OpenAIが2025年10月のDevDayで発表した、AIエージェントの構築・デプロイ・評価をひとまとめにしたツールキット。ドラッグ&ドロップのビジュアルキャンバス「Agent Builder」でマルチエージェントワークフローを設計し、埋め込みチャットUI「ChatKit」で自社サービスに組み込み、評価機能「Evals」でエージェントの品質を測定・改善できる。コードを書かずにワークフローを試作し、必要になったらAgents SDKのコード(TypeScript / Python)としてエクスポートできる点が特徴。なお、Agent BuilderとEvalsについては2026年6月に提供終了(2026年11月30日)がアナウンスされており、利用にあたってはこの移行スケジュールの確認が欠かせない。
主な特徴
- Agent Builder(ビジュアルキャンバス): ノードをドラッグ&ドロップで繋いでマルチステップのエージェントワークフローを設計。型付きの入出力を設定し、実データでテスト実行してからデプロイできる
- ChatKit(埋め込みチャットUI): 構築したエージェントをチャットインターフェースとして自社のWebサービスやアプリに埋め込める。ストリーミング表示や思考過程の表示などが最初から整っている
- Evals(評価機能): データセットやトレース採点を使ってエージェントの応答品質を測定し、プロンプトの改善につなげられる
- Connector Registry / Guardrails: 外部データソースへの接続を管理者が一元管理できるConnector Registryや、個人情報のマスキングなど安全対策のためのGuardrailsも用意されている
- Agents SDKへのコードエクスポート: Agent Builderで組んだワークフローをTypeScript / Pythonのコードとして書き出し、コードベースの開発に移行できる(グラフ構造の完全な変換は保証されず、一部は手作業での再現が必要)
料金
| 項目 | 料金 | 備考 |
|---|---|---|
| AgentKit自体 | 追加料金なし | 標準のAPIモデル利用料金に含まれる |
| エージェント実行 | 従量課金 | 使用するモデルのトークン単価に応じたAPI利用料 |
| ChatKitストレージ | 無料枠超過分は課金 | 2025年11月1日から課金開始 |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- コードを書かずにマルチエージェントワークフローを視覚的に設計でき、試作が速い
- ChatKitを使えばチャットUIの実装工数を大幅に削減できる
- ツールキット自体は追加料金なしで、支払いは実行時のAPI利用量のみ
- Agents SDKへのエクスポート経路があり、ノーコードからコード開発へ段階的に移行できる
- OpenAI公式のため、最新モデルやResponses APIとの統合がスムーズ
⚠️ デメリット
- Agent BuilderとEvalsは2026年11月30日で提供終了が告知されており、新規の本格採用は勧めにくい(OpenAIはコード開発はAgents SDK、自然言語ベースの用途はChatGPTのWorkspace Agentsへの移行を案内)
- SDKエクスポートはワークフローの完全な変換を保証せず、分岐ロジックなどは手作業での再構築が必要
- OpenAIのモデル・エコシステムに依存し、他社モデルとの組み合わせは想定されていない
- 発表から短期間で主要コンポーネントの終了が決まったように、プラットフォームの方針変更リスクがある
類似サービスとの比較
| 比較項目 | AgentKit | Dify | n8n | LangGraph |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | OpenAI | LangGenius | n8n GmbH | LangChain |
| 構築方法 | ビジュアルキャンバス + SDK | ビジュアルワークフロー | ノードベース自動化 | コード(Python / JS) |
| 対応モデル | OpenAIモデル中心 | マルチベンダー | マルチベンダー | マルチベンダー |
| UI埋め込み | ChatKit | 埋め込みWebアプリ | なし(バックエンド中心) | なし(フレームワーク) |
| セルフホスト | 不可 | 可能 | 可能 | 可能 |
こんな人におすすめ
- OpenAIのAPIをすでに使っていて、エージェントワークフローを素早く試作したい開発者
- 自社サービスにチャット型エージェントを埋め込みたいが、UI実装の工数を抑えたいチーム(ChatKitは継続提供)
- ノーコードで検証してから、Agents SDKでのコード開発に移行する道筋を想定しているプロジェクト
- エージェントの応答品質を定量的に評価するワークフローを学びたい人(Evalsの終了日程に注意)
まとめ
AgentKitは、エージェント構築の設計・UI・評価をOpenAI公式でひとまとめにした意欲的なツールキットである。一方で、中核のAgent BuilderとEvalsは2026年11月30日での提供終了が決まっており、現在は「ビジュアル試作の学習・検証環境」と「継続提供されるChatKit」という二つの顔で捉えるのが現実的だ。これから本格的にエージェントを開発するなら、Agents SDKやChatGPTのWorkspace Agentsといった移行先を見据えたうえで、ChatKitやGuardrailsなど継続コンポーネントを活用するとよい。