米国の Augment Inc. が開発する AI コーディングエージェント。2024 年 4 月の公開以来、「Context Engine」と呼ばれるコードベース解析基盤を軸に、単一ファイルではなくリポジトリ全体の依存関係を踏まえて作業する点を強みにしてきた。自然言語で指示を出すとタスクを分解し、機能追加・バグ修正・テスト生成・ドキュメント更新から Pull Request の作成までを自律的に進める。現在は「Cosmos」という名称で、仕様(spec)から検証(verification)までを常時稼働のエージェントに任せるプラットフォームとして打ち出されており、コードレビュー・チケットから PR への変換・脆弱性修正・インシデント対応といったワークフロー単位の自動化に軸足を移している。
主な特徴
- リポジトリ全体を対象にする Context Engine: 開いているファイルだけでなくコードベース全体をインデックス化し、複雑な依存関係を踏まえて回答・修正を行う。チャット・IDE 拡張・CLI・クラウド上のエージェントが同じコンテキスト基盤を共有する
- 自律的にタスクを完遂するエージェント: 自然言語の指示からタスクを分解し、実装・テスト・ドキュメント更新・PR 作成までを続けて処理する。ローカルの PC を閉じてもバックグラウンドで作業を継続できる非同期実行に対応
- Auggie CLI とターミナル運用: ターミナルからエージェント・Context Engine・各種ツールを呼び出せる CLI を提供。スクリプトや CI への組み込みなど、GUI を介さない自動化に向く
- VS Code / JetBrains 向け IDE 拡張: 普段のエディタ上で補完・チャット・エージェント実行を利用できる。公式ドキュメントで両系統の拡張が案内されている
- Cosmos によるワークフロー自動化: コードレビュー、チケットから PR への変換、脆弱性の修正、インシデント対応といった定型ループを、トリガーと専門エージェントの組み合わせで自動化する。GitHub・GitLab・Slack・Linear・Jira・Webhook との連携に対応
- MCP とネイティブツール連携: Model Context Protocol 経由で外部サービスやツールを接続でき、Context Engine を MCP サーバーとして他のエージェントから利用する構成も公開されている
料金
| プラン | 月額料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Business | $100 | 最大 50 席(席課金なし)、月 $100 分の利用枠(LLM・Context Engine・コンピュートで共用)、Context Engine / コーディングエージェント / CLI / MCP、同時実行 50 セッション、SOC 2 Type II、超過分は従量課金でチャージ |
| Enterprise | 要問い合わせ | Business の全機能に加え、ユーザー数無制限、同時実行無制限、コンピュートのサイズとリージョン選択、SSO(OIDC・SCIM)、CMEK、ISO 42001、SIEM 連携、データレジデンシー、監査証跡、専任サポート |
利用枠は席数ではなく「使った分」で消費される設計のため、実際の月額は席数よりもエージェント実行やコンテキスト参照の量に左右される。料金体系は 2025 年 10 月にクレジット制へ移行するなど過去に変更されており、導入前に最新の条件を確認しておきたい。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- コードベース全体を対象にしたコンテキスト把握により、レガシーコードや依存関係が絡む大規模リポジトリでも文脈を外しにくい
- 実装からテスト・ドキュメント・PR 作成まで一続きで任せられ、レビュー可能な単位で成果が出てくる
- IDE 拡張・CLI・クラウドエージェントが同じ基盤を共有するため、作業場所を変えても同じ文脈で続けられる
- Business プランは 50 席まで席課金がなく、チーム人数の増減で料金が跳ねない
- SOC 2 Type II に対応し、Enterprise では SSO・監査証跡・データレジデンシーなど組織要件を満たせる
⚠️ デメリット
- 個人開発者向けの低価格プランが公式の料金ページに見当たらず、最小構成でも月 $100 からと個人には負担が大きい
- 従量課金のため、エージェントを多用する月ほどコストが読みにくい
- 料金・プラン体系が過去に変更されており、長期の予算計画を立てる際は変更リスクを見込む必要がある
- 自律実行の範囲が広いぶん、生成された変更を人がレビューする体制は依然として必須
- 製品の軸が Cosmos によるワークフロー自動化へ広がっており、単純なコード補完だけを求める用途にはオーバースペックになりやすい
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Augment Code | GitHub Copilot | Cursor | Devin |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Augment Inc. | GitHub(Microsoft) | Anysphere | Cognition |
| 中心となる形態 | Context Engine + 自律エージェント + ワークフロー自動化 | IDE 拡張中心のコーディング支援 | AI 前提のコードエディタ | 自律型 AI ソフトウェアエンジニア |
| 主な利用場面 | 大規模リポジトリの改修・PR 自動化 | 日常のコード補完・チャット | エディタ上での対話的な編集 | タスク単位の委任 |
| 非同期・バックグラウンド実行 | 対応 | 一部対応 | 一部対応 | 対応 |
| 想定ユーザー | 開発チーム・企業 | 個人〜企業 | 個人〜チーム | 開発チーム・企業 |
こんな人におすすめ
- 数十万行規模のリポジトリを抱え、ファイル単位の補完では文脈が足りないと感じている開発チーム
- チケットから PR までの定型フローを自動化し、レビューに人手を集中させたい組織
- コードレビューや脆弱性対応など、繰り返し発生する作業をエージェントに常時担当させたいチーム
- IDE・ターミナル・クラウドを行き来しながら、同じコンテキストで作業を続けたい開発者
- SOC 2 や SSO、監査証跡といった要件を満たしたうえで AI コーディングを導入したい企業
まとめ
Augment Code は、コードベース全体を読み解く Context Engine を土台に、実装から PR 作成までを自律的に進めるコーディングエージェントである。現在は Cosmos として、仕様から検証までのワークフローを常時稼働のエージェントに任せる方向へ広がっている。料金は Business プランの月 $100 と従量課金という構成で、個人が気軽に試す価格帯ではないものの、大規模リポジトリを抱えるチームにとっては「文脈を外さない自動化」を導入する選択肢になる。まずは公式ドキュメントで IDE 拡張と Auggie CLI の使い勝手を確かめ、自社のリポジトリ規模とワークフローに合うかを見極めるとよい。