Raycastは、アプリ起動・検索・ウィンドウ管理・クリップボード履歴などをホットキー一発で呼び出せるランチャーアプリで、2020年にmacOS向けに登場し、その後Windows・iOSにも広がった。Raycast AIは、そのランチャーに組み込まれたAI機能群を指す。ブラウザやチャットアプリを開き直すことなく、いま作業している画面の上にAIを呼び出し、質問・翻訳・要約・コード生成・テキスト整形を実行できる。OpenAI・Anthropic・Google・Perplexity・Mistral・DeepSeekなど複数プロバイダーのモデルを1つの画面で切り替えられ、MCP(Model Context Protocol)による外部ツール連携にも対応する。「AIを使うために別のアプリへ移動する」という手間そのものを消すことが、このサービスの狙いである。
主な特徴
- AI Chat ─ 32以上のモデルを1画面で切り替え: OpenAI・Anthropic・Google・Perplexity・Mistral・DeepSeekなど複数プロバイダーのモデルを、同じチャット画面から選んで使える。会話の途中でモデルを切り替えて回答を比較したり、よく使う設定をプリセットとして保存したりできる。PDFやCSV、画面の内容を添付して文脈付きで相談することも可能
- Quick AI ─ ホットキーで浮かぶ即答ウィンドウ: 作業を中断せずにホットキーで小さなウィンドウを呼び出し、短い質問をその場で投げられる。必要に応じてWeb検索を伴わせ、最新情報を参照元リンク付きで返す
- AI Commands ─ 定型処理を1コマンド化: 文法修正、コードの説明、Webページの要約、文章のトーン調整など30以上の組み込みコマンドを備える。選択したテキストに対してそのまま実行でき、自分専用のコマンドを作ったりコミュニティ製のものを取り込んだりもできる
- AI Extensions ─ 自然言語でアプリを操作: 「このタスクをLinearに登録して」のような自然文の指示を、実際のアプリ操作に変換する。Linear・Slack・Notion・Jiraなど、Extension Storeにある拡張機能と組み合わせて動く
- MCP対応 ─ 外部ツールとデータ源をつなぐ: MCPサーバーを登録すると、そのツールがAI Chat・Quick AI・AI Commandsのすべてから使えるようになる。会話中は
@linearのようなメンション記法で呼び出す。ツール実行前には既定で確認を求める設計になっている(MCPはProプラン限定機能) - macOS・Windows・iOSで利用可能: 元々はmacOS専用だったが、現在はWindowsとiOSにも対応し、デバイスをまたいで同じワークフローを持ち運べる
料金
| プラン | 月額料金(月払い) | 年払い時の月額換算 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | $0 | ランチャーのコア機能(クリップボード履歴3ヶ月・Quicklinks・スニペット・ウィンドウ管理)と拡張機能。AI機能は含まない |
| Pro | $10 | $8 | Freeの全機能に加え、無制限のクリップボード履歴、クラウド同期、ディクテーション、カスタムテーマ、無制限のRaycast Notes、およびAI機能(標準モデル) |
| Advanced AIアドオン | +$8 | +$8 | Proに追加して、上位モデルを利用可能にする |
| Team Free | $0/ユーザー | $0/ユーザー | チーム向け無料枠。共有コマンド5件・共有Quicklinks/スニペット30件などの制限あり |
| Team Pro | $15/ユーザー | $12/ユーザー | Proの全機能に加え、共有アイテム無制限、AI Control Center |
| Enterprise | 要問い合わせ | 要問い合わせ | Team Proの全機能に加え、SAML・SCIM・ドメインキャプチャ・2FA強制・拡張機能/IPの許可リストなど管理機能 |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- ランチャーに統合されているため、ブラウザやチャットアプリに切り替えずAIを呼び出せる。細かい質問や短い変換作業の心理的コストが下がる
- 複数プロバイダーのモデルを1つのサブスクリプションで使い分けられ、個別にAPIキーや契約を管理する必要がない
- テキスト選択 → AI Commands実行という流れが速く、翻訳・要約・文章整形のような反復作業に向く
- MCPとAI Extensionsにより、AIが「答える」だけでなく実際のアプリ操作まで担える
- ランチャー本体としての完成度が高く、AIを使わない日でも常駐させておく価値がある
⚠️ デメリット
- AI機能はProプラン以上が前提で、無料プランでは利用できない
- 上位モデルを使うにはAdvanced AIアドオン(月額$8)が別途必要で、Proと合わせると月額$18になる
- Linuxには対応していない
- キーボード中心の操作体系のため、ショートカットに慣れるまで学習コストがある
- 長い文書を腰を据えて書く用途には、チャット専用アプリのほうが画面を広く使えて適する場面がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Raycast AI | Alfred | ChatGPT デスクトップアプリ | Claude デスクトップアプリ |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | ランチャー+AI | ランチャー+ワークフロー | AIチャット専用 | AIチャット専用 |
| 対応OS | macOS / Windows / iOS | macOS | macOS / Windows | macOS / Windows |
| モデル選択 | 複数プロバイダーを切り替え | 標準ではAI非搭載(拡張で対応) | OpenAIのモデルのみ | Anthropicのモデルのみ |
| 外部ツール連携 | AI Extensions / MCP | ワークフロー(自作) | コネクタ / MCP | MCP |
| 呼び出し方 | グローバルホットキー | グローバルホットキー | アプリを開く/ホットキー | アプリを開く/ホットキー |
こんな人におすすめ
- すでにランチャーアプリを常用していて、そこにAIを足したい人
- 翻訳・要約・文章整形のような短い作業を1日に何度も行う人
- 用途によってモデルを使い分けたいが、複数サービスを個別契約したくない人
- MCPで社内ツールやタスク管理サービスとAIをつなぎたい開発者
- キーボード操作でワークフローを完結させたい人
まとめ
Raycast AIは、独立したAIサービスというより「ランチャーの一機能としてのAI」である。強みは性能そのものよりも呼び出しやすさにあり、AIを使うたびにアプリを切り替えていた手間を消すことで、細かな用途での利用頻度を大きく引き上げる。AI機能はProプラン(月額$10、年払いで月額$8相当)以上が前提で、上位モデルにはさらにアドオンが必要になるため、まずはランチャーとしてのRaycastを無料プランで試し、常用できると判断してからProへ移行するのが現実的な進め方になる。