Flowiseは、ブラウザ上のキャンバスにノードをドラッグ&ドロップするだけで、AIエージェントやRAG(検索拡張生成)パイプライン、チャットアシスタントを組み立てられるオープンソースのローコード基盤である。2023年4月の公開以降、LangChain・LlamaIndex連携による300以上のノードと、APIや埋め込みウィジェットによる即時デプロイを武器に、GitHubで5万を超えるスターを集めた。2025年8月にはWorkdayが買収し、同社のAIエージェント基盤に組み込まれている。
一方で、2026年7月29日にプロジェクトのサンセット(提供終了)が発表された。同日にコードフリーズ、8月13日にGitHubリポジトリがアーカイブされ、2026年8月31日にEOL(End of Life)を迎える。ソースコードはApache 2.0ライセンスのまま公開が続くため、フォークして自前で使い続けることはできるが、公式のアップデートやサポートは終了する。これから新規に採用を検討している場合は、この点を踏まえた判断が必要になる。
主な特徴
- ビジュアルなフロー設計: 単一エージェントのチャットアシスタントを作る「Chatflow」と、複数エージェントを協調させる「Agentflow」の2系統を用意。処理の分岐やループもキャンバス上で組める
- 300以上のノードとLLM統合: LangChain・LlamaIndexのコンポーネントを取り込み、100を超えるLLM・埋め込みモデル、ベクトルDB、外部ツールをノードとしてつなげられる
- RAGパイプラインの構築: ドキュメントの読み込み・分割・ベクトル化・検索までを一連のフローとして設計でき、社内文書に答えるアシスタントをコードなしで作れる
- Human In The Loop(HITL): エージェントの判断を人間が途中で確認・承認できる仕組みを備え、自動化の暴走を防ぎやすい
- 可観測性とデバッグ: 実行トレースを全ステップ追跡でき、PrometheusやOpenTelemetryへのメトリクス出力にも対応する
- 多様なデプロイ手段: REST API、埋め込みチャットウィジェット、TypeScript/Python SDKを提供。セルフホスト(Docker・npm・各種クラウド)とマネージドクラウドの両方に対応
料金
| プラン | 月額料金 | 主な上限 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | フロー・アシスタント2件、月100予測、ストレージ5MB | 評価機能、カスタムブランディング、コミュニティサポート |
| Starter | $35 | フロー無制限、月10,000予測、ストレージ1GB | Freeの全機能、コミュニティサポート |
| Pro | $65 | 月50,000予測、ストレージ10GB、ワークスペース無制限 | 管理者ロール、5ユーザー以上(追加1ユーザーあたり$15)、優先サポート |
セルフホスト版はソフトウェア自体が無償で、サーバー費用とLLMのAPI利用料のみが発生する。
料金は2026年8月時点の情報です。提供終了(2026年8月31日)に伴い、クラウド版の申し込み可否や条件は変わる可能性があります。最新の情報は公式サイトおよびサンセット告知ページをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- コードを書かずに、マルチエージェントやRAGといった複雑な構成を視覚的に設計できる
- Apache 2.0のオープンソースで、セルフホストすればデータを自社環境に閉じたまま運用できる
- 300以上のノードにより、主要なLLM・ベクトルDB・外部ツールをつなぎ替えて試せる
- API・SDK・埋め込みウィジェットが揃っており、試作から自社サービスへの組み込みまで一気通貫で進められる
- 実行トレースやHITLなど、本番運用を意識した機能が最初から用意されている
⚠️ デメリット
- 2026年8月31日で公式の提供が終了し、以降のアップデート・セキュリティ修正・サポートは行われない
- GitHubリポジトリは2026年8月13日にアーカイブ済みで、IssueやPull Requestは受け付けられない。npmパッケージとDockerイメージも非推奨扱いになる
- 継続利用するにはフォークして自前で保守する体制が必要で、実質的に開発リソースを抱える前提になる
- ノードの種類が多く、LLMやベクトルDBの基礎知識がないと最初のフロー設計でつまずきやすい
- セルフホストの場合、サーバー・データベース・スケーリングの運用は自分たちで担う必要がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Flowise | Dify | Langflow | n8n |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | AIエージェント・RAG構築 | LLMアプリ開発・運用 | AIワークフローの試作 | 汎用業務自動化+AI |
| ライセンス | Apache 2.0(アーカイブ済み) | オープンソース(一部制限あり) | MIT | Sustainable Use License |
| セルフホスト | 可(保守は自前) | 可 | 可 | 可 |
| 提供状況 | 2026年8月末で提供終了 | 継続中 | 継続中 | 継続中 |
| 向いている人 | 既存利用者・フォーク運用チーム | 社内LLMアプリを本番運用したいチーム | プロトタイプを素早く試したい開発者 | 業務システム連携も含めて自動化したいチーム |
新規に同種のツールを選ぶ場合は、開発が継続しているDify・Langflow・n8nが現実的な候補になる。いずれもビジュアルなフロー設計とセルフホストに対応しており、Flowiseで作った構成の考え方はほぼそのまま応用できる。
こんな人におすすめ
- すでにFlowiseで本番フローを運用しており、当面の継続方法を検討している人
- Apache 2.0のコードをフォークし、自社で保守しながら使い続けられる開発チーム
- エージェント構成やRAGパイプラインの設計を、実装済みのオープンソースコードから学びたい人
- Workdayプラットフォーム上でのAIエージェント構築に関心があり、その源流を把握しておきたい人
新規プロジェクトでノーコードのAIエージェント基盤を探している場合は、提供が継続している選択肢を先に検討したほうがよい。
まとめ
Flowiseは、ドラッグ&ドロップでAIエージェントとRAGを構築できる代表的なオープンソース基盤として、5万超のスターを集めるまでに成長したプロジェクトである。Workdayによる買収を経て、2026年8月31日に公式の提供を終える。コードはApache 2.0で残るため学習素材やフォークの土台としての価値は続くが、サポートを前提とした新規採用には向かない。既存利用者はフォーク運用か他ツールへの移行を、これから始める人は継続中の代替ツールを検討したい。