Googleが2025年11月に公開した、AIエージェントを中核に据えた開発プラットフォーム。VS Code系のエディタをベースにしているため見た目は使い慣れたIDEに近いが、中心にあるのは「エージェントマネージャー」と呼ばれる指令室で、複数のAIエージェントに別々の作業を同時に任せられる。エージェントはコードを書くだけでなく、ターミナルコマンドの実行やブラウザ操作まで行い、その作業内容が整理されて表示されるため、何が起きたのかを後から追いやすい。2026年に入ってからはCLI・SDK・IDE拡張・リモートコントロールが追加され、デスクトップアプリ単体のツールから複数の入り口を持つプラットフォームへと広がっている。
主な特徴
- エージェントマネージャーで並行作業: 複数のローカルエージェントを同時に走らせ、ワークスペースをまたいで管理できる。会話は「Projects」単位でまとめられ、案件ごとに文脈を分けて扱える。定期実行のスケジュールメッセージで、決まった作業を自動化することも可能
- エディタとエージェントの行き来: VS Code系のフル機能エディタを備え、コードを自分で書く作業と、エージェントに任せる作業を同じ画面の中で切り替えられる。自律的なコーディングエージェントとシェルコマンドの実行に対応し、バージョン管理とも統合されている
- ブラウザを操作するエージェント: browser-in-the-loop型のエージェントが、実際にブラウザを動かして繰り返し作業を代行する。書いたコードが画面上で意図どおり動くかの確認まで、エージェント側で完結させられる
- 作業内容がアーティファクトとして残る: エージェントの作業は成果物(アーティファクト)として整理して提示される。チャットのログを延々と遡らなくても、何をしたのかを把握しやすい構成になっている
- 複数モデルから選べる: Gemini系のモデルに加えて、Claude Sonnet / Opus、gpt-oss-120bなどを選択できる。作業の性質に応じてモデルを使い分けられる
- CLI・SDK・拡張機能: ターミナル中心で作業したい人向けのAntigravity CLI、Pythonで独自エージェントを試作できるSDK、既存エディタから使うIDE拡張、外出先から操作するリモートコントロールが用意されている
- MCP対応: Model Context Protocol経由で外部サービスやローカル環境と接続でき、エージェントが扱えるツールを増やせる
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Individual | 無料($0) | Gemini系モデル、Claude Sonnet / Opus、gpt-oss-120bを利用可能。Tab補完とCommandリクエストは無制限、週単位のレート制限あり |
| Google AI Pro | Google AI Proのサブスクリプションに準拠 | Individualの内容に加えて、より緩やかなレート制限と柔軟なAIクレジットプール |
| Google AI Ultra | Google AI Ultraのサブスクリプションに準拠 | Proの内容に加えて、さらに緩やかなレート制限と最新Geminiモデルへの優先的なアクセス |
| Organization | 従量課金(要問い合わせ) | Google Cloud経由での提供。Google Cloudプロジェクト連携、Gemini Enterprise Agent Platformの従量課金。一部のGemini Enterprise契約に含まれる |
Antigravity単体の追加料金という形ではなく、GoogleのAIサブスクリプション(Pro / Ultra)に紐づく形でレート制限が緩和される仕組みになっている。公式の料金ページにはPro / Ultra / Organizationの具体的な金額は記載されていないため、実際の支払額はGoogle AIのサブスクリプション料金を確認する必要がある。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 無料のIndividualプランでも主要な機能とモデルをひととおり試せる。導入のハードルが低い
- VS Code系のエディタがベースなので、既存の操作感や設定を大きく崩さずに移行しやすい
- 複数エージェントを並行させられるため、「調査」「実装」「動作確認」のような性質の異なる作業を同時に進められる
- エージェントの作業がアーティファクトとして整理されるので、任せた結果のレビューがしやすい
- ブラウザ操作まで含めて任せられるため、フロントエンドの確認作業を手作業で往復せずに済む
- CLI・SDK・拡張・リモートコントロールと入り口が複数あり、既存のワークフローに合わせて使い方を選べる
⚠️ デメリット
- 無料プランには週単位のレート制限があり、本格的に使い込むとGoogle AIのサブスクリプションが前提になる
- エージェントの並行実行やアーティファクトの考え方に慣れるまで、通常のIDEより学習コストがかかる
- 自律的にコードを編集しシェルコマンドを実行する性質上、変更内容の確認とバージョン管理の運用を自分で整えておく必要がある
- 組織利用はGoogle Cloud経由となり、個人利用とは契約・課金の形が変わる
- 比較的新しいプロダクトで機能追加のペースが速く、手元の使い方が短期間で変わる可能性がある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Antigravity | Cursor | GitHub Copilot | Claude Code |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Anysphere | GitHub(Microsoft) | Anthropic | |
| 形態 | エディタ + エージェントマネージャー + CLI | AIファーストのエディタ | 既存エディタの拡張中心 | ターミナル中心のエージェント |
| 並行エージェント | 中核機能として搭載 | 対応 | 対応 | 対応 |
| ブラウザ操作 | 標準で対応 | 拡張・連携で対応 | 限定的 | 連携で対応 |
| 無料プラン | あり | あり | あり | 上位プラン前提 |
| モデル選択 | Gemini系 / Claude / gpt-oss | 複数モデル | 複数モデル | Claude系 |
こんな人におすすめ
- 複数の作業を同時にAIに任せて、自分はレビューと判断に集中したい開発者
- VS Code系の操作感を保ったまま、エージェント前提の開発フローを試したい人
- フロントエンドの実装と画面上での動作確認を、行き来せずまとめて進めたい人
- Google AI Pro / Ultraをすでに契約していて、その枠内でコーディング支援も使いたい人
- CLIやSDKから独自のエージェントを組み立ててみたいエンジニア
- まず無料で、エージェント中心の開発がどんなものか確かめたい人
まとめ
Antigravityは、「AIに補完してもらうエディタ」ではなく「複数のエージェントに作業を割り振る指令室」として設計された開発環境である。VS Code系をベースにしているため既存の操作感からの移行はしやすく、無料のIndividualプランでGeminiやClaudeを含む複数モデルを試せる点も入口として親切だ。一方で、自律的にコードを書き換えコマンドを実行するツールである以上、差分の確認とバージョン管理の運用は自分で締めておく必要がある。まずは無料プランで小さめのタスクを任せてみて、レート制限が窮屈に感じ始めたらGoogle AIのサブスクリプションを検討する、という順序が現実的だろう。