AI Deck

Feynman ─ 論文の探索から検証まで4つのAIエージェントが分担する、ローカル実行のオープンソース研究エージェント

Companion, Inc. が開発するオープンソースのAIリサーチエージェント。自然言語での指示か、/deepresearch/lit といったスラッシュコマンドで、学術論文の探索・読解・比較・執筆までをまとめて任せられる。Researcher・Reviewer・Writer・Verifier の4つの専門エージェントが役割を分担し、出力される主張には出典が紐づく設計になっている。クラウドサービスではなく自分のPCにインストールして動かすCLIツールで、ライセンスはMIT。ソースコードはGitHubで公開されている。

主な特徴

  • 4エージェントの分業体制: 証拠を集めるResearcher、内容を批評するReviewer、草稿を書くWriter、引用と出典を検証するVerifierが連携する。「調べる人」と「裏を取る人」が分かれているため、根拠のない断定が混ざりにくい
  • 8つの研究ワークフロー: deepresearch(複数エージェントによる並列調査)、lit(合意点と対立点を整理する文献レビュー)、audit(論文の主張と公開コードの突き合わせ)、replicate(再現実験の計画)、recipe(機械学習の学習レシピ探索)、rank(引用数・手法・再現性などによる論文の採点)、paper(DOI/arXiv ID から本文を取得)、serve(ローカル作業環境の起動)を備える
  • ローカルの科学ワークベンチ: feynman serve を実行すると、チャット・ファイル管理・ノートブック・計算リソース・監査ログを1つの画面にまとめたローカルアプリが立ち上がる。調査の過程がその場に残る
  • 論文・生命科学データベースとの連携: AlphaXiv や Hugging Face に加え、PubMed・ChEMBL・PanglaoDB といった生命科学系のデータベース、Exa や Perplexity といったWeb検索と接続できる
  • モデルを自分で選べる: LM Studio・Ollama・vLLM・LiteLLM といったローカルモデルのほか、GitHub Copilot や OpenRouter などのホスト型プロバイダーも feynman setup で設定できる。手元のモデルだけで完結させることも可能
  • 重い計算は外部GPUへ: 再現実験やベンチマークのように計算資源が必要な場面では、Docker・Modal・RunPod を使った実行手順が用意されている。CLI本体の利用にGPUは不要

料金

プラン料金主な特徴
オープンソース版$0(MITライセンス)全機能を利用可能。GitHubでソース公開
モデル利用料選んだプロバイダー次第ローカルモデルなら追加費用なし。OpenRouter等のホスト型を使う場合はそのAPI料金が別途かかる

料金は2026年8月時点の情報です。ソフトウェア自体は無料ですが、実行に使うAIモデルの費用は利用者側の契約に依存します。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • ソフトウェア本体が無料で、ライセンスもMITと制約が緩い
  • ローカルモデルを選べば、未公開の研究データを外部サービスに送らずに調査を進められる
  • 全主張に出典が付く設計のため、生成結果の裏取りがしやすい
  • 論文の主張と公開コードを突き合わせる audit、再現計画を立てる replicate など、他の文献検索ツールにはない工程まで踏み込める
  • ワークフローがスラッシュコマンドとして整理されており、やりたいことから入りやすい

⚠️ デメリット

  • CLIツールのため、インストールとターミナル操作に抵抗がない人向け。ブラウザで完結する文献検索サービスと比べると導入の敷居は高い
  • 実行に使うモデルを自分で用意・設定する必要があり、ホスト型を選べばAPI料金が発生する
  • 出力の品質は選んだモデルに大きく左右される
  • 公開から日が浅く、ドキュメントや事例の蓄積は発展途上
  • 再現実験など計算負荷の高い作業では、別途GPU環境(Modal・RunPod等)の準備と費用が必要

類似サービスとの比較

比較項目FeynmanElicitConsensusSciSpace
提供形態ローカル実行のCLI/ワークベンチWebサービスWebサービスWebサービス
主な用途調査・レビュー・再現計画・執筆論文の抽出・スクリーニング論文からの回答検索論文の読解支援・要約
オープンソースMITライセンスで公開非公開非公開非公開
モデルの選択ローカル/ホスト型から選択可提供元が指定提供元が指定提供元が指定
コード検証audit で論文とコードを突合非対応非対応非対応
料金ソフトは無料(モデル費用は別)無料枠あり/有料プラン無料枠あり/有料プラン無料枠あり/有料プラン

こんな人におすすめ

  • 論文を読むだけでなく、主張の再現性やコードの裏付けまで確認したい研究者・エンジニア
  • 未公開データや機密性の高いテーマを扱うため、調査をローカル環境で完結させたい人
  • 文献レビューや関連研究のまとめに時間を取られており、下調べの工程を自動化したい大学院生
  • 機械学習の学習レシピや再現手順を、論文から実装可能な形に落とし込みたい実務者
  • 既存の文献検索サービスの出力に対して、出典の追跡可能性に物足りなさを感じている人

まとめ

Feynmanは、文献検索にとどまらず「論文の主張を検証し、再現の計画まで立てる」ところまでを守備範囲に入れたリサーチエージェントである。CLIでの操作とモデルの自前用意という前提はあるものの、その代わりにソフトウェア自体は無料で、調査をローカルで完結させる選択肢も持てる。まずは feynman setup でモデルを設定し、litdeepresearch を手元のテーマで試してみると、どこまで任せられるかの感覚がつかめる。

関連リンク

← ブログ