Avatar UI(AUI)は、AI アバターと人が同じ「場」を共有し続けることを狙ったオープンソースのデスクトップエージェント。開発は日本のクリエイター SIQI Label(式乃シト / Sito Sikino)。チャット用のコンソール画面だけでなく、Roblox・X・Discord にも同じアバターが同席し、セッションや再起動をまたいで記憶と関係が続くように設計されている。MIT ライセンスで公開されており、Node.js 20 以上が動く環境なら自分の PC でも VPS でも動かせる。頭脳となる言語モデルには xAI の Grok を使う。
主な特徴
- 7 ペインのコンソール UI: Avatar(アバター表示)/ Space / Canvas / X / Stream / Terminal / Roblox の 7 つのペインを 1 画面にまとめた操作画面。アバターはピクセルアートで、待機モーション・まばたき・リップシンクが付く
- 人格と行動を Markdown で定義:
BEING.mdにアバターの人格を書き、pulse/フォルダに.mdファイルを置くと、それぞれが定期実行タスクになる。プログラムを書かずに「どんな性格で、どんなときに自分から動くか」を設定できる - 自律行動と長期記憶: 人の入力を待たずにアバターが自分から動く Pulse、周囲の変化を察知して反応する Resonance モード、覚えるべきことを自分で判断して蓄える長期記憶(RAG)を備える
- マルチチャネル常駐: コンソールに加えて Roblox・X・Discord に接続できる。Roblox ではプレイヤーに付いて回り、Discord ではチャットとツール実行の承認ができ、X では投稿とメンション監視ができる
- ツール実行は承認制: AI がツールを実行する前に人の承認を求める設計。ファイル操作は専用領域「Avatar Space」に制限され、AI のシェル実行は既定でオフ(
AVATAR_SHELL=off)になっている - Electron GUI と headless の 2 モード: ローカルでは Electron のデスクトップアプリとして、VPS などでは headless サーバーとして起動し、ブラウザから同じ画面を開ける
料金
| 区分 | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 本体(MIT ライセンス) | 無料 | 全機能を利用可能。改変・商用利用も許諾されている |
| xAI API(必須) | 従量課金 | Grok を呼ぶための xAI API キーが必須。費用は xAI 側の料金体系に従う |
| 外部サービス連携(任意) | 各サービスに準拠 | Roblox Open Cloud、Discord Bot、X API など。利用する場合のみ |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の情報は公式サイトと GitHub リポジトリをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- MIT ライセンスで無料。改変も商用利用も可能で、ソースを読んで挙動を確かめられる
- 自分の PC や自分の VPS で動くため、会話や記憶を手元に置いたまま使える
- 人格・自律行動の設定が Markdown ファイルなので、コードを書かなくても性格づけができる
- コンソール・Roblox・X・Discord に同じアバターが存在する構成は、キャラクター運用の土台として珍しい
- 承認制・ファイルアクセス制限・シェル既定オフなど、エージェントとしての安全側の設計が明文化されている
⚠️ デメリット
- 言語モデルは xAI の Grok が前提。他社モデルへの切り替えは公式には案内されていない
- インストールは git clone →
npm install→.env編集という開発者向けの手順で、GUI インストーラーはない - 単一ユーザー運用が前提。Roblox 連携も「信頼できるプレイヤーだけのプライベートサーバー」を想定している
- 本体は無料でも API 利用料は別途かかり、自律行動を活発にするほどランニングコストが読みにくくなる
- 個人開発のプロジェクトのため、ドキュメントやサポート体制は大手サービスほど手厚くない
AVATAR_SHELL=onにすると AI が PC 上で任意のコマンドを実行できる。利便性と引き換えのリスクを理解したうえで扱う必要がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Avatar UI | AITuberKit | Amica |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | オープンソース(MIT) | オープンソース(商用利用の条件は要確認) | オープンソース |
| 主な用途 | 常駐する自律パートナー | AITuber 配信・キャラクター対話 | ブラウザ上の 3D キャラクター対話 |
| 動作環境 | Electron デスクトップ / headless サーバー | Web アプリ | Web ブラウザ |
| 対応 LLM | xAI Grok | 複数プロバイダーに対応 | 複数プロバイダーに対応 |
| アバター表現 | ピクセルアート | VRM / Live2D | 3D(VRM) |
| 外部チャネル | Roblox / X / Discord | 配信プラットフォーム連携が中心 | 主にブラウザ内 |
比較対象の仕様は各プロジェクトの更新で変わります。導入前にそれぞれの公式リポジトリで最新の対応状況を確認してください。
こんな人におすすめ
- 単発の質問応答ではなく、日常的に同席し続ける「相棒」としての AI を試したい人
- 自分のキャラクターに人格を与え、Roblox や Discord などの場に立たせてみたいクリエイター
- 会話ログや記憶を外部サービスに預けず、自分の環境で完結させたい人
- ソースコードを読み、自分の用途に合わせて改造することを前提に選びたい開発者
- xAI の Grok をすでに使っていて、API キーを活かせる人
まとめ
Avatar UI は、「AI に何かを頼む道具」ではなく「AI と同じ場に居続ける仕組み」を志向したオープンソースプロジェクトである。人格を Markdown で書き、自律行動と長期記憶を持たせ、コンソール・Roblox・X・Discord にまたがって同じアバターを存在させるという設計は、既存の AI チャットとは発想が異なる。一方でセットアップは開発者向けで、言語モデルは xAI の Grok に依存し、API 料金も別途かかる。まずは GitHub の手順どおりローカルで起動し、コンソールだけの最小構成でアバターの振る舞いを確かめてから、外部チャネル連携に広げていくとよい。