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Arcade ─ AIエージェントがユーザー本人の権限でGmailやSlackを安全に操作できる、OAuth内蔵のMCPランタイム

AIエージェントに「Gmailのメールを送って」「Slackに投稿して」と頼むとき、いちばん厄介なのは認証である。誰の権限で、どのアカウントとして操作するのか。トークンをどこに保管し、誰が何をしたのかをどう記録するのか。Arcadeは、この「エージェントの認可・実行・統制」をまとめて引き受けるMCP(Model Context Protocol)ランタイムだ。米国のArcade AIが提供し、無料プランから試せる。エージェントはユーザー本人としてOAuth認証を通り、その人が本来持っている権限の範囲内で外部ツールを操作する。管理者側は、すべての操作を監査ログで一元的に追跡できる。

主な特徴

  • ユーザー本人の権限で動くOAuth認証: エージェントは共有の管理者トークンではなく、操作するユーザー本人として認証される。アクセストークンやAPIキー、シークレットはArcadeのランタイム内に隔離され、エージェントのコンテキストには渡らない
  • 7,500以上の事前構築ツール: 81のMCPサーバーにまたがる大量のツールを用意。Google Workspace・Microsoft 365・Slack・Notion・Jira・Linear・Salesforce・HubSpot・Stripe・GitHub・Postgres・Snowflakeなど、業務システムの主要どころを幅広くカバーする
  • 主要フレームワークとMCPクライアントに対応: SDKはPythonとTypeScript。LangChain・CrewAI・OpenAI Agents・Google ADK・Mastra・Vercel AI SDKなどのエージェントフレームワークに加え、Claude Desktop・Claude Code・Cursor・VS CodeといったMCPクライアントからも利用できる
  • 監査ログによる一元統制: 「どのエージェントが、誰の代理で、どのシステムに、何をしたのか」をコントロールプレーンで集約。OpenTelemetry形式の監査ログ、共有レジストリ、バージョン管理、ツールの可視性フィルタを備える
  • 柔軟なデプロイ先: Arcade Cloud(フルマネージド)のほか、VPC・オンプレミス・エアギャップ環境での運用に対応。AWS/Azure Marketplace経由やHelmによるセルフホストも選べる
  • エンタープライズ向けのセキュリティ機能: SOC 2に準拠し、SSO・RBAC・監査ログを提供。Auth0・Okta・Microsoft Entra ID・Clerk・Stytchなど既存のIDプロバイダと接続できる
  • 独自ツールの追加: 用意されたツールだけでなく、自作のツールや社内の既存MCPサーバーをArcadeのガバナンス下に登録して使える

料金

プラン月額料金主な内容
Free$0認証イベント2,000回/月、ツール呼び出し2,000回/月。Arcade Cloudでのフルマネージド運用、コミュニティサポート(Discord・GitHub)。クレジットカード不要
Team$25+従量課金プラットフォーム料金$25/月に加え、認証イベント$0.10/回、ツール呼び出し$0.01/回。翌営業日対応のメールサポート
Enterprise要問い合わせ認証イベント・ツール呼び出しの年間バンドル、大規模利用時の割引レート、クラウド/VPC/エアギャップの柔軟なデプロイ、24時間365日のSLA付きサポート、専任チーム、SSO・RBAC・監査ログ・プライベートレジストリ

料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • エージェント開発でいちばん面倒なOAuth周りを自前で実装せずに済み、認証コードの保守から解放される
  • 「エージェント専用の全権アカウント」を作らずに、ユーザー本人の権限範囲で動かせるため、権限設計が既存のアクセス制御と一貫する
  • 事前構築ツールが多く、業務システム連携をゼロから書く必要がない
  • 監査ログとRBACが最初から組み込まれており、社内稟議や情報セキュリティ審査を通しやすい
  • VPC・オンプレミス・エアギャップに展開できるため、データを外に出せない組織でも検討できる
  • 無料プランで月2,000回の認証イベントとツール呼び出しを試せる

⚠️ デメリット

  • 従量課金のため、エージェントの実行回数が読めない段階ではコストが見積もりにくい
  • MCPやOAuthといった前提知識が必要で、ノーコードで完結するツールではない
  • SDKはPythonとTypeScriptのみで、他言語からはHTTP API経由の利用になる
  • 認証基盤を1社に集約するため、その可用性や仕様変更の影響を受ける
  • 用途が「エージェントに実務を代行させる」ことに特化しており、単なるAPI連携の自動化にはやや重い

類似サービスとの比較

比較項目ArcadeComposioZapier MCPPipedream Connect
主な位置づけエージェント向け認可・実行ランタイムエージェント向けツール連携基盤既存の自動化基盤をMCP経由で開放開発者向けの認証・連携基盤
認証の考え方ユーザー本人としてOAuth認証ユーザー単位の接続を管理Zapierアカウントに紐づく接続エンドユーザー単位の接続を管理
デプロイクラウド/VPC/オンプレ/エアギャップ主にクラウドクラウドのみクラウド中心
監査・統制監査ログ・RBAC・SSOを標準装備提供あり(プランによる)Zapierの管理機能に準拠提供あり
向いている人統制要件のある組織のエージェント開発手早く多数のツールを繋ぎたい開発者既存のZapier資産を活かしたい人自社プロダクトに連携機能を組み込む開発者

こんな人におすすめ

  • 社内向けAIエージェントを作っていて、OAuth認証とトークン管理の実装に時間を取られている開発者
  • 「誰の権限でエージェントが動いたのか」を説明できる状態にしないと社内承認が下りないチーム
  • LangChainやOpenAI AgentsなどでエージェントAPIを組んでおり、外部ツール連携だけ切り出したい人
  • データを外部クラウドに出せず、VPCやオンプレミスでエージェント基盤を動かす必要がある企業
  • Claude DesktopやCursorなどのMCPクライアントから、業務システムを安全に操作したい人

まとめ

Arcadeは、AIエージェントに「実際に業務システムを操作させる」段階で必ずぶつかる認可・実行・統制の三つを、ひとつのランタイムにまとめたサービスである。ユーザー本人としてOAuth認証を通す設計と、標準装備の監査ログ・RBACによって、プロトタイプ止まりだったエージェントを社内の統制要件に乗せやすくなる。まずは無料プランで月2,000回の枠を使い、自分のユースケースに必要なツールが揃っているかを確かめるところから始めるとよい。

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