カナダ・トロントを拠点とするChatbase, Inc.が2023年に公開した、AIカスタマーサポートエージェントの構築プラットフォーム。ヘルプ記事やFAQ、社内ドキュメントなどの自社データを読み込ませるだけで、コードを書かずに問い合わせ対応エージェントを作れる。単に文章を返すだけでなく、注文照会や請求書の取得といった「アクション」を通じてCRM・ヘルプデスク・予約システムなどの外部システムと連携し、手に負えない問い合わせは人間の担当者へエスカレーションする。Webチャット、メール、音声、WhatsApp、Slack、Metaアプリなど複数チャネルに同じエージェントを配置でき、80以上の言語に対応する。SOC 2 Type II認証とGDPR対応を備え、Dolby、Pearson、Sageなどを含む多数の企業に導入されている。
主な特徴
- 自社データからノーコードで構築: Webサイト、ヘルプセンターの記事、PDF、テキストなどを読み込ませると、その内容に基づいて回答するAIエージェントが完成する。プログラミングの知識は不要
- アクションによる外部システム連携: 注文状況の照会、請求書の取得、商品情報の検索、予約の作成といった処理を、プレーンな日本語・英語で書いた手順とAPI連携で実行できる。CRM・ヘルプデスク・予約エンジンとつなげば「調べて答える」だけでなく「実際に処理する」エージェントになる
- 人間へのスマートエスカレーション: AIが判断できない問い合わせを検知して担当者へ引き継ぐ。ヘルプデスク機能では、同じ会話のなかでAIと人間が交代しながら対応できる
- オムニチャネル配信: チャットウィジェット、メール、音声・電話、WhatsApp、Slack、Metaアプリなどへ、単一の管理画面から同じエージェントを展開できる
- 分析ダッシュボード: 会話ログ、解決率、感情分析、話題の要約、エスカレーションの発生状況などを確認し、回答の穴を見つけて改善につなげられる
- モデルの選択とセキュリティ: Claude・GPT・Geminiなど複数のAIモデルから選べる。通信・保管の暗号化、SOC 2 Type II認証、GDPR対応、HIPAA対応(上位プラン)を備え、顧客データはモデルの学習に使われない
料金
| プラン | 月額料金(月払い) | 年払い時 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | ─ | 月50メッセージクレジット、エージェント1つ、メンバー1人、モデルは限定。14日間使わないとエージェントは削除される |
| Hobby | $40 | 月額$32相当 | 月700クレジット、メンバー2人、上位モデル・連携機能・基本分析・添付ファイル |
| Standard | $150 | 月額$120相当 | 月4,000クレジット、メンバー3人、ヘルプデスク・音声・電話・アウトバウンド配信・API・自動再学習 |
| Pro | $500 | 月額$400相当 | 月15,000クレジット、メンバー5人、高度な分析、ソース提案、チケットのデータソース利用 |
| Enterprise | 要問い合わせ | ─ | 上限拡張、SSO、ホワイトラベル、監査ログ、カスタムロール、SLA、HIPAA対応、ゼロデータ保持 |
追加オプションとして、クレジットの自動追加(1,000クレジットあたり$40)、エージェントの追加(1つあたり月$25)、「Powered By Chatbase」表記の削除(月$99)が用意されている。年払いは20%割引。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- ヘルプ記事やFAQを読み込ませるだけで、その日のうちに問い合わせ対応エージェントを立ち上げられる
- 回答だけでなく、注文照会や予約といった実務処理まで自動化できる
- 1つのエージェントをチャット・メール・音声・WhatsAppなど複数チャネルへ同時展開できる
- 80以上の言語に対応し、多言語サポートの窓口を1つのエージェントでまかなえる
- SOC 2 Type II・GDPR対応など、企業導入で問われるコンプライアンス要件を満たしている
⚠️ デメリット
- 無料プランは月50クレジットと試用向けの規模で、実運用には有料プランが前提になる
- 有料プランの下限が月$40、実務機能が揃うStandardは月$150と、小規模事業者には負担が大きい
- 料金がメッセージクレジット制のため、問い合わせが増えるほどコストが読みにくい
- ヘルプデスク・音声・API連携といった主要機能がStandard以上に集中しており、下位プランでできることは限られる
- 回答品質は読み込ませるドキュメントの整備状況に依存し、社内資料が散らかっていると効果が出にくい
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Chatbase | Intercom Fin | Voiceflow | Tidio |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | AIサポートエージェントの構築・運用 | 既存カスタマーサポート基盤へのAI追加 | 会話フローの設計・エージェント開発 | 中小EC向けの接客・サポート自動化 |
| 対象ユーザー | 非エンジニア中心のサポート・EC担当 | Intercomを導入済みの企業 | 設計を作り込みたい開発・CX担当 | 小規模〜中規模のオンラインショップ |
| 外部システム連携 | アクションでCRM・注文・予約と連携 | Intercomエコシステムを軸に広範 | API・カスタムロジックで柔軟 | EC系ツール中心 |
| チャネル | チャット・メール・音声・WhatsApp・Slack等 | チャット・メール・SNS等 | 配信先を自前で組み込む形が中心 | チャット・メール・SNS |
| 料金体系 | メッセージクレジット制の月額 | 解決件数ベースの従量課金が中心 | 利用量ベースの月額 | 会話数ベースの月額 |
| 無料枠 | あり(月50クレジット) | 試用中心 | あり | あり |
競合各社の料金体系は変更されることがあるため、比較検討の際は各公式サイトで最新条件を確認するとよい。
こんな人におすすめ
- ヘルプ記事やFAQは揃っているのに、同じ質問への対応に時間を取られているサポート担当者
- 注文状況の確認や予約変更など、定型的な問い合わせ処理まで自動化したいECサイト運営者
- 海外顧客を含む多言語の問い合わせを、少人数の体制でさばきたいチーム
- 社内にエンジニアがおらず、コードを書かずにAIエージェントを導入したい企業
- SOC 2やGDPRなど、コンプライアンス要件を満たしたうえでAIサポートを導入したい組織
まとめ
Chatbaseは、自社データを読み込ませるだけでAIサポートエージェントを立ち上げられ、さらにアクションによる外部システム連携と人間へのエスカレーションまで一貫して扱えるプラットフォームである。無料プランは試用向けの規模で、ヘルプデスクや音声、API連携といった実務機能はStandard以上に集中しているため、本格導入には相応の予算が必要になる。まずはFreeプランで自社のヘルプ記事を読み込ませ、実際の問い合わせにどこまで答えられるかを確かめてから、必要な機能に応じてプランを選ぶのが現実的な進め方となる。