agata 氏が開発するオープンソース(MIT ライセンス)の音声入力ツール。OpenAI の音声認識モデル Whisper を端末内で直接動かし、マイクに話した内容をリアルタイムで文字に起こす。処理がすべてローカルで完結するため、API キーの登録も、クラウドへの音声送信も必要ない。文字起こし結果は自動でクリップボードにコピーされ、設定次第でそのまま前面のアプリへ貼り付けられる。macOS・Windows・Linux に対応し、利用は無料。
主な特徴
- 完全ローカル処理: 音声データを外部サーバーへ送らず、端末内で認識を完結させる。API キーが不要で、従量課金も発生しない。オフライン環境でも動作する
- グローバルホットキーで録音開始: 既定では Ctrl+Shift+R(変更可)。どのアプリを使っていても、キー 1 つで録音を開始・停止できる。Linux・macOS では SIGUSR1 シグナルからの起動にも対応する
- 自動コピー&自動貼り付け: 認識結果をクリップボードへ自動コピーし、オプションでアクティブなウィンドウへの貼り付けまで行う。メールやチャットの入力欄に直接書き込める
- モデル管理機能: Tiny / Base / Small / Medium / Large-v3 のプリセットから、精度と速度のバランスを選んで切り替えられる。既定は Large-v3(約 3.1 GB)で、初回起動時に自動ダウンロードされる
- ユーザー辞書: 固有名詞や社内用語など、誤認識しやすい語を「正規形・別名・適用条件」の組で登録し、置換ルールとして反映できる
- フローティングツールバーとデバイス制御: 待機・録音中・処理中の状態を示す小さな常駐ウィンドウを画面上に置ける。入力/出力デバイスの選択、レベルメーター、ゲイン調整、テスト録音も設定画面から行える
- GPU アクセラレーション: Windows・Linux では Vulkan、macOS では Metal / Core ML を利用した高速化に対応する
料金
| プラン | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| オープンソース版 | $0 | 全機能を利用可能。MIT ライセンス、API キー不要、利用回数の制限なし |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
有料プランやサブスクリプションは用意されていない。処理を端末内で行うため、クラウド型の文字起こしサービスのような従量課金も発生しない。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 音声が外部に出ないため、機密性の高い会話や個人情報を含む内容でも扱いやすい
- 無料かつ従量課金なしで、長時間・大量に使ってもコストが増えない
- ネットワーク接続がない環境でも動作する
- ホットキー 1 つで呼び出せ、アプリを切り替えずに音声入力できる
- ソースコードが公開されており、挙動を自分で確認・改造できる
⚠️ デメリット
- 既定モデル(Large-v3)は約 3.1 GB あり、初回のダウンロードとディスク容量が必要
- 認識速度は端末の性能に依存する。GPU アクセラレーションが効かない環境では待ち時間が長くなりやすい
- メモリは 4 GB 以上(8 GB 推奨)が必要とされ、軽量なマシンでは負荷が大きい
- 自動更新機能がないため、新しいバージョンは手動で入れ直す必要がある
- 自動貼り付けには追加設定が要る(macOS ではアクセシビリティと自動化の許可、Linux では wtype または xdotool の導入)
- 話者分離や要約といった、録音後の高度な編集機能は備えていない
類似サービスとの比較
| 比較項目 | HootVoice | superwhisper | MacWhisper | クラウド型の文字起こしサービス |
|---|---|---|---|---|
| 処理場所 | 端末内(ローカル) | 端末内(ローカル中心) | 端末内(ローカル中心) | クラウド |
| 対応 OS | macOS / Windows / Linux | macOS 中心 | macOS | ブラウザ・各種アプリ |
| 料金 | 無料(オープンソース) | 無料枠 + 有料プラン | 無料枠 + 買い切り | 無料枠 + 従量・月額課金 |
| API キー | 不要 | 不要(ローカル利用時) | 不要(ローカル利用時) | 必要な場合が多い |
| ソース公開 | あり(MIT) | なし | なし | なし |
| 主な用途 | リアルタイムの音声入力 | リアルタイムの音声入力 | 音声ファイルの文字起こし中心 | 会議録・議事録の自動生成 |
料金体系や機能は各サービスで変更されるため、比較の際は各公式サイトで最新の内容を確認してほしい。
こんな人におすすめ
- 業務上の会話や個人情報を含む内容を扱うため、音声をクラウドに送りたくない人
- 文章入力の量が多く、タイピングの負荷を音声入力で減らしたい人
- 従量課金のある文字起こしサービスのコストが気になる人
- Windows・Linux でも同じ音声入力環境を使いたい人
- オープンソースのツールを自分で確認・カスタマイズしながら使いたい開発者
まとめ
HootVoice は、Whisper をローカルで動かすことで「精度のある音声入力」と「データを外へ出さない安心感」を両立させたツールである。無料で、API キーも不要で、macOS・Windows・Linux のいずれでも同じように使える点は、日常的に音声入力を取り入れたい人にとって大きい。一方で、既定モデルの容量やメモリ要件、自動更新の不在といった、ローカル実行ならではの手間もある。まずは軽量なモデルで動作を確かめ、必要に応じて上位モデルへ切り替えるとよい。