Shawn Pana 氏が公開しているオープンソースの tmux セットアップツール。curl 一発で tmux 本体・独自の設定ファイル・tmux-bridge CLI が ~/.smux/ に導入され、ターミナルを分割したペインの間で AI エージェント同士がやり取りできるようになる。Claude Code が隣のペインの Codex にプロンプトを打ち込み、Codex がその結果を返す ─ といった協調作業を、専用の API やプロトコルなしに実現するのが特徴。仕組みは tmux 標準の画面取得・キー送信機能の上に薄い CLI を被せたもので、bash を実行できるエージェントであれば種類を問わず参加できる。ライセンスは MIT で、費用はかからない。
主な特徴
- ワンコマンドで導入:
curl -fsSL https://shawnpana.com/smux/install.sh | bashを実行するだけで、tmux(未インストールなら自動導入)・設定ファイル・tmux-bridgeCLI が一式そろう。ファイルは~/.smux/にまとまるため、後から場所を追いやすい - tmux-bridge によるペイン間の読み書き:
list(ペイン一覧)、read(ペインの出力を取得)、type(Enter を送らずに文字だけ入力)、keys(Enter・Escape・Ctrl+C などの特殊キー送信)、name/resolve(ペインへのラベル付けと参照)という小さなコマンドに分かれている。1 コマンド 1 動作なので、入力と送信を分けて確認しながら進められる - エージェント間の直接協調: 相手のエージェントが API を公開している必要がない。ターミナルで動いていて bash が叩ければよいため、Claude Code・Codex・Gemini CLI といった CLI 型エージェントを混在させられる
- スキルとして配布:
npx skills add ShawnPana/smuxでスキルを追加すると、エージェント側がtmux-bridgeの使い方を理解した状態になる。公式には Claude Code・Codex・Cursor・Copilot を含む 40 以上のエージェントに対応するとされている - 人間が使う tmux 設定としても実用的: prefix キーを押さずに操作できる Option キーバインド、マウスでのペイン選択とテキスト選択、ペインラベルの表示、情報を絞ったステータスバーなど、日常の tmux 操作を軽くする設定が同梱されている
- 動作環境: macOS(Homebrew が必要)と Linux に対応。tmux は 3.2 以上が前提で、入っていなければインストーラーが用意する
料金
| プラン | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| オープンソース(MIT) | $0 | 全機能を無料で利用可能。有料プラン・商用ライセンスの区分なし |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の情報は公式リポジトリをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 無料かつ MIT ライセンスで、中身をすべて読める。導入スクリプトの内容も事前に確認できる
- tmux という枯れた土台の上に乗っているため、独自プロトコルを学ぶ必要がない
- コマンドが細かく分かれており、「文字を入れる」と「Enter を押す」を分離できるので、意図しない実行を避けやすい
- ペインに名前を付けられるため、エージェントが送信先を人間にも読める形で指定できる
- エージェント連携だけでなく、素の tmux 設定としてもそのまま使える
⚠️ デメリット
- Windows はネイティブ対応外で、利用するなら WSL などの Linux 環境が前提になる
- tmux の基本操作(セッション・ウィンドウ・ペインの概念)を知らないと、最初のつまずきが大きい
- ペインの表示内容を文字列として読み書きする方式のため、出力が長い場合や凝った TUI を持つツールでは取りこぼし・誤送信が起こりうる
- エージェントに任意のキー送信を許すことになる。確認なしで危険なコマンドを打たせないよう、権限設定や画面の監視は利用者側の責任になる
- 個人が開発する比較的新しいプロジェクトであり、コマンド体系が変わる可能性がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | smux | 素の tmux(send-keys 直叩き) | tmux-bridge-mcp | Zellij |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | tmux 設定+エージェント間通信 | 任意のペイン操作の自動化 | MCP 経由のペイン間通信 | ターミナルマルチプレクサ |
| 導入 | ワンコマンドのインストーラー | tmux 標準機能のみ(自前で組む) | MCP サーバーとして設定 | パッケージマネージャー等 |
| エージェント連携 | bash から tmux-bridge を呼ぶ | 自作スクリプトが必要 | MCP 対応クライアントから呼ぶ | 標準機能としては用意なし |
| 対応 OS | macOS / Linux | macOS / Linux | macOS / Linux | macOS / Linux / Windows |
| 料金 | 無料(MIT) | 無料 | 無料 | 無料 |
こんな人におすすめ
- Claude Code と Codex のような CLI 型エージェントを同時に使っていて、片方の出力をコピーしてもう片方に貼る作業を繰り返している人
- 実装役とレビュー役のように、複数エージェントに役割を分けて並行作業させたい人
- MCP サーバーを増やさず、bash コマンドだけで完結する軽い仕組みを好む人
- すでに tmux を日常的に使っていて、キーバインドやペインラベルまわりの設定を手早く整えたい人
まとめ
smux は、tmux の画面取得とキー送信という枯れた機能を、AI エージェント向けの小さな CLI にまとめ直したツールである。専用の API を挟まずにエージェント同士を会話させられる点が最大の利点で、導入もアンインストールも ~/.smux/ に閉じているため試しやすい。一方で、ペインの文字列を介した通信という性質上、確実性は用途に依存する。まずは実装役とレビュー役の 2 ペイン構成のような小さな組み合わせから試し、エージェントに送らせるキー操作を目視できる状態で運用を始めるとよい。