Metaが2026年8月5日に早期ベータとして公開した、ターミナル常駐型のコーディングエージェント。大規模なリポジトリ全体を対象に、計画立案からコード生成、検証、デバッグまでを一貫して担う。タスクが大きい場合は複数のサブエージェントが独立したGit worktreeで並列に作業し、レビュアーがバックグラウンドで結果を確認するマルチエージェント設計を採用している。専用モデル「Muse Spark 1.2」(最大100万トークンのコンテキストウィンドウ)で駆動し、MCPサーバーとの連携やCI環境でのヘッドレス実行にも対応する。
主な特徴
- マルチエージェント設計: タスクが大きくなると、複数の永続的なサブエージェントが独立したGit worktree上で並列に作業する。ワーカーが作業を進める間、レビュアーがバックグラウンドで結果を確認する構成になっている
- Muse Spark 1.2による長大なコンテキスト: Muse Code専用に調整されたモデル「Muse Spark 1.2」で駆動し、最大100万トークンのコンテキストウィンドウを持つ。コード生成・複雑なデバッグ・コードベース理解・エンドツーエンドの開発ワークフローの向上を狙ったモデルとされる
- ローカルイベントログによる再開性: API呼び出し・ツール実行・開発者の承認・ファイル変更を、実行前にすべてローカルのイベントログへ書き込む。作業途中でクラッシュしても、中断した地点から再開できる
- MCPクライアントとしての拡張: 設定ファイルの
mcp_serversブロックで外部のMCPサーバーを宣言し、ツールとして利用できる(Muse Code自身はMCPサーバーを提供する側ではなくクライアント)。stdioとstreamable_httpの2種類のトランスポートに対応し、サーバーをrequired(失敗時は処理を中止)またはoptional(失敗時はスキップ)として扱える。ただしMCPツールはサンドボックスの外で動く通常の子プロセスとして実行されるため、信頼できるサーバーの利用が前提となる - CI環境でのヘッドレス実行:
muse exec "<prompt>"により、対話を介さない単一プロンプト実行が可能。非対話環境ではMETA_API_KEY環境変数の設定が必要で、CIパイプラインへの組み込みを想定している
料金
Muse Codeにサブスクリプションプランは無く、トークン数に応じた従量課金のみで提供される。
| ティア | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Standard | 入力 $1.25/100万トークン、出力 $4.25/100万トークン(キャッシュ入力 $0.15) | プロンプトはMetaのモデル学習には使用されない |
| Contributor | 入力 $0.10/100万トークン、出力 $0.20/100万トークン(キャッシュ入力 $0.002) | プロンプトと生成結果をMetaのAIモデル学習に提供することに同意する代わりに、Standardより大幅に低価格になる |
料金は2026年8月時点の情報です。無料枠は無く、いずれのティアも利用開始には支払い方法の登録が必要です。最新の料金・条件は公式ドキュメントでご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 独立したGit worktreeで動く複数のサブエージェントにより、大規模なリポジトリでも複数のタスクを並行して進められる
- Muse Spark 1.2の100万トークンのコンテキストウィンドウで、大規模なコードベース全体を踏まえた作業がしやすい
- ローカルイベントログにより、長時間タスクが途中で落ちても中断地点から再開できる
- MCPサーバーとの連携やCI環境でのヘッドレス実行に対応し、既存の開発ワークフローに組み込みやすい
- StandardティアはAnthropicのSonnet 5系($2/100万入力・$10/100万出力)などと比べて低価格に設定されている
⚠️ デメリット
- サブスクリプションプランや無料枠が無く、利用開始には支払い方法の登録と従量課金の負担が必須
- 低価格なContributorティアを選ぶ場合、プロンプトと生成結果をMetaのAIモデル学習に提供することが条件になる
- MCPツールはサンドボックスの外で動作するため、信頼できないMCPサーバーを接続するとリスクがある
- 対応OSはMac/Linuxのみで、2026年8月時点では早期ベータの位置づけ
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Muse Code | Claude Code | OpenAI Codex CLI | Gemini CLI |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Meta | Anthropic | OpenAI | |
| 強み | 独立Git worktreeでの並列サブエージェント作業 | 複雑な複数ファイルのリファクタリング | 対話型・インテント駆動のタスク処理 | Google製品連携、大規模コンテキストの扱い |
| 課金モデル | サブスクリプションなし、トークン従量課金のみ | 有料のClaudeプラン(Pro以上)に含まれる | ChatGPTプランに含まれる、APIキー従量課金も選択可 | 無料枠あり、有料プランも選択可 |
| 駆動モデル | Muse Spark 1.2(最大100万トークン) | Claude(プランにより大規模コンテキストに対応) | GPTシリーズ | Gemini(大規模コンテキストに対応) |
| 対応OS | Mac/Linux | Mac/Linux/Windows | Mac/Linux/Windows | Mac/Linux/Windows |
こんな人におすすめ
- 大規模なリポジトリ全体を対象に、計画立案からコード生成・検証まで一括でエージェントに任せたい開発者
- 複数の機能追加やバグ修正を、独立した作業単位で並行して進めたいチーム
- MCP連携やCI環境でのヘッドレス実行など、既存の開発ワークフローに組み込みたい人
- 月額のサブスクリプションではなく、使った分だけのトークン従量課金を選びたいユーザー
まとめ
Muse Codeは、大規模なリポジトリ全体を対象に計画立案からコード生成・検証・デバッグまでを一括で担う、Metaのターミナル常駐型コーディングエージェントである。独立したGit worktreeで動く複数サブエージェントとバックグラウンドレビュアーによる並列処理、100万トークンの長大なコンテキストが強みだ。一方でサブスクリプションや無料枠は用意されておらず、低価格なContributorティアを選ぶとプロンプトがMetaのAI学習に使われる点には留意したい。2026年8月時点では早期ベータの位置づけであり、今後の機能拡充や料金体系の変更にも注目したいサービスである。