Mariano Pardo(GitHub: marian2js)が開発するオープンソースのマルチエージェント運用フレームワーク。「AIチームを会社のように動かす」というコンセプトどおり、CEO・マネージャー・エンジニア・デザイナーといった役割を持つエージェントを組織図の形で並べ、上位のエージェントが仕事を分解して部下に委任する。エージェントのランタイムは固定されておらず、実務を担当するエージェントは Claude Code、Codex、Cursor、GitHub Copilot CLI などから選べる。MIT ライセンスで公開され、自分のマシンやサーバーに完全セルフホストできるのが最大の特徴である。
主な特徴
- 組織図としてエージェントを編成: 各エージェントに SOUL(人格)・ROLE(役割)・VISION・MISSION・VALUES を定義し、マネージャーと部下(reportee)の関係を結ぶ。人間の会社の組織図とほぼ同じ構造でAIチームを組み立てられる
- 階層的なタスク委任: 「The Goat」と呼ばれる調整役エージェントがプロジェクトを受け取り、タスクへ分解して組織構造に沿って担当者へ割り振る。マネージャーがさらに細分化して部下に渡す、という多段の委任が成立する
- ランタイムを混在させられる: マネージャー層は OpenClaw 上で動き、実装を担当するスペシャリストは Claude Code / Codex / Cursor / OpenCode / GitHub Copilot CLI / Lovable などから選べる。得意分野に応じてツールを使い分けられる
- CLI ファースト + ダッシュボード:
npm i -g openclaw opengoat→openclaw onboard→opengoat startの3コマンドで起動し、http://127.0.0.1:19123のダッシュボードで組織図・セッション・タスク・活動ログを確認できる - 完全セルフホストと ACP 対応: Docker イメージが用意され、ソースからのインストールにも対応。ACP(Agent Client Protocol)に対応しており、外部のエージェントクライアントから接続できる
- セッションとタスクの継続性: 会話セッションが複数ターンにわたって維持され、タスク管理機能とスキル拡張の仕組みを備える
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| オープンソース版(MIT ライセンス) | $0 | 全機能。サブスクリプションもホスティングのロックインもなし |
料金は2026年8月時点の情報です。OpenGoat 自体は無償ですが、実際に動かす各エージェントランタイム(Claude Code、Codex、Cursor など)と、その裏で使うモデルの API 利用料は別途必要です。最新情報は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- サブスクリプション不要・ベンダーロックインなしで、マルチエージェント運用をそのまま自社環境に持ち込める
- 「誰が誰に指示するか」を組織図として書けるため、複雑なエージェント連携をコードではなく構造で表現できる
- 実行エージェントを1つに縛られない。既に契約している Claude Code や Codex をそのまま戦力として組み込める
- ダッシュボードでタスクの進行とエージェントの活動ログを追えるため、丸投げにならず途中経過を確認できる
- MIT ライセンスなので、社内ツールへの組み込みや改造の自由度が高い
⚠️ デメリット
- Node.js 20.11 以上の環境構築、CLI 操作、各ランタイムの認証設定が必要で、非エンジニアには導入のハードルが高い
- セルフホスト前提のため、サーバー管理・アップデート・障害対応は自分の責任になる
- 複数のエージェントが並行して動く分、モデルの API 消費が増えやすくコスト管理が要る
- 比較的新しいプロジェクトで、仕様や CLI が更新で変わる可能性がある。本番運用では CHANGELOG の確認が欠かせない
- 日本語の解説記事や事例がまだ少なく、公式ドキュメントを読み解く前提になる
類似サービスとの比較
| 比較項目 | OpenGoat | CrewAI | MetaGPT | Claude Code のサブエージェント |
|---|---|---|---|---|
| 中心となる考え方 | 会社の組織図(上司と部下) | 役割を持つエージェントのクルー編成 | ソフトウェア企業の工程(PM・設計・実装) | 親エージェントが用途別の子を呼び出す |
| 主な操作方法 | CLI + ダッシュボード | Python コード | Python コード | ターミナル(設定ファイル) |
| 実行ランタイム | Claude Code / Codex / Cursor 等を選択 | LLM API を直接利用 | LLM API を直接利用 | Claude に固定 |
| セルフホスト | 可能(Docker 対応) | 可能 | 可能 | ローカル実行 |
| ライセンス・費用 | MIT・無償 | オープンソース版あり(商用版は別) | オープンソース | Claude のプラン内 |
こんな人におすすめ
- 単一のコーディングエージェントでは手が足りず、複数のエージェントに分担させたい開発者
- 外部 SaaS にデータを預けず、自社サーバー内でマルチエージェントを完結させたいチーム
- Claude Code や Codex を既に使っており、それらを「部下」として束ねる上位レイヤーを探している人
- エージェントの役割分担や委任フローを、コードではなく組織構造として設計してみたい人
- オープンソースのエージェント基盤を読み解きながら、自分の運用に合わせて改造したい人
まとめ
OpenGoat は、AIエージェントを1体の万能アシスタントとしてではなく「役割を持った社員の集まり」として扱う発想のフレームワークである。組織図と委任という人間の会社に近い比喩を採用しているため、複数エージェントの連携を直感的に設計できる。一方でセルフホスト前提の CLI ツールであり、環境構築と運用管理は利用者側の責任になる。まずはローカルに小さな組織(調整役 + 実装担当1〜2体)を立ち上げ、既存のコーディングエージェントを接続するところから試すのが現実的だろう。