n8n(エヌエイトエヌ)は、ドイツ発のワークフロー自動化プラットフォーム。ノードと呼ばれる部品をキャンバス上でつなぐビジュアルUIと、JavaScript/Pythonによるコード記述の両方を使って、複雑な業務フローやAIエージェントを構築できる。500以上の事前構築ノードで外部サービスと連携でき、複数のAIモデルやRAGシステムとの接続、MCP(Model Context Protocol)にも対応。fair-code(Sustainable Use License)のもとソースコードが公開されており、クラウド版のほかDocker/オンプレミスでの自己ホストも選べる点が、ZapierやMakeなどの完全SaaS型ツールとの大きな違いだ。
主な特徴
- ビジュアルUIとコードのハイブリッド: ノードをドラッグ&ドロップでつなぐだけでも作れるが、必要な箇所だけJavaScriptやPythonのコードを差し込める。ノーコードの手軽さとコードの自由度を両立している
- 500以上の事前構築ノード: Slack、Google Sheets、Notion、GitHub、各種データベースなど主要サービスとの連携ノードが用意されている。HTTPリクエストノードを使えば、専用ノードがないAPIとも接続できる
- AIエージェント構築に対応: OpenAI、Anthropic、Googleなど複数のAIモデルを切り替えて利用でき、ベクトルデータベースと組み合わせたRAGシステムや、ツールを自律的に呼び出すAIエージェントをワークフローとして構築できる
- MCP(Model Context Protocol)対応: n8nのワークフローをMCPサーバーとして公開したり、外部のMCPサーバーをAIエージェントのツールとして呼び出したりできる
- 自己ホスト可能: fair-code(Sustainable Use License)のもとソースコードが公開されており、Dockerやオンプレミス環境で無料の自己ホスト運用ができる。データを自社環境の外に出せない案件でも使いやすい
- 実行履歴とデバッグ機能: ワークフローの実行ごとに各ノードの入出力データを確認でき、エラー箇所の特定や再実行がしやすい
料金
| プラン | 月額料金(年払い) | 実行数/月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Community(自己ホスト) | 無料 | 無制限(自環境依存) | GitHub公開のソースを自分のサーバーで運用 |
| Starter | 20ユーロ | 2,500 | 共有プロジェクト1、同時実行5、ユーザー数無制限 |
| Pro | 50ユーロ | 10,000 | 共有プロジェクト3、同時実行20、管理者ロール、ワークフロー履歴 |
| Business | 667ユーロ | 40,000 | 自己ホスト、SSO/SAML/LDAP、環境分離、Gitバージョン管理 |
| Enterprise | 要問い合わせ | カスタム | 200以上の同時実行、外部シークレットストア、SLA付きサポート |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 自己ホストすれば実行数の課金を気にせず使え、機密データを自社環境内に留められる
- ノーコードで始めて、複雑な処理だけコードで書くという段階的な使い方ができる
- AIエージェント・RAG・MCPといったAI連携機能が本体に組み込まれており、追加ツールなしで試せる
- ワークフローをJSONでエクスポートでき、Gitでのバージョン管理やコミュニティのテンプレート共有がしやすい
⚠️ デメリット
- ZapierやMakeと比べると学習コストが高く、非エンジニアだけで使いこなすにはハードルがある
- 自己ホスト運用ではサーバー管理・アップデート・バックアップを自分で担う必要がある
- fair-codeライセンスは商用SaaSとしての再販など一部用途を制限しており、OSI認定のオープンソースではない
- 連携ノード数は多いものの、日本国内のサービス(会計・グループウェア等)の専用ノードは少なく、API直接接続が必要になりがち
類似サービスとの比較
| 比較項目 | n8n | Zapier | Make | Dify |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | ワークフロー自動化 + AIエージェント | サービス間の自動連携 | ビジュアルな業務自動化 | AIアプリ・エージェント構築 |
| 対象ユーザー | エンジニア〜技術寄りの業務担当 | 非エンジニア中心 | 非エンジニア〜中級者 | AIアプリ開発者 |
| 自己ホスト | 可(無料のCommunity版) | 不可 | 不可 | 可(OSS版あり) |
| コード記述 | JavaScript/Python可 | 限定的 | 限定的 | 可 |
| 課金単位 | ワークフロー実行数 | タスク数 | オペレーション数 | メッセージ/リソース |
こんな人におすすめ
- 定型業務の自動化から始めて、将来的にAIエージェントやRAGまで一つの基盤で扱いたいエンジニア
- 顧客データや社内データを外部SaaSに預けられず、自己ホストで自動化基盤を持ちたい企業
- Zapierのタスク課金がコストに見合わなくなってきた、実行数の多い自動化を運用しているチーム
- ノーコードツールの制約に不満があり、必要な箇所だけコードで拡張したい技術寄りの業務担当者
まとめ
n8nは、ビジュアルUIの取っつきやすさとコードの自由度を兼ね備えたワークフロー自動化プラットフォームである。AIエージェント・RAG・MCPへの対応が本体に組み込まれ、自動化ツールとAI基盤の境界をまたぐ存在になりつつある。自己ホストという選択肢があるため、データ主権やコストを重視するチームには特に有力な候補だ。一方で、使いこなしにはある程度の技術的素養が求められるため、完全ノーコードで済ませたい場合はZapierやMakeとの比較検討をおすすめする。