Google DeepMindが開発する音楽生成AI。作りたい曲の雰囲気・ジャンル・楽器をテキストで書くだけで、イントロからサビ、ブリッジまで自然につながった楽曲を生成できる。2023年11月にYouTubeの実験機能「Dream Track」とともに公開され、その後モデルが世代を重ねて、2026年時点ではGeminiアプリ・Google AI Studio・Vertex AI・Google Vids・Google Flowなど、Googleの各プロダクトから利用できるようになっている。生成した音源にはSynthIDによる電子透かしが埋め込まれ、AIが作った音楽かどうかを後から判別できる。
主な特徴
- テキストプロンプトから楽曲生成: 「静かなローファイ・ヒップホップ、雨音入り、90BPM」のように書くだけで曲が生成される。テンポ・強弱・楽器編成・ボーカルのスタイルまで言葉で指定できる
- 歌詞つき・多言語ボーカルに対応: インストゥルメンタルだけでなく、歌入りの楽曲も生成できる。複数の言語のボーカルに対応し、ジャンルの幅も広い
- 短いクリップからフル尺まで: 30秒程度のクリップ用モデルと、ヴァース・コーラス・ブリッジといった曲構成を指定して最長3分程度まで作れるProモデルが用意されている
- 画像から曲を作る: 写真やイラストをアップロードして、その雰囲気に合った曲を生成することもできる
- リアルタイム生成(Lyria RealTime): プロンプトを操作しながら音楽が途切れずに変化していく、インタラクティブな生成に特化したモデルも提供されている
- SynthID電子透かし: 生成された音源には聴感上わからない透かしが埋め込まれ、AI生成物であることを検出できる
- 44.1kHzステレオ出力: MP3が既定で、Proモデルでは非圧縮のWAV出力も選べる
料金
Lyriaは単体サービスとして売られているのではなく、Geminiアプリの有料プランやGoogle CloudのAPI課金に組み込まれている。
| 利用経路 | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Geminiアプリ(Google AI Plus / Pro / Ultra) | 各プランの月額に含まれる | プランごとに1日あたりの生成本数が異なる(上位プランほど多い)。Proモデルによる長尺の楽曲生成も上位プランで利用可能 |
| Gemini API(Lyria 3 Pro Preview) | 1曲あたり約$0.08 | 開発者向け。MP3 / WAV出力、曲構成のプロンプト制御 |
| Vertex AI | Google Cloudの従量課金 | 企業向け。既存のGoogle Cloud契約の中で利用 |
料金は2026年8月時点の情報です。プラン名・月額・1日あたりの生成本数は改定されることがあるため、最新の料金は公式サイトおよびGeminiとGoogle Cloudの料金ページをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 音楽理論やDAWの知識がなくても、言葉で書くだけで完成度の高い曲が手に入る
- Geminiアプリから使えるため、専用ツールを新しく契約・習得する必要がない
- 44.1kHzステレオで出力され、動画のBGMやプロトタイプ用途にはそのまま使える品質
- SynthID透かしによって、AI生成物であることを後から確認できる
- APIやVertex AI経由で、自社サービスやワークフローに組み込める
⚠️ デメリット
- 1曲の長さに上限があり、数分を超える長尺の楽曲制作には向かない
- 生成された曲を細かく編集する機能は乏しく、パート単位の差し替えや再ミックスはDAW側の作業になる
- 商用利用の可否や権利の扱いは利用経路(Geminiアプリ / API / Vertex AI)ごとの規約に依存するため、案件で使う前に確認が必要
- プランによって1日の生成本数に上限があり、試行錯誤を重ねるとすぐ上限に達することがある
- 提供機能がGoogleの各プロダクトに分散しており、「どこから何が使えるか」が把握しづらい
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Lyria | Suno | Udio | Stable Audio |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Google DeepMind | Suno | Udio | Stability AI |
| 主な入口 | Geminiアプリ / API / Vertex AI | 専用Webアプリ | 専用Webアプリ | 専用Webアプリ / API |
| 歌詞つき楽曲 | 対応 | 対応 | 対応 | 主にインスト |
| 画像からの生成 | 対応 | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
| リアルタイム生成 | 対応(Lyria RealTime) | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
| 特徴 | Googleプロダクトとの統合 | 楽曲生成の手軽さと完成度 | 編集・リミックス機能の充実 | 効果音・ループ素材に強い |
こんな人におすすめ
- 動画やスライドに載せるBGMを、素材サイトを探し回らずに自作したい人
- すでにGeminiの有料プランを使っていて、追加契約なしで音楽生成を試したい人
- 歌詞つきのデモ曲やアイデアスケッチを短時間で量産したい作曲・作詞の学習者
- 自社アプリやコンテンツ制作パイプラインに音楽生成を組み込みたい開発者
- インスタレーションやライブ演出など、リアルタイムに変化する音楽を扱いたいクリエイター
まとめ
Lyriaは、テキストや画像から歌入りの楽曲まで生成できるGoogle DeepMindの音楽生成AIである。専用サービスとして独立しているのではなく、Geminiアプリ・API・Vertex AI・Google VidsといったGoogleの各プロダクトに埋め込まれている点が最大の特徴で、すでにGoogleのAIを使っている人ほど導入の敷居が低い。一方で曲の長さや編集の自由度には限界があり、細かい仕上げはDAWでの作業が前提になる。まずはGeminiアプリで数曲作ってみて、動画BGMやデモ制作に耐えるかを自分の耳で確かめるところから始めるとよい。