時点はPublic Preview(SLAなし)です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • 各モデルの精度・レイテンシ・コストの測定結果がbenchmarks.speko.aiで一般公開されており、ベンダーの自己申告ではなく実測値をもとにモデルを選べる
  • 1つのAPIキー・OpenAI互換エンドポイントで、OpenAI・ElevenLabs・Deepgram・Cartesia・Humeなど30近いプロバイダー・72モデルを切り替えられ、契約やSDKの違いを個別に吸収しなくて済む
  • プリレスポンスの自動フェイルオーバーにより、単一プロバイダーの障害がそのまま音声パイプラインの停止に直結しにくい
  • MCPサーバーにより、Claude CodeなどのコーディングエージェントからSpeko上のエージェント作成・デプロイ・テストまで会話形式で進められる
  • $100のサインアップクレジットがあり、Router・Speko infraいずれも実際のリクエストで試しやすい

⚠️ デメリット

  • Router・Speko infraともに現時点はPublic Preview扱いでSLAが無く、本番の可用性保証にはEnterpriseプランでの契約が必要
  • 2026年のYC S26バッチに採択されたばかりの新しいサービスで、実績や導入事例、コミュニティの情報がまだ少ない
  • 電話回線(テレフォニー)への接続はスコープ外で、SIPや電話キャリアとの接続はアプリ側で別途用意する必要がある
  • VapiやRetell AIのように会話ループ全体をホスト側が管理してくれるわけではなく、LiveKitやPipecatなど自前のランタイムを運用する前提になる

類似サービスとの比較

比較項目SpekoVapiRetell AI
位置づけ音声モデルのルーター(STT/LLM/TTSの選定層)会話ループ全体を運用するホスト型開発プラットフォーム電話音声エージェントに特化したホスト型プラットフォーム
会話ループの管理アプリ側(LiveKit/Pipecat等)が保持Vapi側がオーケストレーションRetell側がオーケストレーション
テレフォニースコープ外(アプリ側の責務)個別課金で接続Retellのキャリアサービスまたは独自SIPを個別課金で提供
モデル選定ベンチマークに基づく自動選択、またはピン留め開発者が対応STT/LLM/TTSを設定Retellが対応するモデル・インフラ構成から選択
ベンチマークの公開benchmarks.speko.aiで全モデルを公開非公開非公開
料金体系従量制(Router: プロバイダー実費+5%/Speko infra: $0.09/分)利用量ベースのホスティング・オーケストレーション料金+モデル/電話別課金コンポーネント別課金(音声インフラ+TTS/LLM/電話等)

Speko自身が公式サイトで両サービスとの比較を公開しており(2026年7月31日時点で確認)、「会話ループと運用まで引き受けるVapi/Retell AI」と「STT/LLM/TTSの選定だけを担うSpeko」という立ち位置の違いを強調している。

こんな人におすすめ

  • LiveKitやPipecatで自前の音声エージェントランタイムを既に持ち、STT/LLM/TTSの選定・切り替えだけを外部化したい開発者
  • 対応言語ごとに最適な音声モデルを都度リサーチする手間を省きたい、多言語音声プロダクトのチーム
  • 単一プロバイダーの障害がそのまま音声パイプラインの停止につながるリスクを、フェイルオーバーで下げたいチーム
  • Claude CodeやCursorなどのコーディングエージェントに、音声エージェントの構築・デプロイ作業まで任せたい人

まとめ

Spekoは、音声AIのSTT・LLM・TTS選定を「ベンダーの主張」ではなく「公開ベンチマーク」に基づいて自動化する、YC自身が「OpenRouter for Voice」と呼ぶルーティングAPIである。VapiやRetell AIのように会話ループそのものを管理するのではなく、その下のモデル選定レイヤーに特化している点が最大の違いで、LiveKitやPipecatなど自前のランタイムを持つチームほど導入効果が出やすい。2026年半ばに立ち上がったばかりでPublic Preview段階のため、本番導入の前提となるSLAや実績の少なさは踏まえておく必要がある。

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