Rowy Inc. が2023年7月に公開した、AIワークフロー構築のためのローコード・ビジュアルビルダー。やりたいことを自然言語で書くと、ノードをつないだフローの下書きを自動で生成し、そのままAPIエンドポイントとして公開できる。マーケティング・人事・営業・カスタマーサポートといった業務の自動化から、SlackやWhatsAppのボット、アプリのバックエンドAPI構築まで守備範囲が広い。50を超える既製ノードとOpenAI・Claude・Geminiなど主要AIモデルへの接続を備えつつ、必要になればTypeScriptでノードの中身を直接書き換えられるのが特徴である。BuildShip Cloudでのホスティングとセルフホストのどちらも選べる。
主な特徴
- 自然言語からフローを生成: 「フォーム送信を受け取って要約し、Slackに通知する」のように文章で書くと、対応するノード構成の下書きが生成される。ゼロから組み立てるより、生成された下書きを直して仕上げる進め方がしやすい
- 50以上の既製ノードとAIモデル連携: OpenAI・Claude・Gemini などの主要モデルに加え、MongoDB・Supabase・Firebase・Stripe といったサービス連携のノードが用意されている。APIキーを設定するだけでつながる
- フルコードアクセス: ノードのコードはTypeScript/JavaScriptで開いて編集できる。ローコードで速く組み、詰まったところだけコードで押し切るという使い分けができ、ブラックボックス化しにくい
- バックエンドAPIとして公開できる: 作ったフローはそのままHTTPエンドポイントになる。ノーコードツールで作ったアプリの裏側や、既存プロダクトの追加APIとして組み込める
- AIエージェントとMCP対応ツール: フローをAIエージェントから呼び出せるツールとして整備でき、MCP(Model Context Protocol)を前提とした構成にも対応する
- クラウドとセルフホストの二択: BuildShip Cloud に任せるほか、Vercel・GCP・AWS などの自社インフラへ書き出して動かせる。上位プランではバージョン管理やロールベースのアクセス制御も使える
料金
課金はクレジット制で、ノードの実行回数と実行時間に応じて消費される(標準的なノードは1実行1クレジット、3秒を超えた分は1秒ごとに追加)。プランごとに月間クレジット・アクティブなフロー数・チーム人数・同時実行数の上限が決まる。
| プラン | 月額料金 | 年払い | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | ─ | クレジット・フロー数・同時実行数に少量の上限。クレジットカード不要でお試し可能 |
| Starter | $19 | $225/年 | 月20,000クレジット、フロー20・AIエージェント10、メンバー3人、ストレージ50GB、バージョン管理 |
| Pro | $59 | $711/年 | 月100,000クレジット、フロー150・AIエージェント50、メンバー10人、ストレージ500GB、優先サポート |
| Business | $449 | $5,391/年 | 月300,000クレジット、フロー300・AIエージェント100、メンバー25人、ストレージ5TB、専用サポート |
| Enterprise | 要問い合わせ | ─ | クレジット・フロー数・人数のカスタム設定、セルフホスト/自社クラウド、SLA、GDPR・HIPAAなどのコンプライアンス対応 |
追加クレジットのトップアップ(10,000クレジットあたり約$1から)や、カスタムドメイン・コールドスタート回避などのアドオンも用意されている。Free プランの具体的な上限値は変更されることがあるため、公式サイトで確認してほしい。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 自然言語で下書きを作れるため、フロー構築の最初の一歩が軽い
- ノードのコードを直接編集できるので、ローコードの限界にぶつかっても行き止まりになりにくい
- 作ったフローをそのままAPIエンドポイントにでき、バックエンドの置き場所として使える
- セルフホストや自社クラウドへの書き出しに対応しており、ベンダーロックインを避けやすい
- 実行ログ・監視・アラートが備わっており、本番運用を前提にした作りになっている
⚠️ デメリット
- 実行回数と実行時間に応じたクレジット課金のため、処理が重いフローや高頻度の実行ではコストが読みにくい
- 後発サービスのため、既製コネクタの数はZapierやMakeに及ばない
- 自然言語からの生成はあくまで下書きであり、そのまま本番投入できる品質とは限らない
- 実務で使い込むほどコードやAPIの知識が要求され、完全なノーコード用途では手に余る場面がある
- 恒久的な無料枠はあるが上限が小さく、実運用には有料プランがほぼ前提になる
類似サービスとの比較
| 比較項目 | BuildShip | n8n | Make | Zapier |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | AIワークフロー+バックエンドAPI構築 | ワークフロー自動化(開発者寄り) | ビジュアル自動化 | SaaS間の連携自動化 |
| コード編集 | TypeScript/JavaScriptでノードを直接編集 | Codeノードで対応 | 限定的 | Codeステップで限定的 |
| API公開 | フローをそのままエンドポイント化 | Webhook経由で可能 | Webhook経由で可能 | Webhook経由で可能 |
| セルフホスト | 対応(上位プラン・書き出し) | 対応(OSS) | 非対応 | 非対応 |
| 既製コネクタ数 | 50以上のノード(成長中) | 多い | 非常に多い | 最多クラス |
| 課金の考え方 | クレジット(実行回数+実行時間) | 実行回数/セルフホスト | オペレーション数 | タスク数 |
コネクタの数と手軽さを最優先するならZapierやMake、OSSで自前運用したいならn8n、AIを組み込んだ処理をAPIとして提供したいならBuildShip、という住み分けになる。
こんな人におすすめ
- ノーコードで作ったアプリの裏側に、AI処理を含むバックエンドAPIが必要になった人
- 自動化ツールのノーコードの限界にぶつかり、コードで書き足せる自由度を求めている開発者
- 社内業務(問い合わせ対応・レポート生成・データ整形)をAIで自動化したい小規模チーム
- SlackやWhatsAppのボットを、外部サービス連携込みで素早く立ち上げたい人
- 将来のセルフホストや自社クラウドへの移行を選択肢として残しておきたいチーム
まとめ
BuildShipは、ローコードの手軽さとコードの自由度を1つの画面で行き来できるAIワークフロービルダーである。自然言語での下書き生成、豊富なAIモデル連携、そしてフローをそのままAPIとして公開できる点が強みで、「自動化ツール」と「バックエンド開発基盤」の中間を埋める位置にある。一方で課金はクレジット制であり、実行の重いフローを常時動かす構成ではコスト試算が欠かせない。まずは無料枠で1本フローを作り、想定される実行回数からクレジット消費を見積もったうえでプランを選ぶとよい。