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Matter (JetBrains) ─ 既存のコードベースに直接つないでAIプロンプトで動くプロトタイプを作る、プロダクトチーム向け環境

IntelliJ IDEA や PyCharm で知られる JetBrains(チェコ)が 2025 年 10 月に発表した、プロダクトチーム向けの AI プロトタイピング環境。最大の特徴は、白紙から作るのではなくすでにあるリポジトリにつないでプロトタイプを作る点にある。GitHub リポジトリを接続すると隔離された環境にライブプレビューが立ち上がり、「このボタンを右に寄せて」「この条件のときだけ割引を出して」といったプロンプトを投げるだけで、AI エージェントが実際のコードを書き換えて画面に反映する。納得のいく形になったら、そのままプルリクエストを作成して開発チームへ渡せる。デザインツールで作ったモックアップと実装の間に生まれるギャップを埋めることを狙ったツールで、2026 年 8 月時点では Early Access Program(EAP)として提供されている。

主な特徴

  • 既存コードベースに直接接続: GitHub リポジトリをつなぐと数分でライブプレビューが起動する。新規プロジェクトを一から生成するタイプのツールとは違い、実際のプロダクトのコード・デザイン・データ構造の上で試せる
  • プロンプトによる変更を AI エージェントが実装: UI やレイアウトの調整、ビジネスロジックの試作といった変更を自然言語で指示すると、エージェントがコードを書き換える。利用者側にコーディングは求められない
  • 隔離環境での実行: 変更はすべて本番から切り離された環境で行われるため、実験的な変更が動いているプロダクトに影響しない
  • リアルタイム共有とコラボレーション: 動くプロトタイプをそのままチームメンバーやステークホルダーに共有できる。静止画のモックアップではなく実際に触れる状態でフィードバックを集められる
  • GitHub 連携によるハンドオフ: 仕上がったプロトタイプから直接プルリクエストを作成できるほか、コードと説明を添えた Issue の下書きも作れる。「口頭とスクリーンショットで仕様を伝える」工程を省ける
  • 開発者以外を対象にした設計: プロダクトマネージャーやデザイナーが、エンジニアの手を止めずに自分でアイデアを検証できることを主眼に置いている

料金

プラン料金主な内容
Early Access Program公式サイトに記載なし(要問い合わせ)GitHub 連携、ライブプレビュー、AI エージェントによる変更、チーム共有

Matter は 2026 年 8 月時点で Early Access Program 段階にあり、公式サイト・発表ブログとも料金プランを公表していない。利用条件や将来の課金体系については公式サイトからの申し込み・問い合わせが必要になる。

料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • 実際のコードベースの上で検証できるため、「デザインでは成立したが実装すると破綻する」といった手戻りを早い段階で潰せる
  • プロトタイプがそのままプルリクエストになるので、仕様伝達のドキュメント作成コストが下がる
  • プロダクトマネージャーやデザイナーが自分でアイデアを試せ、エンジニアへの依頼待ちが減る
  • 隔離環境で動くため、実験的な変更が本番コードを壊す心配がない
  • 動くプロトタイプを共有できるので、ステークホルダーからのフィードバックが具体的になる

⚠️ デメリット

  • Web ベースのプロジェクトのみが対象で、モバイルアプリやデスクトップアプリには対応していない
  • 複数サービスにまたがる構成、込み入ったビジネスロジック、複雑なフロントエンド処理を含むプロジェクトは現時点では苦手とされている
  • 料金体系が公表されておらず、本格導入時のコストが読めない
  • Early Access Program 段階のため、機能の変更や不具合に遭遇する可能性がある
  • リポジトリを接続する必要があり、外部サービスへのコード接続に制約がある組織では導入判断が必要になる

類似サービスとの比較

比較項目Matterv0 (Vercel)LovableFigma Make
提供元JetBrainsVercelLovableFigma
出発点既存リポジトリほぼ白紙からの生成ほぼ白紙からの生成デザインファイル/プロンプト
主な対象プロダクトチーム(PM・デザイナー・開発者)フロントエンド開発者非エンジニア〜個人開発者デザイナー
成果物の渡し方プルリクエスト/Issue 下書きコードのコピー・エクスポート生成アプリのデプロイプロトタイプ共有
得意領域既存プロダクトへの変更検証UI コンポーネント生成小規模アプリの立ち上げデザインからの試作

Matter の立ち位置を一言でいえば「ゼロイチではなく、すでにあるプロダクトの次の一手を試すためのツール」である。新規アプリを手早く立ち上げたいなら Lovable や v0 のほうが向くが、稼働中のサービスに対する変更案を実データ・実コードの上で検証したい場面では Matter の設計が効いてくる。

こんな人におすすめ

  • 仕様を言葉やモックアップで伝えるのに限界を感じているプロダクトマネージャー
  • デザインを実装に落としたときの挙動を、自分の手で確かめたいデザイナー
  • 「ちょっと試したい」の依頼が積み上がって手が回らない開発チーム
  • 既存の Web プロダクトに対する改善案を、会議室の議論ではなく動くもので比較したいチーム
  • すでに JetBrains のツール群を使っており、同社の AI 製品を試してみたい組織

まとめ

Matter は、AI によるプロトタイピングを「白紙からの生成」ではなく「既存コードベースへの変更」として捉え直したツールである。プロダクトマネージャーやデザイナーが実際のコードの上でアイデアを検証し、そのままプルリクエストとして開発チームに渡せる流れは、仕様の伝達と実装の間に生じる摩擦を確実に減らす。一方で対象は Web プロジェクトに限られ、複雑な構成のプロダクトはまだ守備範囲外とされている。Early Access Program 段階で料金も未公表のため、まずは小さめの Web プロダクトで試し、チームの進め方に合うかを見極めるところから始めるのがよい。

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