GitLab Inc. が提供する、GitLab 本体に組み込まれたエージェンティックAIプラットフォーム。2026年1月15日に一般提供(GA)を開始した。コードレビュー、CI/CDパイプラインの修正、脆弱性の分析といった作業を、それぞれ役割を持った「エージェント」が担当する。複数のエージェントを束ねて多段階の作業を自動化する「フロー」、組織独自のルールを反映したカスタムエージェント、Model Context Protocol(MCP)による外部ツール連携にも対応する。課金はユーザーごとのAIシートではなく、組織全体でプールする「GitLab Credits」からの従量制になっている点が大きな特徴である。
主な特徴
- 役割別の専門エージェント: リリース計画やコードセキュリティなど、開発工程ごとの基盤エージェント(Foundational Agents)が既定で使える。加えて、チーム固有のレビュー基準・コンプライアンスチェック・デプロイ自動化に合わせた「カスタムエージェント」、外部のAIモデルプロバイダをイシューやマージリクエストから呼び出す「外部エージェント」も定義できる
- 複数エージェントを束ねるフロー: セキュリティスキャン、コードレビュー、テスト生成、ドキュメント作成といった多段階の作業を、エージェントを連携させたフローとして自動化できる。GitLab が用意する基盤フローに加え、独自フローの作成にも対応する
- UI・IDE・CLI から同じエージェントを呼べる: 対話型の GitLab Duo Agentic Chat は、GitLab の Web UI、各種 IDE、GitLab Duo CLI のいずれからも利用できる。作業場所を変えても同じエージェントに指示を出せる
- MCP による双方向の連携: 外部の MCP サーバーを取り込んでエージェントの能力を広げられるほか、GitLab 側が MCP サーバーとなり、外部のAIツールから GitLab のデータを参照させることもできる
- AIシート不要のクレジット課金: Premium / Ultimate の契約があれば、GitLab アカウントを持つメンバー全員がエージェント機能を使える。利用者ごとにAI用の追加シートを買う必要がなく、消費は組織全体でプールされたクレジットから引かれる
- 企業向けのAIガバナンス: ポリシーによる利用制御や、セルフホストしたモデルの利用に対応する。どのエージェントに何を許すかを組織側で管理できる設計になっている
料金
| プラン | 月額料金(1ユーザー) | Agent Platform 向けの同梱クレジット |
|---|---|---|
| Free | $0 | 同梱クレジットの対象外 |
| Premium | $29(年払い時) | $12 相当/ユーザー/月(期間限定プロモーション、毎月リフレッシュ) |
| Ultimate | $99(年払い時) | $24 相当/ユーザー/月(期間限定プロモーション、毎月リフレッシュ) |
| 追加クレジット | オンデマンドは1クレジット=$1 | 年間コミット契約では数量割引あり(要問い合わせ) |
同梱クレジットを使い切った分は、月次のコミットクレジットまたはオンデマンドクレジットとして課金される。エージェントの同期的な利用(チャットなど)と非同期的な利用(バックグラウンド実行)の両方がクレジットの消費対象になる。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- イシュー・マージリクエスト・CI/CD といった既存の GitLab のワークフローの中で完結し、別ツールへ文脈を移す手間がない
- AI専用シートの購入が不要で、Premium / Ultimate のメンバー全員がすぐ使い始められる
- クレジットが組織全体でプールされるため、誰がどれだけ使うかを事前に割り振らなくてよい
- カスタムエージェントとフローで、自社のレビュー基準やリリース手順をそのまま自動化に落とし込める
- MCP 対応により、外部ツールの取り込みと外部からの接続の両方向で拡張できる
- ポリシー制御とセルフホストモデル対応があり、統制が求められる組織でも導入しやすい
⚠️ デメリット
- 従量課金のため、エージェントを多用すると月ごとのコストが読みにくくなる
- 同梱クレジット(Premium $12/Ultimate $24 相当)は期間限定のプロモーション扱いで、恒久的な無償枠ではない
- Free プランは同梱クレジットの対象外で、実質的に Premium 以上の契約が前提になる
- GitLab を開発基盤として使っていない組織には利点が届きにくい
- カスタムエージェントやフローの設計には、既存の開発プロセスを整理する手間がかかる
- エージェントの出力をそのまま信頼するわけにはいかず、人によるレビューは引き続き必要になる
類似サービスとの比較
| 比較項目 | GitLab Duo Agent Platform | GitHub Copilot | Amazon Q Developer | Cursor |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | GitLab Inc. | GitHub(Microsoft) | Amazon Web Services | Anysphere |
| 主な統合先 | GitLab(イシュー/MR/CI/CD) | GitHub(イシュー/PR/Actions) | AWS 環境・IDE | 専用エディタ(VS Code 派生) |
| 得意領域 | 開発工程横断の自動化とガバナンス | コード補完とPR上のエージェント | AWS リソースを含む開発・運用支援 | エディタ内でのコード生成・編集 |
| 課金モデル | クレジット従量制(AIシート不要) | ユーザー単位のサブスクリプション | ユーザー単位のサブスクリプション | ユーザー単位のサブスクリプション |
| セルフホストモデル | 対応 | 限定的 | 限定的 | 非対応 |
こんな人におすすめ
- すでに GitLab を開発基盤として使っていて、レビューやパイプライン修正の手戻りを減らしたいチーム
- AI利用を一部のメンバーに限定せず、組織全体に広げたいが、シート課金のコストが気になる企業
- 自社のレビュー基準やコンプライアンス要件をエージェントの挙動に反映させたい開発責任者
- 生成AIの利用範囲をポリシーで統制したい、あるいはモデルをセルフホストしたい規制業種の組織
- MCP で社内の既存ツールとAIエージェントをつなぎたいプラットフォームエンジニア
まとめ
GitLab Duo Agent Platform は、AIエージェントを「別のツール」ではなく開発基盤そのものの一部として組み込む方向に振った製品である。イシューからマージリクエスト、CI/CD までを一貫して扱える点と、AIシートを買わずに組織全体へ展開できるクレジット課金は、GitLab を中心に開発している組織にとって現実的な選択肢になる。一方で、従量制ゆえのコスト見積もりの難しさと、同梱クレジットがプロモーション扱いである点は導入前に確認しておきたい。まずは基盤エージェントとフローを小さく試し、消費クレジットの実測値をつかんでから適用範囲を広げるのが安全である。