Letta Agent は、自分専属の「デジタルな同僚」を育てられるパーソナライズド AI エージェント。UC Berkeley の Sky Computing Lab で生まれた研究プロジェクト MemGPT を源流に持ち、対話や作業の記録を MemFS と呼ばれる記憶領域に蓄積していく。会話ごとに文脈がリセットされる一般的なチャット AI と違い、使い込むほど自分の仕事のやり方や好みを覚えていくのが最大の特徴で、モデルを OpenAI から Anthropic へ切り替えても記憶はそのまま引き継がれる。中核となる CLI「Letta Code」は Apache-2.0 のオープンソースとして公開され、macOS / Windows / Linux のデスクトップアプリ、CLI、SDK、ブラウザと複数の入口から同じエージェントに触れられる。
主な特徴
- MemFS による永続的な記憶: 会話・スキル・システムプロンプトなどのエージェントの中身を Git で追跡される形で保持する。GitHub リポジトリと同期させることもでき、記憶の変化を差分として確認できる。モデルを切り替えても記憶は失われない
- 使うほど育つ継続学習: エージェントは作業の合間(sleep-time compute)に自分の文脈やスキルを書き換え、精度を上げていく。モデルそのものを再学習させることなく、手元のエージェントだけが自分向けに最適化されていく
- カスタムスキルで人格を作り込む: グローバル / プロジェクト単位 / エージェント単位の 3 階層でスキルを定義でき、自作のほか外部で公開されたスキルの導入もできる。ハーネス自体に手を入れて挙動を変えることも可能
- オープンソースの CLI「Letta Code」:
npm install -g @letta-ai/letta-codeで導入できる Apache-2.0 ライセンスの CLI。/connectで OpenAI・Anthropic などのプロバイダーを登録し、/modelでモデルを切り替えて使う - 普段使うチャネルから指示できる: Slack・Discord・Telegram・ブラウザ(chat.letta.com はモバイル対応)に接続でき、ターミナルを開かずに作業を頼める。スケジュール実行やリモートデバイス上での作業にも対応する
- マルチエージェント構成: エージェントが別のエージェントをサブエージェントとして呼び出せるため、役割を分けた構成を組める
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | $0 | エージェント 3 体まで、Letta Auto の利用量に制限あり、自分の API キーを持ち込んで利用 |
| Pro | 月額 $20 | 週次・月次の Letta Auto クオータ、超過分は従量課金、ステートフルエージェント 20 体まで |
| API | 月額 $20 + 従量 | エージェント数無制限。アクティブなエージェント 1 体あたり月 $0.10、ツール実行 1 秒あたり $0.00015、API キー認証 |
| Teams Pro | 1 シートあたり月額 $20 | チームでの共有、アクセス制御付きの共有エージェント、Letta Auto クオータ |
| Enterprise | 要問い合わせ | 数量に応じた価格、クオータ拡張、ロールベースのアクセス制御、SAML / OIDC SSO、専任サポート |
いずれのプランも自前の API キーを持ち込んで使える。LLM の利用料は使うモデルによって別途かかる点に注意したい。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 記憶が残り続けるため、毎回の前提説明が要らない。使うほど自分の文脈を理解した相手になっていく
- MemFS が Git ベースで、エージェントが何を覚え何を書き換えたかを差分として確認できる。ブラックボックスになりにくい
- 中核の CLI が Apache-2.0 のオープンソースで、ハーネスを自分で改変できる
- モデルの乗り換えが記憶を捨てずに行える。特定ベンダーへの依存を避けやすい
- Slack・Discord・Telegram・ブラウザ・デスクトップアプリと入口が多く、生活動線に組み込みやすい
- 無料プランでも自分の API キーを使えば試せる
⚠️ デメリット
- 記憶・スキル・マルチエージェントと概念が多く、チャット AI から乗り換えるには学習コストがかかる
- 無料プランはエージェント 3 体までと制限があり、本格利用ではプラン移行が前提になる
- サブスクリプション料金とは別に LLM の利用料がかかるため、総額が読みにくい
- 2026 年 4 月公開の比較的新しいサービスで、機能や仕様の変化が速い
- 長期的に蓄積される記憶をどう管理・剪定するかは、利用者側の運用設計に委ねられる
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Letta Agent | Claude Code | OpenAI Codex CLI | Cursor |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Letta | Anthropic | OpenAI | Anysphere |
| 主眼 | 記憶を持ち育つ汎用エージェント | ターミナルからのコーディング委任 | ターミナルからのコーディング委任 | AI 統合エディタ |
| 永続記憶 | MemFS で標準搭載 | プロジェクト・メモリ機能で補完 | 限定的 | 限定的 |
| モデル選択 | 複数プロバイダーを切替可 | Anthropic モデル | OpenAI モデル | 複数モデルを選択可 |
| ライセンス | Apache-2.0(Letta Code) | プロプライエタリ | オープンソース | プロプライエタリ |
| 入口 | CLI・アプリ・Slack 等・ブラウザ | CLI・IDE 拡張 | CLI・IDE 拡張 | エディタ |
こんな人におすすめ
- 毎回同じ前提を説明し直すのに疲れ、自分の仕事の文脈を覚えてくれる相手が欲しい人
- 特定の AI ベンダーに縛られず、モデルを比較・乗り換えながら使いたい人
- エージェントの挙動を自分で作り込みたい、オープンソースを触るのが苦にならない開発者
- Slack や Discord など普段のチャネルから作業を頼みたいチーム
- 定期実行やリモートデバイスでの作業まで含め、AI に継続的な役割を持たせたい人
まとめ
Letta Agent は、「毎回リセットされるチャット」から「使い込むほど育つ同僚」へと AI の関わり方を変えることを狙ったサービスである。MemFS による永続記憶とオープンソースの CLI が中核で、モデルを乗り換えても記憶が残る設計は、AI ツールの入れ替わりが激しい現状では現実的な強みになる。一方で概念が多く、まずは無料プランに自分の API キーを持ち込んで、1 体のエージェントを日常業務に育ててみるところから始めるとよい。