Atomic Bot が開発する、ローカルファーストのAIエージェント。MITライセンスのオープンソースで、llama.cpp を通じてAIモデルを自分のパソコン上で動かし、ブラウザ操作・ファイル編集・シェルコマンド実行・git の確認といった作業を任せられる。エージェントの制御ループ・記憶・作業履歴はすべて手元のファイルと SQLite に保存され、既定ではクラウドに送信されない。APIキーの用意も従量課金も不要で、モデルを動かせるパソコンさえあれば費用ゼロで運用できる。2026年4月公開、macOS(Apple Silicon)・Linux・Windows に対応する。
主な特徴
- ローカル実行で費用ゼロ: llama.cpp をエンジンにモデルを手元で動かすため、トークン単位の課金が発生しない。既定モデルは軽量な小規模モデルで、一般的なノートパソコンでも動かせる規模に収まっている
- 文法制約でツール呼び出しを壊さない: GBNF(llama.cpp の文法記述)でモデルの出力形式を強制し、小さなローカルモデルでも構造的に正しいツール呼び出しを生成させる。「JSONが崩れて処理が止まる」という、ローカルモデルにありがちな失敗を設計で潰している
- ブラウザ・ファイル・シェルの並列操作: Playwright によるブラウザ操作(移動・クリック・入力・読み取り)、ファイルの読み書き、承認ゲート付きのシェルコマンド実行、Web検索、PDF・Office文書の抽出、git の確認などを扱える。複数のツールを並行して走らせられる
- SQLite ベースの記憶: 事実・メモ・学んだ手順などをプロンプトの外に置き、必要なときだけ文脈に差し込む。セッションをまたいで作業の前提を保持できる
- MCP でツールを追加できる: 設定ファイルに Model Context Protocol サーバーを登録すると、そのツールがエージェントの道具箱に加わる。信頼していないサーバーは既定で承認を挟む設定になっている
- ローカル以外の選択肢も残す: 必要に応じて OpenAI 互換サーバー、OpenAI、OpenRouter、さらに Claude Code や Codex といった定額のCLIを推論の供給元として使える。ローカルに縛られない逃げ道が用意されている
料金
| プラン | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| オープンソース版 | $0 | 全機能を利用可能。MITライセンス、商用利用も可 |
ソフトウェア自体は無料で、ローカルモデルで運用する限り追加費用は発生しない。外部のクラウドモデルを供給元に選んだ場合のみ、そのプロバイダの料金が別途かかる。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- データが手元から出ない。作業内容・ファイル・履歴を外部サービスに預けたくない場面で使いやすい
- APIキーの発行やクレジットカード登録なしに始められ、使い込んでも請求が増えない
- MITライセンスのオープンソースで、実装を読める・改造できる・商用利用できる
- 文法制約により、小さなモデルでもツール呼び出しが安定しやすい
- MCP 対応のため、既存のツール資産をそのまま持ち込める
⚠️ デメリット
- 2026年8月時点で開発者向けプレビュー段階(v0.2系)。仕様変更や不具合に遭遇する可能性がある
- モデルを動かすメモリとディスクが必要。ローカルモデルの推論性能はパソコンの性能に直結する
- macOS は Apple Silicon のみで、Intel Mac 向けのビルドは提供されていない
- 導入はコマンドラインからのインストールが前提で、GUI アプリのような手軽さはない
- 小規模なローカルモデルの推論品質は、大手クラウドモデルには及ばない場面がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Atomic Agent | Goose | Open Interpreter | Claude Code |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Atomic Bot | Block | Open Interpreter | Anthropic |
| ライセンス | オープンソース(MIT) | オープンソース | オープンソース | 商用(サブスク) |
| モデルの実行場所 | ローカル中心(クラウドも選択可) | 外部LLM中心 | 外部LLM中心 | クラウド(Claude) |
| 主な操作対象 | ブラウザ・ファイル・シェル・git | ファイル・シェル・拡張機能 | コード実行・ファイル | コードベース・シェル |
| 追加費用 | ローカル運用なら不要 | モデル利用料が必要 | モデル利用料が必要 | サブスク料金 |
こんな人におすすめ
- 業務データや社内ファイルを外部に送りたくない環境で、AIエージェントを試したい人
- 従量課金を気にせず、エージェントを長時間・高頻度で回したい人
- ローカルLLM(Qwen・Gemma・Llama 系など)を実務に使う道を探している人
- MITライセンスのコードを読んで、自分のワークフローに合わせて改造したい開発者
- MCP サーバーを既に運用していて、ローカル完結の実行環境を足したい人
まとめ
Atomic Agent は、「ローカルモデルでも実用的に動くエージェント」を、GBNF による文法制約・並列ツール実行・SQLite の記憶という具体的な設計で成立させようとしたオープンソースプロジェクトである。クラウドに依存しないぶんパソコンの性能がそのまま体感速度になり、開発者向けプレビュー段階ゆえの粗さもある。ただし、費用ゼロで手元完結という条件は他に代えがたい。プライバシー要件が厳しい業務や、課金を気にせずエージェントを回したい用途では、まず試す価値がある。