日本の AI 企業 Sakana AI が 2026 年 7 月 6 日に公開した、日本語・英語・中国語を双方向に翻訳する無料の Web サービス。アカウント登録だけで使え、1 回あたり最大約 5,000 字まで貼り付けられる。特徴は「日本語を、深く翻訳する」というコンセプトで、同社が日本語向けに調整した独自モデルシリーズ「Namazu」を採用している点にある。ビジネス敬語の距離感、文化に根ざした言葉、略語やネットスラングといった、汎用の翻訳ツールが取りこぼしがちな部分を訳し分けることを狙う。翻訳だけでなく添削と質疑の 3 機能が 1 画面に同居しており、訳文の理由をその場で聞ける点も一般的な翻訳ツールとは異なる。2026 年 8 月 21 日には新世代の Namazu を搭載するアップデートが行われた。
主な特徴
- 日本語特化モデル「Namazu」による翻訳: 汎用の多言語モデルではなく、日本語とその背景にある文化・文脈の理解を重視して開発されたモデルシリーズを使う。「お宮参り」のような文化的背景を持つ語の扱いが改善されたとアナウンスされている
- 翻訳・添削・質疑の 3 機能が 1 画面: 訳すだけでなく、原文を自然な表現に整える添削モード(差分ハイライト付き)と、結果について追加で質問できる質疑モードを同じ画面で行き来できる
- 最大約 5,000 字の長文入力: メールや記事をまるごと貼り付けられる。訳文はストリーミング表示され、全文の生成を待たずに読み始められる
- 日英中の双方向対応: 日本語 ⇄ 英語だけでなく、中国語との組み合わせにも対応する
- 辞書代わりの使い方ができる: 「なぜこの訳語を選んだのか」「もっとカジュアルな言い方は」といった質問を続けられるため、単語や言い回しの調べ物にも使える
- 無料・登録のみで利用可能: 2026 年 8 月時点で 3 機能すべてが無料。ブラウザから利用でき、インストールは不要
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 無料(アカウント登録) | $0 | 翻訳・添削・質疑の 3 機能、最大約 5,000 字の入力 |
| API / エンタープライズ | 未提供(計画中) | 公式アナウンスで、ファイル翻訳・業界特化モデル・API 提供・エンタープライズ対応を今後の予定として言及 |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 日本語特有の敬語・文化語・スラングの訳し分けに重点を置いており、日本語が絡む翻訳で違和感が出にくい
- 添削モードで、自分が書いた英文・和文を「訳す前に整える」ことができる
- 訳文について質問できるため、なぜその表現になったのかを確認しながら使える
- 最大約 5,000 字の長文をそのまま貼り付けられ、ストリーミング表示で待ち時間が短く感じられる
- 無料で全機能を試せるため、導入のハードルが低い
⚠️ デメリット
- 対応言語が日本語・英語・中国語に絞られており、多言語展開の用途には向かない
- 2026 年 8 月時点で API が提供されておらず、社内システムやアプリへの組み込みができない
- ファイル(PDF・Word 等)をそのまま翻訳する機能は今後の予定とされており、現時点では本文の貼り付けが前提
- 利用にアカウント登録が必要で、URL を開いてすぐ訳す、という使い方はできない
- 業務で使う場合は、機密文書の取り扱い方針を利用規約・FAQ で確認してから判断する必要がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Sakana Translate | DeepL | Google 翻訳 | ChatGPT |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Sakana AI(日本) | DeepL SE(ドイツ) | Google(米国) | OpenAI(米国) |
| 主な強み | 日本語の敬語・文化語・スラングの訳し分け | 訳文の自然さ、文書翻訳 | 対応言語数の多さ、無料での手軽さ | 指示による細かい調整、汎用性 |
| 対応言語 | 日本語・英語・中国語 | 30 言語以上 | 100 言語以上 | 汎用(多言語) |
| 入力上限 | 最大約 5,000 字 | プランにより異なる | プランにより異なる | プラン・モデルにより異なる |
| 添削・質問 | 添削・質疑モードあり | 文章改善機能あり | なし | 対話で対応可 |
| API | 未提供(計画中) | あり | あり | あり |
| 料金 | 無料(登録要) | 無料枠あり/有料プランあり | 無料(API は有料) | 無料枠あり/有料プランあり |
こんな人におすすめ
- 海外の取引先に送る英文メールで、日本語の丁寧さや距離感をなるべく保ったまま訳したいビジネスパーソン
- 日本語の記事・資料を英語や中国語に展開したい広報・マーケティング担当者
- 訳文をそのまま使うのではなく、なぜその表現になったのかを確認しながら学びたい語学学習者
- 汎用の翻訳ツールで、敬語や固有名詞、日本独特の言い回しの訳に不満を感じてきた人
- 有料ツールを契約する前に、日本語まわりの翻訳精度を無料で比較検討したい人
まとめ
Sakana Translate は、対応言語を日本語・英語・中国語に絞る代わりに、日本語の敬語・文化語・スラングという難所に的を絞った翻訳サービスである。翻訳・添削・質疑が 1 画面にまとまっているため、訳して終わりではなく、原文を整えたり訳語の理由を確かめたりする使い方ができる。一方で API やファイル翻訳は今後の予定とされており、システム組み込みや大量の文書処理には現時点で向かない。まずは無料で自分の文章を通してみて、既存の翻訳ツールと訳文を見比べるところから始めるとよい。