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Nitro API ─ AIエージェントがAPIキーなしでプロの人力翻訳を発注できる翻訳API

Nitro APIは、AIエージェントがアカウント登録もAPIキーの発行もせずに、プロの人力翻訳を自律的に発注できる翻訳APIである。エージェントに認証情報を持たせずに外部発注させたい開発者に向いた設計で、決済はHTTP 402の支払いチャレンジに応じる形で完結する。翻訳を担うのは機械ではなくネイティブスピーカーの職業翻訳者で、運営元はローカライズ企業のAlconost Inc.。同社が2009年から提供するオンデマンド翻訳サービス「Nitro」の発注口を、2026年7月にAIエージェント向けに開いたのがこのAPIである。

主な特徴

  • 事前登録なしで発注できる: 認証なしのPOST /v1/translate402WWW-Authenticate: Paymentチャレンジが返り、支払いクレデンシャルを付けて再送すると200 OKで注文IDが返る。APIキーを発行・保管・ローテーションする必要がないため、エージェントに長期の認証情報を渡さずに外部発注を任せられる
  • MPPによる都度決済: 決済はStripeとTempoが共同で策定したオープン規格MPPに準拠する。HTTP 402を軸にWWW-Authenticate: Payment / Authorization: Paymentヘッダーでやり取りし、決済自体はエージェントとMPPプロバイダーの間で完結する。従来のプリペイド残高+APIキー方式も併存し、Basic・Bearer・Paymentの3スキームから選べる
  • 翻訳するのは人間: ネイティブスピーカーの職業翻訳者が担当し、QAとリビジョンが標準で含まれる。注文はQUEUE → PROGRESS → DONEと遷移し、完了後の修正対応中はREVISIONとして区別される。公式によれば納期は平均2〜24時間で、63%が2時間以内に仕上がる
  • マークアップを保ったまま渡せる: リクエストのリソース型はプレーンテキスト・HTML・JSON・iOS strings(text/x-objcstrings)の4種で、タグやキーを壊さずに本文だけを訳せる。XML・CSVはWebのファイルアップロード側のみの対応となる。なお対応言語数は公式サイトが「80以上」と表記する一方、APIドキュメントの言語コード一覧は61件で、数え方に差がある
  • トーンと分野を指示できる: 任意のcontextパラメータで、トーン(FORMAL / INFORMAL / 翻訳者に委ねるGUESS)、訳文の最大文字数、分野カテゴリを指定できる。カテゴリは法務・医療・金融・ゲーム・暗号資産・EC・ITなど13種
  • 見積もりは認証なしで取れる: 単価を返すGET /v1/ratesと発注前に金額を試算するPOST /v1/calculateは認証不要で、エージェントが予算を判断してから発注に進める

料金

課金は原文1,000文字あたりの単価制で、最低発注額はない。単価は言語ペアごとに異なる。

言語ペア原文1,000文字あたり
英語 → 日本語$31.40
英語 → ドイツ語$23.50
英語 → フランス語$20.50
英語 → 中国語(簡体)$19.90
英語 → スペイン語(スペイン)$16.60

利用形態は2通り。MPPフローは事前準備なしで注文ごとに都度決済し、従来型はアカウントの残高をチャージしてAPIキー経由で引き落とす。

料金は2026年8月時点にGET /v1/ratesで取得した実測値です(同エンドポイントで全211ペアが公開されています)。最新の単価は公式の料金ページをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • APIキーの発行・保管・ローテーションが不要で、エージェントに認証情報を持たせずに外部発注させられる
  • 機械翻訳では担保しにくい文化的ニュアンス・専門用語・ブランドボイスを、QA込みの人力翻訳で押さえられる
  • 発注前にratescalculateで金額を確定でき、予算上限を持たせた自律実行を組みやすい
  • バックエンドは2009年から運用されてきた翻訳サービスで、翻訳者ネットワークと実績(年間1,000万語以上、顧客満足度91.8%と公表)がすでにある

⚠️ デメリット

  • MPP経由の支払いは現時点で米国発行のカードのみ対応と公式に明記されており、日本のカードではこのフローを使えない(APIキー方式なら利用可能)
  • 人力翻訳のため即時応答ではない。2〜24時間の非同期処理が前提で、UIのリアルタイム翻訳には向かない
  • 単価は機械翻訳APIより一桁以上高い。大量のコンテンツを丸ごと通す使い方は成立しにくい

類似サービスとの比較

比較項目Nitro APIGengoDeepL API
翻訳の担い手人力(ネイティブ翻訳者)人力(翻訳者プラットフォーム)機械翻訳
事前登録・APIキー不要(MPPフロー)/APIキーも選択可必要必要
課金単位原文1,000文字単語文字数
納期2〜24時間数時間〜数日即時

こんな人におすすめ

  • 自律実行するAIエージェントに、翻訳という外部作業まで委任したい開発者
  • 法務・医療・金融・ゲームなど、誤訳が実害につながる分野の文章を翻訳したいチーム
  • マーケティングコピーやタグラインなど、直訳では機能しない文章のローカライズが必要な人
  • 発生量の読めない翻訳ニーズを、月額契約ではなく都度払いで賄いたい個人・小規模チーム

まとめ

Nitro APIは、「人力翻訳」と「エージェントが自律的に発注できるAPI」という両立しにくかった組み合わせを、HTTP 402とMPPで素直につないだサービスである。キー管理を伴わない発注フローは、エージェントに認証情報を渡す危うさを避けたい場面で効いてくる。一方で、MPPフローの決済が米国発行カード限定であること、人力ゆえに非同期かつ高単価であることは前提になる。まずは認証不要のGET /v1/ratesPOST /v1/calculateで、対象の言語ペアの単価を確かめるところから始めるとよい。

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