Nous Researchのオープンソースエージェント「Hermes Agent」を、ブラウザのサイドパネルから呼び出せるようにするコミュニティ製の拡張機能。Jon Komet氏(GitHub: abundantbeing)が開発し、Chrome/Edge/Brave などのChromium系ブラウザとFirefoxに対応する。ローカルPCで動かしているHermesのAPIに接続すれば、すでに設定済みのモデル・ツール・スキル・セッション・メモリ・MCPサーバーをそのままブラウザ上で使える。表示中のタブや選択テキストをそのまま文脈として渡せるため、記事の要約や下書き作成といった作業を、画面を移動せずに片付けられる。2026年6月24日に最初のアルファ版が公開され、2026年8月22日のv0.3.0で承認制のブラウザ操作機能まで広がった。MITライセンスで公開されている。
主な特徴
- サイドパネルで文脈をそのまま渡せる: 開いているタブの本文や選択テキスト、複数タブの一覧をHermesへ受け渡せる。ページの内容は「信頼できない文脈」として明示的に包んだうえで送られ、何を読み取ったかを確認できる受け渡し履歴も用意されている
- 3つの接続モード: ローカルゲートウェイ(既定は
http://127.0.0.1:8642)、ブラウザのタブでサインイン済みのHermes Cloud、自分で立てたリモートゲートウェイ(HTTPS + APIキー、またはVPN・Tailscale経由)から選べる - クイックコマンド:
/summarize(要約)、/explain(解説)、/rewrite(書き換え)、/tabs(タブ操作)、/action-items(やることの抽出)などをスラッシュ入力で呼び出せる - Hermes Assist(インライン下書き): v0.2.0で追加された機能で、GmailやGitHub、Slackなど31の入力欄を認識し、テキスト作成の場面に小さな下書きパネルを表示する
- Hermes Web(フルページ作業画面): サイドパネルとは別に、会話履歴・モデル切り替え・メディア生成をまとめた全画面のワークスペースを開ける
- 承認つきのブラウザ操作: v0.3.0からタブ単位の「リース」を明示的に許可した範囲でのみ、スナップショット取得・クリック・入力・画面遷移といった操作を実行できる。実行前に承認を求めるゲートが挟まる
- 見た目と入力の選択肢: 9種類のテーマとライト/ダーク/システム連動、Hermesの音声書き起こしまたはブラウザ標準機能を使った音声入力に対応
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 拡張機能本体 | $0(MITライセンス) | すべての機能。GitHubからソースを取得して自分でビルドする |
| Hermes Agent(接続先) | 別途 | オープンソース版をローカルで動かす場合は拡張機能側に追加費用はない。Hermes Cloudや外部モデルAPIを使う場合はそれぞれの利用料が発生する |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の情報は公式リポジトリをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 拡張機能自体が無料のオープンソースで、コードを読んで挙動を確認できる
- Hermesをローカルで動かしていれば、ページの内容を外部のSaaSへ送らずに処理できる
- Hermes側で設定済みのモデル・スキル・MCPサーバーをそのまま流用でき、ブラウザ用に設定をやり直す必要がない
- ブラウザ操作は任意参加で、実行前に承認を挟む設計になっている
- 更新が活発で、2026年6月の公開から2か月で機能が大きく広がっている
⚠️ デメリット
- Chromeウェブストアには未登録で、リポジトリを取得して
npm install && npm run buildし、開発者モードで読み込む手順が必要(Firefoxのみ署名済みファイルがReleasesで配布されている) - 前提としてHermes Agentのセットアップが必要で、AIチャットだけを試したい人には準備の負担が大きい
- 公式にはパブリックアルファの位置づけで、仕様変更や不具合の可能性がある
- Hermes Cloud接続モードではページ本文や添付を渡せず、チャット用途に限定される
- 日本語の解説記事や公式ドキュメントの日本語訳は現時点でほとんどない
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Hermes Browser Extension | Sider | Monica | ブラウザ内蔵のAIアシスタント |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | コミュニティ製の拡張機能 | 商用サービス | 商用サービス | ブラウザ標準機能 |
| 接続先 | 自分のHermes Agent(ローカル/自前サーバー/クラウド) | 提供元のサーバー | 提供元のサーバー | 提供元のサーバー |
| ライセンス | MIT(ソース公開) | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
| 料金 | 無料(接続先の費用は別) | 無料枠あり・有料プラン | 無料枠あり・有料プラン | ブラウザに付属 |
| 導入方法 | 自分でビルドして読み込み | ストアから追加 | ストアから追加 | 標準搭載 |
| 向いている人 | 自分の環境を握りたい人 | すぐ使い始めたい人 | すぐ使い始めたい人 | 追加設定をしたくない人 |
こんな人におすすめ
- すでにHermes Agentをローカルで動かしていて、ブラウザからも同じ設定で使いたい人
- 閲覧中のページの内容を外部サービスへ送りたくない、あるいは送信先を自分で決めたい人
- MCPサーバーや自作スキルをブラウザ作業にも持ち込みたい人
- 拡張機能の中身をコードで確認したうえで使いたい人
- 記事の要約やメールの下書きなど、ブラウザ上の読み書きをAIに任せたい人
まとめ
Hermes Browser Extensionは、手元で動かしているHermes Agentをブラウザの作業に直結させるための拡張機能である。商用のAIサイドパネルと比べると導入の手間は大きいが、接続先と設定を自分で握れる点、そしてMITライセンスで中身を確認できる点が明確な違いになる。パブリックアルファの段階なので、本番業務に組み込む前に、承認ゲートやコンテキストの受け渡し範囲を自分の目で確かめておきたい。