Emdash は、Claude Code や Codex といったコーディングエージェントを複数同時に走らせるためのデスクトップアプリ。タスクごとに Git worktree とブランチ、ターミナルを分けて割り当てるため、複数のエージェントが同じ作業ディレクトリを奪い合うことがない。差分レビュー、アプリのプレビュー、PR 作成までひとつの画面にまとまっており、ターミナルのタブを行き来する手間がなくなる。開発元は Y Combinator W26 に採択された General Action。Apache-2.0 のオープンソースで、macOS / Windows / Linux に対応する。
主な特徴
- worktree による並列実行: タスクごとに独立した Git worktree とブランチを自動で用意する。エージェント A がリファクタリング、エージェント B がバグ修正、といった作業を同じリポジトリで同時に進められ、互いの変更が混ざらない
- 25 以上のコーディングエージェントに対応: Claude Code、Codex、Cursor、Amp、OpenCode、Devin、GitHub Copilot など幅広く対応し、インストール済みのものを自動検出する。エージェントを乗り換えても操作画面は変わらない
- レビューから PR まで一画面で完結: 差分の確認、プルリクエストの作成、CI の状態チェックをアプリ内で行える。内蔵ブラウザでアプリの動作を確認しながらレビューでき、Linear・GitHub・Jira・GitLab・Asana などの issue トラッカーとも連携する
- スケジュール実行による自動化: 依存関係の更新やテストの実行といった定型作業を、時間を決めて繰り返し走らせられる
- リモート SSH 実行: 手元のマシンだけでなく、開発サーバーやクラウド VM に SSH でつないでエージェントを動かせる。重いビルドを手元から切り離したいときに使える
- ライブラリでプロンプトと MCP を再利用: よく使うプロンプト、スキル、MCP サーバーの設定を登録しておき、どのプロジェクトからも呼び出せる
- ローカルファースト設計: データは手元の SQLite に保存され、コードはローカルか自分で用意したインフラの中に留まる
料金
| プラン | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Emdash 本体 | $0(無料) | 全機能を利用可能。Apache-2.0 のオープンソースで、有料プランは用意されていない |
Emdash 自体は無料だが、内部で呼び出す Claude Code や Codex などのエージェントには、それぞれのサブスクリプションや API 利用料が別途かかる。料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 並列作業に必要な worktree・ブランチ・ターミナルの管理を肩代わりしてくれるため、手作業で
git worktree addを繰り返す必要がない - 特定のエージェントに縛られず、Claude Code と Codex を同じ画面で使い分けられる
- 完全無料かつオープンソースなので、導入コストが実質ゼロで、社内利用時のライセンス確認もしやすい
- コードとデータがローカルに留まる設計のため、外部サービスにリポジトリを預けたくない環境でも検討しやすい
- SSH 実行とスケジュール実行により、単発の作業だけでなく継続的な自動化の土台にもなる
⚠️ デメリット
- デスクトップアプリのため、ブラウザだけで完結するクラウド型サービスとは違い、インストールと初期設定が必要になる
- 前提として Git と worktree、ブランチ運用の理解が要る。Git に不慣れなうちは並列実行の恩恵より混乱が先に立ちやすい
- エージェント本体は同梱されないため、Claude Code や Codex を別途用意し、それぞれの認証を通す必要がある
- 更新頻度が高く機能追加が速い反面、画面構成や設定項目が変わることがある
- 複数エージェントを同時に走らせるとマシンの CPU・メモリを消費するため、非力な端末では並列数を絞る必要がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Emdash | Conductor | Vibe Kanban | 素の CLI + git worktree |
|---|---|---|---|---|
| 形態 | デスクトップアプリ | デスクトップアプリ(macOS) | ローカル起動の Web UI | ターミナル操作 |
| 対応エージェント | 25 以上(Claude Code / Codex / Cursor ほか) | Claude Code 中心 | 複数のエージェントに対応 | 任意(手動で起動) |
| worktree の自動管理 | あり | あり | あり | なし(手動) |
| リモート実行 | SSH 対応 | ローカル中心 | ローカル中心 | 自前で構築 |
| ライセンス | オープンソース(Apache-2.0) | プロプライエタリ | オープンソース | ─ |
こんな人におすすめ
- Claude Code や Codex を日常的に使っていて、1 つのタスクの完了を待つ時間がもったいないと感じている開発者
- 複数の機能追加やバグ修正を並行して進めたいが、ブランチと作業ディレクトリの管理が煩雑になっているチーム
- エージェントを使い分けたい、あるいは乗り換えの可能性があり、特定ベンダーの UI に固定されたくない人
- リポジトリを外部のクラウドサービスに送りたくない、ローカル完結の環境を求める人
- 依存関係の更新やテスト実行など、定型作業をエージェントに定期実行させたい人
まとめ
Emdash は、コーディングエージェントを「1 つずつ順番に使う道具」から「同時に何本も走らせる作業チーム」へ引き上げるための土台となるアプリである。worktree の自動管理、25 以上のエージェント対応、差分レビューと PR 作成の統合、SSH 実行とスケジュール実行と、並列開発に必要な要素が一通り揃っている。無料かつオープンソースなので、まずは手元のリポジトリで 2 タスクを並列に走らせてみて、ターミナルを何枚も開く運用と比べてみるとよい。前提として Git の worktree・ブランチ運用に慣れていることが望ましく、そこさえ押さえていれば導入の障壁は低い。