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Auto-Deep-Research ─ 手持ちのLLM APIキーで動かす、OpenAI Deep Researchのオープンソース代替

Auto-Deep-Researchは、香港大学データサイエンス研究所(HKU IDS)のChao Huang氏の研究チームが公開した、OpenAIのDeep Researchに代わるオープンソースのパーソナルAIアシスタントである。同チームのエージェントフレームワーク「AutoAgent」上に構築された最初の実用アプリとして、2025年2月16日に公開された。Web検索・ブラウザ操作・ファイル解析を組み合わせて調査タスクを自律的にこなす。月額固定のサブスクリプションではなく、自分で用意したLLMのAPIキーによる従量課金で動き、ターミナルでauto deep-researchと打つだけで起動する。

主な特徴

  • 手持ちのAPIキーで動く従量課金型: OpenAI・Anthropic・Gemini・DeepSeek・Mistral・Groq・Hugging Face・OpenRouter、さらにxAIのGrokのようなOpenAI互換エンドポイントまで、LiteLLM経由で対応する。使うモデルはCOMPLETION_MODEL環境変数で切り替えるだけ(既定はClaude 3.5 Sonnet)
  • コマンド一つで起動: 実行するとマシンのアーキテクチャに応じたコンテナイメージが自動で取得され、エージェント用の隔離環境が立ち上がる。イメージの手動pullも設定ファイルの記述も不要
  • function-calling非対応モデルでも動く: 関数呼び出しに対応したモデルもしないモデルも扱え、どちらで動かすかはモデル名から自動判定される。関数呼び出しを持たない安価な小型モデルやローカルモデルも選択肢に入る
  • 多様なファイル形式を読み込める: 依存パッケージにPDF・Word・PowerPointの解析ライブラリに加え、音声認識(faster-whisper)・動画処理(MoviePy)・YouTube字幕取得が含まれ、テキスト資料以外も調査対象にできる
  • 実ブラウザを操作して調べる: BrowserGymとPlaywrightによるブラウザ環境を持ち、検索APIだけでは届かないページも読みに行ける。Cookieを取り込めばログインが必要なサイトも扱える

利用コストの考え方

課金プランは存在しない。かかる費用の内訳は次のとおりである。

  • 本体: 無料。GitHubで公開されているオープンソース
  • 実費: 自分で契約したLLMプロバイダのAPI利用料のみ。1回あたりのコストは、モデルの単価と調査の深さ(探索ステップ数・読み込むページ量)に比例する
  • 実行環境: 手元のマシンのDocker上で動くため、サーバー費用は不要

公開当時、OpenAIのDeep Researchは月額200ドルのChatGPT Proでしか使えず、本プロジェクトはその「固定の高額サブスクなしで同等のことをする」代替として発表された。その後Deep Researchは下位プランにも展開されているため、コストの優劣は調査頻度とモデル選択次第になる。月に数回なら従量課金が安く、毎日回すなら定額のほうが読みやすい。

メリット・デメリット

メリット

  • 月額固定費が発生せず、使った分だけのAPI従量課金で済む
  • モデルを自由に選べる。安価なモデルで下調べし、重要な調査だけ高性能モデルに回す使い分けができる
  • ローカルのDocker環境で動くため、調査対象のファイルや中間データを外部SaaSに預けずに済む
  • コードが公開されており、エージェントの挙動やプロンプトを自分で確認・改造できる
  • 基盤のAutoAgentに査読前論文(arXiv:2502.05957)があり、設計の根拠を原典まで追える。同論文は汎用アシスタント能力を測るGAIAベンチマークで既存手法を上回ったと報告し、研究室の紹介ページも「Deep Researchに匹敵する性能でGAIA上位を維持」とする(いずれも具体的なスコアの記載はない)

⚠️ デメリット

  • CLIのみでGUIがない。Webインターフェースは「開発中」とREADMEにあるが、現時点では提供されていない
  • Python 3.10以上の環境構築とDockerが前提で、非エンジニアにはハードルが高い
  • READMEがリンクするプロジェクトページとドキュメントサイトはいずれも404を返す(2026年8月時点)。導入手順は実質READMEがすべて
  • ライセンスはパッケージ設定(setup.cfg)にMITと記載があり基盤のAutoAgentもMITだが、リポジトリ直下にLICENSEファイルが無い。商用利用の前に権利関係を確認しておきたい
  • 本記事執筆時点(2026年8月)で最新コミットは2025年10月。開発ペースは公開直後より落ち着いている

類似サービスとの比較

比較項目Auto-Deep-ResearchOpenAI Deep ResearchPerplexity Deep ResearchGPT Researcher
形態OSS(CLI + Docker)ChatGPTの機能Perplexityの機能OSS(CLI + Web UI)
実行場所手元のマシンクラウドクラウド手元のマシン/自前サーバー
課金LLM APIの従量課金のみサブスクリプションサブスクリプションLLM APIの従量課金のみ
モデル選択主要プロバイダから自由に選択OpenAIのモデル固定提供側が選定主要プロバイダから自由に選択
ライセンスsetup.cfgにMIT記載(LICENSEファイルなし)Apache-2.0
導入の手軽さDocker + Pythonの構築が必要アカウントのみアカウントのみPythonの構築が必要

こんな人におすすめ

  • LLMのAPIキーを持っていて、リサーチ用途に月額サブスクを追加したくない人
  • 調査に使うモデルを自分で選びたい、安いモデルと高性能モデルを使い分けたい開発者
  • エージェントの内部動作を読み、自分のワークフローに合わせて改造したい人
  • 調査対象の資料を手元の環境から出さずに扱いたい人
  • AutoAgentを触る足がかりに、動くエージェントアプリの実例が欲しい人

まとめ

Auto-Deep-Researchは、自律調査エージェントを自分の選んだモデルで手元の環境から動かせるようにしたオープンソース実装である。論文とフレームワークが背後にある点も心強い。一方でCLI専用・Docker前提、公式ドキュメントサイトが機能していないなど導入のハードルは低くない。ターミナル作業に抵抗がなくAPIキーを持っている人には試す価値がある。まずは安価なモデルで小さな調査から回してみるとよい。

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