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AnimaWorks ─ 名前と記憶を持つAIエージェントを「組織」として動かすオープンソースのPythonフレームワーク

AIエージェントを使い捨ての「ツール」ではなく、記憶を持ち続けるチームメンバーとして扱うオープンソースのフレームワーク。「Organization-as-Code(組織をコードとして書く)」を掲げ、各エージェント(Anima)に名前・役割・性格・記憶・スケジュールを与え、上司と部下の階層構造の中で自律的に働かせる。開発者は精神科医でありエンジニアでもある xuiltul 氏で、脳科学に着想を得た記憶システム ─ 出来事を覚え、夜のあいだに知識へ統合し、使われない記憶は忘れていく ─ が最大の特徴になっている。2026年2月に公開され、Apache License 2.0 のもとセルフホストで無料利用できる。

主な特徴

  • 組織構造を持つエージェントチーム: 各 Anima に supervisor(上司)を設定するだけで階層ができる。マネージャー役には部下へのタスク委任・進捗確認・再起動といった管理者向けツールが自動で付与され、人間はリーダーに話しかけるだけで済む
  • 脳科学に着想を得た記憶システム: 会話が届くと関連する記憶(プロフィール・最近の活動・重要知識・過去の出来事など)を自動で呼び出し(Priming)、必要に応じてエージェント自身が search_memory で検索する。夜間には日中の出来事を知識へ統合し、使われない記憶は段階的に忘却・アーカイブされる。コンテキストウィンドウに全部を詰め込まない設計
  • 止まらずに働く自律動作: 定期的に状況を見て次の行動を決める Heartbeat、Anima ごとの Cron(日報・週次まとめ・監視など)、依存関係を解決して並列実行するタスク実行機構を備える。人間の指示待ちで止まらない
  • 1エージェント=1プロセスの分離実行: 各 Anima を独立した OS プロセスとして起動し、ローカル IPC(Unix ドメインソケット、Windows ではループバック TCP)で通信する。1体が落ちても全体が巻き込まれにくい
  • 7種類の実行エンジンとマルチモデル対応: Claude Agent SDK・Codex CLI・Cursor Agent CLI・Gemini CLI・Grok Build・LiteLLM 経由の各種モデル・簡易モードの7モードを備え、Anima ごとに違うモデルを割り当てられる。Heartbeat や Cron だけ安価なモデルに逃がすこともできる
  • Web UI・3Dワークスペース・音声チャット: ダッシュボードで組織図と稼働状況を確認でき、Slack風の共有チャンネル「Board」、複数 Anima を同席させるミーティングモード、ブラウザ内の音声チャット、3Dオフィス表示まで用意されている
  • 10層のセキュリティ対策: 外部由来データへの untrusted ラベル付け、5層のコマンド検査、エージェントごとのファイルサンドボックス、レート制限、SSRF対策、送信先の fail-closed など、自律エージェントに権限を与える前提の防御が実装されている

料金

プラン料金主な特徴
オープンソース版(唯一の提供形態)$0(Apache License 2.0)全機能をセルフホストで利用可能。クラウド版・有料プランの提供はなし

料金は2026年8月時点の情報です。ソフトウェア自体は無料ですが、Anima が使う LLM の API 利用料(Anthropic・OpenAI・Google など)は別途かかります。Claude Code や Codex にログイン済みであれば API キーなしで起動でき、Ollama などのローカルモデルを使えば API 費用を抑えられます。最新情報は公式リポジトリをご確認ください。

メリット・デメリット

メリット

  • ライセンスが Apache 2.0 で、商用利用を含めて無料。データもすべて自分の環境に残る
  • 記憶が会話をまたいで残るため、毎回ゼロから説明し直す必要がない
  • 上司・部下という馴染みのある構造で仕事を渡せるので、「どのエージェントに何を頼むか」を人間が細かく設計しなくてよい
  • モデルを混在させられるため、重い判断は上位モデル、定型監視は安価なモデルという使い分けでコストを調整できる
  • 自律エージェントの危険性を前提にしたセキュリティ設計が最初から入っている

⚠️ デメリット

  • セルフホスト専用。Python 3.12以上の環境構築とサーバー運用が前提で、クラウド版はない
  • 24時間動き続ける設計のため、放置すると LLM の API 費用が積み上がりやすい
  • 記憶検索に ChromaDB などを使う分、必要なリソースが軽量なエージェントSDKより大きい
  • 個人開発のプロジェクトで更新が速く、仕様変更に追随する手間がある。Neo4j バックエンドなど実験的な機能も含まれる
  • ドキュメントは充実しているが量が多く、全体像をつかむまでに時間がかかる

類似サービスとの比較

比較項目AnimaWorksCrewAILangGraphOpenAI Agents SDK
設計思想自律エージェントによる「組織」役割ベースのチーム(Crew)グラフで表すワークフロー軽量なエージェントSDK
記憶長期記憶+統合+忘却+自動想起メモリ機能あり(忘却は手動)チェックポイントとストアセッション内が基本
自律動作Heartbeat・Cron で常時稼働人間の起動が起点人間の起動が起点人間の起動が起点
組織構造上司・部下の階層と委任フラットな役割分担グラフのノード設計次第エージェント間の受け渡し
提供形態セルフホスト(Apache 2.0)OSS+有料クラウドOSS+有料基盤OSS SDK

こんな人におすすめ

  • 単発の自動化ではなく、日報・監視・調査などを継続的に回す「AIの担当者」を持ちたい人
  • 会話をまたいで前提を覚えていてほしい ─ 毎回同じ説明を書くのに疲れた人
  • データを外部SaaSに預けたくない、セルフホストを前提に考えている個人開発者や小規模チーム
  • Claude・GPT・Gemini・ローカルモデルを用途ごとに使い分けたい人
  • エージェントフレームワークの設計思想(記憶・忘却・権限分離)そのものに関心がある開発者

まとめ

AnimaWorks は、AIエージェントを「呼び出すたびに記憶を失う道具」から「覚えていて、忘れていく同僚」へ寄せようとしたフレームワークである。組織図・委任・夜間の記憶統合といった仕組みは、ワークフローを1本ずつ書いていく従来の作り方とは発想が異なり、継続的に動き続ける業務を任せたい場面で強みが出る。一方でセルフホスト前提であり、常時稼働に伴う API 費用と運用の手間は自分で引き受けることになる。まずは uv run animaworks demo で3人チームのデモを立ち上げ、記憶と自律動作の挙動を体感してから、自分の組織を作るかどうかを判断するとよい。

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