Amazon Web Services が提供する生成AIコーディングアシスタント。2024年4月30日に一般提供が始まり、IDE 拡張・コマンドライン・AWS マネジメントコンソールなど複数の入り口から利用できる。単なるコード補完にとどまらず、ファイルの読み書き・差分の生成・シェルコマンドの実行までエージェントが自律的に行い、機能実装・テスト生成・ドキュメント作成・コードレビューを任せられる。Java や .NET のバージョン移行を自動化する「変換(トランスフォーメーション)」機能や、AWS 環境のコスト最適化・トラブルシューティングに答える運用支援も持つ点が、汎用のコーディングアシスタントとの違いになっている。
なお AWS は、Amazon Q Developer の IDE プラグインとサブスクリプションを 2027年4月30日に終了し、後継となるエージェント型開発環境 Kiro への移行を案内している。これから新規に導入を検討する場合は、この点を前提に判断する必要がある(詳細は後述)。
主な特徴
- エージェントによる自律的なコード作業: 指示を受けてファイルを読み書きし、コード差分を生成し、シェルコマンドを実行する。機能追加・バグ修正・テスト生成・ドキュメント作成・コードレビューまでを一連の作業として任せられる
- 幅広い開発環境に対応: VS Code、JetBrains(IntelliJ IDEA ほか)、Visual Studio、Eclipse(プレビュー)の各 IDE に加え、コマンドライン(自然言語からのシェルコマンド生成・補完)でも使える。GitLab Duo や GitHub との連携も提供されている
- AWS コンソール内での運用支援: AWS マネジメントコンソールやモバイルアプリから、アーキテクチャ設計の相談、コスト分析、Well-Architected に沿った助言、障害時のトラブルシューティングを質問できる。Slack や Microsoft Teams からの利用にも対応
- レガシー資産のモダナイゼーション: Java 8 から 17 へのアップグレード、.NET アプリケーションの Windows から Linux への移植など、手作業では時間のかかるバージョン移行をまとめて処理できる
- MCP(Model Context Protocol)対応: IDE から外部ツールやデータソースに接続し、社内システムの情報を踏まえた回答を得られる
- Claude 系モデルの利用: IDE と CLI では Anthropic の Claude モデルを利用できる(利用可能なモデルは提供終了に向けて段階的に整理されている)
料金
| プラン | 月額料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | $0 | 月 50 回のエージェンティックリクエスト、Java アップグレードは月 1,000 行まで、IDE / CLI での Claude モデル利用 |
| Pro | 1ユーザーあたり $19 | エージェンティックリクエストの上限拡大、コード変換は 1ユーザーあたり月 4,000 行(アカウント単位でプール)、管理者ダッシュボードとユーザー管理、知的財産(IP)補償 |
Pro でコード変換の割り当てを超えた分は、1行あたり $0.003 の従量課金になる(例: 10ユーザー契約で 40,000 行のプールに対し 50,000 行を利用した場合、超過 10,000 行 × $0.003 = $30)。
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。なお、新規サブスクリプションの受付は 2026年5月に終了しているため、これから契約できるかは AWS の案内を確認してください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- AWS の設計・運用知識を踏まえた回答が得られ、コードとインフラの両方を同じアシスタントに相談できる
- 無料枠でエージェント機能まで試せるため、導入判断のハードルが低い
- Java や .NET のバージョン移行を自動化でき、手作業では着手しづらいレガシー資産の更新を進めやすい
- IDE・CLI・コンソール・Slack / Teams と入り口が多く、開発と運用の両方の場面で同じ体験を使える
- Pro プランには知的財産の補償が付き、企業利用での懸念に配慮されている
⚠️ デメリット
- IDE プラグインとサブスクリプションが 2027年4月30日に終了予定で、長期的には Kiro への移行が前提になる
- 新規サブスクリプションの受付が終了しているため、これから新しく導入する選択肢としては現実的でなくなっている
- 最新のコーディングモデルは Kiro 側に優先提供され、Q Developer 側では利用できるモデルが絞られていく
- 強みの多くが AWS 環境を前提としており、AWS を使わないプロジェクトでは利点が薄れる
- 無料枠のエージェンティックリクエストは月 50 回で、本格的に使うと早い段階で上限に達する
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Amazon Q Developer | Kiro | GitHub Copilot | Gemini Code Assist |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Amazon Web Services | Amazon Web Services | GitHub(Microsoft) | |
| 主な形態 | IDE 拡張・CLI・AWS コンソール | 専用 IDE・CLI | IDE 拡張・CLI・GitHub 上 | IDE 拡張・Google Cloud コンソール |
| 特徴 | AWS 運用支援とレガシー移行に強い | 仕様駆動(spec-driven)のエージェント開発 | エディタ統合とエコシステムの広さ | Google Cloud 連携 |
| 無料プラン | あり(月 50 リクエスト) | あり | あり | あり |
| 今後の位置づけ | 2027年4月に IDE プラグイン終了 | Q Developer の後継 | 継続提供 | 継続提供 |
こんな人におすすめ
- すでに Amazon Q Developer を導入していて、終了日までの移行計画を立てたいチーム
- AWS 上でシステムを運用しており、コードの相談とインフラの相談を同じ場所で済ませたい開発者
- Java 8 や .NET Framework など、古いランタイムに残された資産の移行を進めたい組織
- AWS マネジメントコンソールでの調査やコスト分析を、自然言語で片付けたい運用担当者
- ただし、これから新しくエージェント型のコーディング支援を導入するのであれば、後継の Kiro を最初の検討対象にするのが現実的
まとめ
Amazon Q Developer は、コード生成にとどまらず AWS の運用支援とレガシー資産のモダナイゼーションまでを 1つのアシスタントにまとめた点が特徴のサービスである。無料枠でもエージェント機能を試せ、Pro は 1ユーザー $19 と、コーディングアシスタントとしては標準的な水準に収まっている。
一方で、AWS は IDE プラグインとサブスクリプションを 2027年4月30日で終了し、後継の Kiro へ移行する方針を明確にしている。すでに使っているなら移行の計画づくりが当面のテーマになり、これから導入するなら Kiro を含めて比較検討するのが妥当な判断になる。