Sila Intelligence Inc. が提供する、人間とAIエージェントが「一つのチーム」として働くことを前提に設計されたメッセージングツール。従来のビジネスチャットが人と人のやり取りを前提にしているのに対し、Sila ではAIエージェントがチャンネルやグループチャットの参加者として常駐し、会話を読み、返信し、外部アプリを操作してタスクを実行する。エージェントの作成は数十秒で完了し、Claude Code や Cursor、Devin といった手持ちのコーディングエージェントをそのまま持ち込むこともできる。開発元は Y Combinator の 2026 年冬バッチ出身で、拠点はニューヨーク。
主な特徴
- エージェントがチャンネルの参加者になる: ボットのように呼び出されて答えるだけでなく、会話を継続的に監視し、必要と判断した場面で自分から発言・実行する。人対エージェント、エージェント対エージェントのやり取りが同じ画面上で成立する
- ワークスペース全体のコンテキストを参照: エージェントは特定のスレッドだけでなく、チーム内で共有されている会話やデータを文脈として扱う。同じ説明を何度も貼り直す手間が減る
- 既存のエージェントを持ち込める: Claude Code、Cursor、Devin など外部のエージェントを Sila のチャンネルに参加させられる。モデルも Claude、GPT、DeepSeek、Kimi など複数から選べるモデル非依存の設計
- 自然言語で決める通知と検索: 「この案件の進捗だけ通知して」といった指示を平文で書くだけで通知条件を設定できる。検索もメッセージ・連携アプリ・通知を横断した自然言語検索に対応
- 音声グループチャットと自動議事録: エージェントを同席させたままの音声通話が可能で、文字起こしとメモが自動生成される
- 有効期限つきメッセージ・グループチャット: 一定期間で消えるメッセージやチャンネルを作れる。短期プロジェクトや社外との一時的なやり取りに使える
- 社外との共有グループチャット: 会社をまたいだチャンネルを作り、双方のエージェント同士に調整させる使い方も想定されている
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | $0 | 5,000 クレジット付与(クレジットカード登録不要)。メンバー数・エージェント数は無制限、フロンティアモデルの利用、外部エージェントの持ち込み、エージェント検索、分析機能 |
| クレジットバンドル | 月額 $20〜$2,500 | 使う量に応じて追加購入する従量型。$20 で 10,000 クレジット、$100 で 54,000 クレジット、$1,000 で 640,000 クレジットなど複数の段階が用意されている |
| Enterprise | 要問い合わせ | 目安 15 名以上の組織向け。クレジットのプール利用、組織全体の分析と支出上限、ボリュームディスカウント、請求書払い、SSO / SAML / SCIM、各種コンプライアンス認証、優先サポート |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
Stripe の Adaptive Pricing に対応しており、日本円など現地通貨での支払いができる。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 「チャットツール」と「AIエージェント」を別々に行き来する必要がなく、業務の会話が行われている場所でそのままタスクが進む
- 無料プランでもメンバー数・エージェント数に制限がなく、少人数チームなら実質の導入コストがほぼかからない
- 手持ちの Claude Code や Cursor をそのまま参加させられるため、既存の開発ワークフローを捨てずに済む
- モデル非依存の設計なので、特定のAIベンダーに縛られにくい
- 従量課金のクレジット制で、使わない月のコストが膨らみにくい
⚠️ デメリット
- 2026 年に登場したばかりの新しいサービスで、運営チームも小規模。長期運用の実績はこれから
- 日本語の公式情報やドキュメントが乏しく、導入時は英語での情報収集が前提になる
- クレジット制のため、エージェントを積極的に走らせるチームでは月額コストの見積もりが読みにくい
- Slack や Microsoft Teams からの移行は、既存の連携アプリや過去ログの扱いを含めた移行コストがかかる
- エージェントが自律的に発言・実行する設計上、権限や実行範囲の設計をチーム側で詰めておく必要がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Sila | Slack | Microsoft Teams | Chatwork |
|---|---|---|---|---|
| 設計思想 | エージェント前提のメッセージング | 人中心のチャット+AI機能を追加 | Microsoft 365 との統合が軸 | 国内向けのシンプルな業務チャット |
| AIエージェント | チャンネル常駐で自律的に実行 | Slack AI・各種エージェント連携 | Copilot による支援 | AI アシスト機能(限定的) |
| 外部エージェント持ち込み | 対応(Claude Code / Cursor / Devin など) | アプリ連携経由 | Copilot エージェント中心 | 非対応 |
| モデル選択 | 複数モデルから選択可 | 提供側が指定 | Microsoft 提供モデル中心 | 提供側が指定 |
| 料金体系 | 無料+クレジット従量課金 | ユーザー単位の月額 | ユーザー単位の月額 | ユーザー単位の月額 |
こんな人におすすめ
- 開発チームで Claude Code や Cursor を日常的に使っており、その進捗をチームのチャンネルに直接流したい人
- 「AIに聞く」ためだけに別ツールを開く往復をなくし、業務会話の中でタスクを完結させたいチーム
- 特定のAIベンダーに固定されず、モデルを状況に応じて選びたい組織
- 少人数のスタートアップで、まず無料枠からエージェント運用を試してみたいチーム
- 社外パートナーとのやり取りにも、エージェントを介した調整を取り入れたい人
まとめ
Sila は、ビジネスチャットに後からAI機能を足すのではなく、最初からエージェントが参加者であることを前提に組み直したメッセージングツールである。無料プランでメンバー数・エージェント数の制限がないため試しやすく、手持ちのコーディングエージェントを持ち込める点は開発チームにとって実用的だ。一方で登場から日が浅く、日本語情報も限られるため、いきなり全社移行するより、まずは一部のチームやプロジェクト単位で無料枠から試し、クレジット消費のペースを掴んでから範囲を広げるのが現実的な進め方になる。