Nous Researchが開発するオープンソースのAIエージェント。手元のPCや月数ドルのVPS上で常駐し、Telegram・Discord・Slack・WhatsApp・Signal・メール・CLIといった複数の窓口から同じエージェントに話しかけられる。最大の特徴は「使うほど賢くなる」設計で、セッションをまたいで残る永続メモリと、複雑な作業をこなした経験から手順を自動でスキル化していく学習ループを備える。ブラウザ自動化・Web検索・音声・画像生成・MCP連携・サブエージェント委任など40以上のツールを内蔵し、本体はMITライセンスで無料。かかる費用は選んだLLMプロバイダのAPI利用料だけという構成になっている。
主な特徴
- 永続メモリで文脈が消えない: 会話やプロジェクトの前提をエージェント自身が整理して保持し、セッションをまたいで参照する。過去のセッション全文を検索し、要約して引き出す仕組みも持つため、「先週頼んだあの件」が通じる
- 経験からスキルを自動生成する学習ループ: 複雑なタスクを一度こなすと、その手順をスキルとして書き出し、次に使うときに自分で改善していく。スキルはオープン標準のagentskills.io形式に対応しており、外部で作られたスキルも取り込める
- 15以上のプラットフォームに1つのゲートウェイで接続: Telegram・Discord・Slack・WhatsApp・Signal・メール・CLIなどを単一のゲートウェイプロセスが束ねる。音声メッセージの文字起こしにも対応し、どの窓口から話しかけても会話が継続する
- サンドボックス実行と柔軟なデプロイ先: ローカル・Docker・SSH・Singularity・Modal・Daytona・Vercelといった複数のターミナルバックエンドを選べる。月$5程度のVPSでも動き、ModalやDaytonaを使えばアイドル時に休止させて費用を抑えられる
- ブラウザ自動化・スケジュール実行・サブエージェント: Web検索とブラウザ操作、自然言語で設定するcronタスク(定例レポートやバックアップの自動化)、並行作業のためのサブエージェント生成を標準で備える
- MCP連携とモデルの乗り換え自由度: Model Context Protocolで外部ツールに接続できる。モデルはNous Portal・OpenRouter・OpenAI・Anthropic・Google・ローカルモデルなどから選べ、
hermes modelコマンドで切り替えられるためベンダーロックインがない
料金
Hermes Agent本体はMITライセンスのオープンソースで無料。実際のコストは、どのLLMプロバイダを使うかで決まる。開発元が提供するNous Portalを使う場合は、以下のサブスクリプションでモデルアクセスと内蔵ツール(Web検索・スクレイピング・画像生成・ブラウザ操作・音声)をまとめて賄える。
| プラン | 月額料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Hermes Agent 本体 | $0 | MITライセンス。全機能を利用可。LLMのAPI利用料のみ自己負担 |
| Nous Portal Free | $0 | 従量課金でモデルにアクセス |
| Nous Portal Plus | $20 | 月次クレジット付与、ホスト型ツール利用、レート上限の引き上げ |
| Nous Portal Super | $100 | Plusより多い月次クレジットと高いレート上限 |
| Nous Portal Ultra | $200 | 最上位の月次クレジットとレート上限 |
ローカルLLMを使えばAPI費用はゼロにできる(相応のGPUメモリは必要)。OpenRouterやAnthropicなど手持ちのAPIキーを使う構成でも問題なく動く。
料金は2026年8月時点の情報です。Nous Portalの各プランに含まれるクレジット額や繰り越し上限は変更されることがあるため、最新の料金は公式サイトおよびNous Portalをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 本体が無料のオープンソース(MITライセンス)で、ソースを読んで挙動を確認したり自分で拡張したりできる
- 永続メモリとスキル学習により、同じ指示を繰り返さずに済む。長く使うほど自分の作業に合ってくる
- 普段使っているチャットアプリから呼び出せるため、専用の画面を開き直す必要がない
- モデルプロバイダを自由に選べ、ローカルLLMまで含めて乗り換えられる。API費用のコントロールが効く
- 月$5クラスのVPSで常駐運用でき、cronタスクで定例作業を任せられる
⚠️ デメリット
- セルフホスト前提のため、インストール・APIキー設定・常駐運用の管理は自分で行う必要がある(ワンライナーのインストーラは用意されている)
- 完全な無料ではなく、実運用ではLLMのAPI利用料がかかる。ブラウザ操作や長時間の自律実行はトークン消費が読みにくい
- ローカルモデルで動かす場合は、それなりのGPUメモリを持つマシンが必要
- 自律的にコマンドを実行するエージェントである以上、権限設計とサンドボックスの選定を誤ると危険。サンドボックス実行系の理解が求められる
- 開発ペースが速く、バージョン間で設定や挙動が変わることがある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Hermes Agent | OpenClaw | Claude Code | OpenHands |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | セルフホスト(OSS・MIT) | セルフホスト(OSS) | ターミナル常駐のCLI(商用) | セルフホスト(OSS) |
| 主な用途 | 汎用の常駐アシスタント | 汎用の常駐アシスタント | コーディング・開発作業の委任 | 自律的なソフトウェア開発 |
| 主な窓口 | Telegram・Discord・Slack・WhatsApp・Signal・メール・CLI | チャットアプリ中心 | ターミナル | Web UI・CLI |
| 長期記憶 | 永続メモリ+セッション全文検索 | あり | プロジェクト単位の文脈管理 | 限定的 |
| スキルの自動生成 | あり(経験から自動生成・自己改善) | 拡張はプラグイン中心 | Agent Skills(手動作成が基本) | 限定的 |
| モデルの選択 | 任意のプロバイダ・ローカルLLM可 | 任意のプロバイダ | Anthropicのモデル | 任意のプロバイダ |
こんな人におすすめ
- チャットアプリから呼び出せる自分専用のAIアシスタントを、手元やVPSで常駐させたい人
- 毎回同じ前提説明をするのが煩わしく、文脈を覚えてくれるエージェントを求めている人
- 定例レポート・バックアップ・情報収集といった繰り返し作業を自然言語で自動化したい人
- クラウドサービスに依存せず、データの置き場所とモデルの選択を自分でコントロールしたい人
- ローカルLLMを持っていて、API費用をかけずにエージェントを動かしたい人
- OSSのエージェント実装を読んで、記憶やスキル学習の仕組みを学びたい開発者
まとめ
Hermes Agentは、永続メモリとスキルの自動生成という「継続的に賢くなる」設計を軸にした、Nous Research製のオープンソースAIエージェントである。普段使いのチャットアプリから呼び出せる手軽さと、モデルもデプロイ先も自由に選べる構成の柔軟さを両立している点が強み。一方でセルフホスト前提のため、セットアップと権限設計は利用者の責任になる。まずはローカルまたは安価なVPSに導入し、既存のAPIキーで小さなタスクから任せて、記憶とスキルが育つ感触を確かめるところから始めるとよい。