Docker, Inc.が提供する、AIコーディングエージェントを隔離されたmicroVM内で安全に実行するためのサンドボックス基盤。エージェントはホスト環境から完全に切り離された使い捨て環境の中で、ファイル操作・パッケージインストール・コンテナ起動までroot権限で自由に行えるため、承認待ちで作業を止めずに済む。2026年3月末にCLIツールsbxとしてリリースされ、Claude Code・Codex・Gemini CLI・GitHub Copilot CLIなど主要コーディングエージェントに対応している。
主な特徴
- microVMによる強固な隔離: サンドボックスごとに専用のDockerデーモン・ファイルシステム・ネットワークを持ち、ホストのカーネルを共有しない。通常のコンテナよりも強い分離境界を確保できる
- YOLOモード:
--dangerously-skip-permissionsのようなフラグでエージェントに承認なしの自律実行を許可し、作業のたびに確認を挟まず進められる - Sandbox Kits: 環境構成や権限をYAMLで宣言的に定義し、チームで再現可能な作業環境として配布・再利用できる
- サンドボックス内でのDocker利用: エージェントはホストのDockerソケットをマウントせずに、サンドボックス内部で独立したコンテナをビルド・起動できる
- MCPゲートウェイ: ホスト側で登録したMCPサーバーを、サンドボックス内のエージェントへ一元的に橋渡しする機能(
sbx mcpコマンド群)。エージェントごとに個別設定する手間を省ける - ネットワークプロキシによる保護: ホスト側でトラフィックを中継し、ホストのlocalhostへのアクセスを遮断しつつ認証ヘッダーを自動注入する仕組みを備える
料金
| プラン | 月額料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 無料 | $0 | sbx CLI・サンドボックス実行機能を無料で利用可能 |
Docker Sandboxes自体はDocker Desktop不要・無料で使えるが、組織全体のネットワークポリシーやMCPガバナンスなど集中管理機能が必要な場合は、別製品のDocker AI Governance(要問い合わせ)が用意されている。Docker全体のサブスクリプション(Personal/Pro/Team/Business)とは別建てで、Sandboxes専用の有料プランは公式サイト内に見当たらない。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- microVM単位の隔離のため、通常のコンテナよりホストへの影響が少なく、信頼できないAI生成コードの実行に向く
- YOLOモードとSandbox Kitsの組み合わせで、承認待ちのないエージェント自律実行とチームでの環境再現を両立できる
- Claude Code・Codex・Gemini CLI・Copilot CLIなど主要エージェントに幅広く対応
- Mac/Windows/Linuxに対応し、インストールもパッケージマネージャー経由で簡単
⚠️ デメリット
- Sandboxes専用の料金ページが独立して用意されておらず、組織向け機能(Docker AI Governance)の価格は要問い合わせ
- 正式リリース時期には情報の揺れがあり、2025年末のプレビュー展開から2026年にかけて段階的にGAした経緯があるため、機能の成熟度は今後の更新を確認する必要がある
- サンドボックス自体はローカル実行前提であり、クラウド上での大規模並列実行を主眼としたプラットフォームとは設計思想が異なる
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Docker Sandboxes | E2B | Daytona |
|---|---|---|---|
| 隔離方式 | microVM(専用カーネル・独立Dockerデーモン) | Firecracker microVM(セッションごとに専用カーネル) | Dockerコンテナ(ホストカーネル共有) |
| 主な用途 | ローカルでのAIエージェント自律実行 | 短命なコード実行(関数呼び出し的な使い方) | 永続的な開発環境としてのエージェント実行 |
| 料金 | 無料(組織向け機能は別製品で要問い合わせ) | 従量課金制 | 従量課金制 |
| 対応エージェント | Claude Code / Codex / Gemini CLI / Copilot CLI等 | SDK経由で任意のエージェントに組み込み可能 | SDK経由で任意のエージェントに組み込み可能 |
こんな人におすすめ
- Claude CodeやCodexなどのAIコーディングエージェントに、承認待ちなしで自律的に作業を任せたい開発者
- ホスト環境を汚さずに、パッケージインストールやコンテナ操作を試したいエンジニア
- チームでエージェントの作業環境をYAMLで定義し、再現可能な形で共有したいチーム
- 複数のMCPサーバーをエージェントに一元的に接続したいユーザー
まとめ
Docker Sandboxesは、AIコーディングエージェントの自律実行を「隔離」と「速さ」の両面から支える基盤として、2026年に本格的に立ち上がったツールである。microVMによる強い分離とYOLOモードによる自律性を両立させ、無料で使える点も導入のハードルを下げている。組織全体でのガバナンスが必要になった段階では、別製品のDocker AI Governanceへの移行も視野に入れておくとよい。