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Jina AI ─ URLをMarkdownに変換するReaderと多言語・マルチモーダル埋め込みを1つのAPIキーで使える検索AIプラットフォーム

ドイツ・ベルリン発の検索AIプラットフォーム。2020年の創業以来、検索と検索拡張生成(RAG)に必要な部品を一式そろえてきた。任意のURLをLLMが読みやすいMarkdownへ変換するReader、100以上の言語とテキスト以外のデータも扱う埋め込みモデル、検索結果を並べ替えるReranker、複雑な問いを自律的に深掘りするDeepSearch。これらをすべて1つのAPIキーから呼び出せる点が最大の特徴である。主要モデルはHugging Faceでオープンソースとしても公開されており、自前でホスティングする選択肢も残されている。2025年10月には検索基盤大手のElasticによる買収が完了し、現在はElastic傘下で開発が続いている。

主な特徴

  • Reader ─ URLの前にr.jina.ai/を付けるだけ: 任意のWebページのURLの先頭にhttps://r.jina.ai/を足すと、広告やナビゲーションを除いた本文がMarkdownで返る。LLMに渡す前処理として使え、専用のスクレイピング実装を書かずに済む
  • 多言語・マルチモーダルな埋め込み: 現行のjina-embeddings-v5系は、テキストだけでなく画像・音声・動画・PDFまで同じベクトル空間で扱えるomni系と、多言語テキストに特化したtext系に分かれる。Matryoshka表現学習に対応しており、精度と保存コストのバランスを見ながら次元数を削れる
  • Rerankerで検索の当たりを上げる: ベクトル検索で拾った候補を、質問との関連度で並べ替え直すモデル。jina-reranker-v3.5まで更新が続いており、長文や視覚的な文書を含む検索結果の精度改善に使われる
  • DeepSearchで問いを深掘り: 検索・読解・推論を反復し、根拠となる出典を添えて答えを組み立てる。OpenAI互換の形式で呼び出せるため、既存のクライアントコードを大きく変えずに差し込める
  • 1つのAPIキーで全製品: Reader・Embeddings・Reranker・DeepSearchが共通のキーとトークン残高で動く。MCPサーバーやCLIも公開されており、AIエージェントの道具として組み込みやすい
  • オープンソースとしての公開: 埋め込みモデルやRerankerはHugging Face・GitHubで公開されている。APIに依存せず自社環境で動かす道が用意されている

料金

トークン従量課金制。新規にAPIキーを発行すると試用分のトークンが付与され、使い切った後は追加購入する。プランの違いは主にレート上限に現れる。

プランレート上限(RPM / TPM)料金
無料(APIキー発行)100 RPM / 100K TPM$0(試用トークン付与)
有料(トークン購入)500 RPM / 2M TPM消費トークンに応じた従量課金
プレミアム5,000 RPM / 50M TPM要問い合わせ

全ティア共通で、IPアドレスあたり60秒間に10,000リクエストという上限がある。課金対象は実際に処理されたトークンのみで、失敗したリクエストには課金されない。支払いはクレジットカード・Google Pay・PayPalに対応し、正式な発注書が必要な場合はElasticの営業窓口が担当する。

料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • Readerは登録なしでも試せるほど導入が軽く、URLに文字列を足すだけで使い始められる
  • 埋め込み・並べ替え・Web取得・深掘り検索がひとつのAPIキーにまとまり、ベンダーを増やさずにRAGの基盤を組める
  • 日本語を含む100以上の言語に対応し、多言語の社内文書検索でも精度を確保しやすい
  • 主要モデルがオープンソースで公開されているため、将来的な自社ホスティングへの移行余地がある
  • 失敗リクエストが課金されない、次元数を削れるなど、コスト面の設計が細かい

⚠️ デメリット

  • 単体で完成した検索アプリではなく、あくまで部品群。実際に使うには開発者による実装が必要
  • モデルの更新が速く、v4からv5、rerankerもv3系から更新が続いているため、採用したモデルの追従コストがかかる
  • トークン単価はモデルや製品ごとに異なり、事前のコスト見積もりには公式ダッシュボードでの確認が要る
  • Elastic傘下に入った影響で、今後の提供形態やサポート窓口が変わる可能性がある
  • 無料枠のレート上限は100 RPMと控えめで、本格運用には有料ティアが前提になる

類似サービスとの比較

比較項目Jina AIOpenAI EmbeddingsCohereFirecrawl
主な守備範囲取得・埋め込み・並べ替え・深掘り検索埋め込みモデル埋め込み・Rerank・生成モデルWebページ取得とクロール
Web取得機能Reader(URL変換)なしなしあり(中核機能)
マルチモーダルテキスト・画像・音声・動画・PDFテキスト中心テキスト・画像
Rerankerありなしありなし
オープンソース公開あり(Hugging Face)なし一部ありあり
課金トークン従量課金トークン従量課金トークン従量課金クレジット制

こんな人におすすめ

  • 社内文書やナレッジベースを対象にしたRAGを、最小限のベンダー構成で組みたい開発者
  • 日本語と英語が混在する資料を、同じ精度で横断検索したいチーム
  • LLMに読ませるためのWebページ取得を、スクレイピング実装なしで済ませたい人
  • 図表やスキャンPDFなど、テキスト以外の情報も検索対象に含めたいエンタープライズ用途
  • 将来的にモデルを自社環境へ持ち込む可能性を残しておきたい組織

まとめ

Jina AIは、検索とRAGを組み立てるための部品を一通りそろえたプラットフォームである。Readerの手軽さが入口として知られているが、本体は多言語・マルチモーダルな埋め込みとRerankerであり、精度を求める検索基盤にこそ向く。単体で完結するツールではないため非エンジニアが直接使う場面は限られるが、開発者にとっては「複数のベンダーを組み合わせずに済む」という利点が大きい。まずはReaderを無料で試し、埋め込みやRerankerが必要になった段階でAPIキーを発行して評価を進めるとよい。

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