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Docstrange ─ PDFや画像から構造化データを抜き出す、Nanonets製のオープンソース文書処理ツール

請求書のPDF、スキャンした契約書、Excelの明細表 ─ 手元にある書類を、AIやプログラムがそのまま扱える形に変換したい場面は多い。Docstrangeは、こうした「読めるけれど構造化されていない文書」をMarkdown・JSON・CSV・HTMLに変換するオープンソースのドキュメント処理ツールである。開発元は文書AIを専門とする米国企業Nanonets。2025年8月にMITライセンスのPythonライブラリとして公開され、クラウドAPI経由でも、手元のマシン完結でも動かせる二段構えが特徴だ。ブラウザから試せるWeb版も用意されており、まずはファイルをドラッグ&ドロップするだけで結果を確認できる。

主な特徴

  • 幅広い入力形式に対応: PDF、DOCX、PPTX、XLSX、CSV、PNG・JPG・TIFFなどの画像、HTML、プレーンテキストを扱える。スキャン画像もOCRで文字を起こしたうえで構造を復元する
  • 4種類の出力形式: Markdown、JSON、CSV、HTMLに変換できる。LLMに読ませるならMarkdown、システム連携ならJSON、表計算に流し込むならCSVといった具合に、用途に応じて使い分けられる
  • 表の抽出に強い: 罫線のない表やセル結合を含む表も、行と列の対応を保ったまま取り出せる設計になっている。文書処理で最も崩れやすい部分を主眼に置いている
  • クラウドとローカルの選択制: クラウドモードは環境構築なしで高精度。ローカルモード(CPU / GPU)は自分のマシンだけで完結するため、外部に出せない機密文書でも扱える
  • 項目指定・スキーマ指定の抽出: 「請求番号」「合計金額」のように欲しい項目名を並べるだけで該当値を抜き出せるほか、JSONスキーマを渡して出力構造そのものを固定することもできる
  • MCPサーバーを同梱: Model Context Protocolのサーバーモジュールが同梱されており、Claude Desktopのようなクライアントから文書を読ませる用途にも使える

料金

プラン料金主な内容
クラウド(未ログイン)$01日あたりの回数制限付きでお試し利用が可能
クラウド(ログイン / APIキー)$0月10,000ファイルまで処理可能
ローカル実行(CPU / GPU)$0MITライセンスのため件数制限なし。処理は自分のマシンの計算資源に依存
Nanonetsの商用プラン要問い合わせ大量処理・業務システム統合を伴う場合は提供元へ相談

料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • 月10,000ファイルという無料枠が大きく、個人利用や小規模な業務なら実質無料で回せる
  • ローカルモードがあるため、社外に出せない書類でもクラウドに送らずに処理できる
  • MITライセンスのオープンソースで、社内システムへの組み込みや改変の自由度が高い
  • 出力形式が4種類あり、LLMへの入力・データベース投入・表計算のどれにも合わせられる
  • pip install docstrange だけで導入でき、コマンドラインからもPythonからも呼べる

⚠️ デメリット

  • 本格利用にはPythonの実行環境とコマンドライン操作の知識が要る。GUIだけで完結させたい人には敷居がある
  • ローカルモードの処理速度はマシン性能次第で、GPUなしのCPU実行では時間がかかる場合がある
  • 手書き文字や画質の低いスキャン、極端に複雑なレイアウトでは抽出精度が落ちることがある
  • クラウドモードの無料枠を超える規模になると、提供元への問い合わせが必要になる
  • 日本語UIやドキュメントは用意されておらず、英語での読解が前提になる

類似サービスとの比較

比較項目DocstrangeLlamaParseMistral OCRAWS Textract
提供元NanonetsLlamaIndexMistral AIAmazon Web Services
提供形態OSSライブラリ+クラウドクラウドAPIクラウドAPIクラウドAPI
ローカル実行可能(CPU / GPU)不可不可不可
主な出力Markdown / JSON / CSV / HTMLMarkdown / JSON中心Markdown / JSON中心JSON(要素単位)
無料枠月10,000ファイル一定量の無料クレジット無料枠あり初期利用枠あり
向いている用途RAGの前処理・機密文書RAGの前処理多言語文書の読み取り業務システムへの組み込み

こんな人におすすめ

  • 手元のPDFや画像を、RAGやLLMに読ませる前段としてMarkdownに整えたい人
  • 請求書・領収書・申込書などから決まった項目を機械的に抜き出したい業務担当者
  • 社外に出せない書類を扱うため、クラウドではなくローカルで完結させたい組織
  • 自社システムに文書解析機能を組み込みたい開発者(MITライセンスで改変・再配布が可能)
  • 有料の文書解析APIを導入する前に、まず無料枠で精度を見極めたい人

まとめ

Docstrangeは、文書AIを本業とするNanonetsが自社の知見をオープンソースとして切り出したツールである。クラウドの手軽さとローカルの安心感を同じライブラリで選べる点が最大の持ち味で、月10,000ファイルという無料枠の広さも実用的だ。一方でPython前提の設計であり、GUIだけで完結する製品とは性格が異なる。まずはWeb版に数枚のPDFを投げて表の再現度を確かめ、実運用に足ると判断できたらライブラリの導入に進むのが手堅い進め方になる。

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