Salesforceが提供する企業向けのエージェント型AIプラットフォーム。CRM・Data 360の基盤上でAIエージェントを構築・運用でき、会話型ビルダーを使えば自然言語だけでエージェントの設計・テスト・デプロイまで完結する。音声(SIP連携)・メール・SMS・WhatsAppなど多チャネルで24時間の顧客対応を実現し、稼働状況をリアルタイム監視するヘルスモニタリングや、問題を事前検知する予測機能も備える。2024年9月に「Agentforce」として発表され、2025年のDreamforceで「Agentforce 360」へと進化した。
主な特徴
- Agentforce Builder(会話型ビルダー): 自然言語で指示するだけでエージェントを設計・テスト・デプロイできる統合ワークスペース。ドキュメント風・キャンバス・スクリプトの各ビューを切り替えながら編集でき、ワンクリックのシミュレーションとリアルタイムデバッグに対応する
- Agent Scriptによるハイブリッド推論: 決定的なワークフローとLLMの柔軟な推論を組み合わせられる。ガードレール・ツール利用・ロジックをスクリプトで明示的に定義し、エージェントの挙動を細かく制御できる
- Agentforce Voice: 従来のIVR(自動音声応答)を自然なリアルタイム会話へ置き換える音声レイヤー。低遅延の文字起こしとリアルな音声合成を備え、SIP対応により既存の企業電話システムとも連携できる
- 多チャネル対応: 音声・メール・SMS・WhatsAppなどのチャネルで24時間対応。CRMの顧客データに基づいた一貫した応対ができる
- ヘルスモニタリングと予測検知: エージェントのエラー率・レイテンシ・エスカレーション率をほぼリアルタイムで監視し、問題が大きくなる前にアラートで知らせる
- Einstein Trust Layerによる安全性: 有害な出力やデータ漏えいを防ぐガードレールを標準装備。企業利用に求められるセキュリティ・コンプライアンス要件に配慮した設計になっている
料金
| 課金モデル | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 会話単位(Conversations) | $2/会話〜 | 顧客向けエージェント中心の固定単価モデル |
| Flex Credits | $500/10万クレジット | アクション単位の従量課金。顧客対応・社内利用・音声をカバー |
| ユーザー単位ライセンス | $125/ユーザー/月〜 | 定額型の「デジタルレイバー」プラン |
料金は2026年8月時点の情報です。エディションや契約条件により変動するため、正確な見積もりは公式サイトでの確認・問い合わせをおすすめします。
メリット・デメリット
✅ メリット
- Salesforce CRM・Data 360の顧客データにネイティブに接続でき、文脈を踏まえた精度の高い応対ができる
- 自然言語のビルダーにより、開発者でなくてもエージェントを構築・改善できる
- 音声・メール・SMS・WhatsAppなど多チャネルを一つの基盤でカバーできる
- ヘルスモニタリング・予測検知・Trust Layerなど、本番運用に必要な監視と安全性の仕組みが最初から揃っている
- 会話単位・従量・定額の3つの課金モデルから利用形態に合わせて選べる
⚠️ デメリット
- Salesforce製品群の利用が前提で、Salesforceを使っていない企業には導入ハードルが高い
- 従量課金(会話単位・Flex Credits)は利用量が読みにくく、コスト見積もりに注意が必要
- Flex Creditsと会話単位課金は同一組織で併用できないなど、課金体系がやや複雑
- 個人や小規模チーム向けというより、エンタープライズ向けの製品設計・価格帯である
類似サービスとの比較
| 比較項目 | Agentforce 360 | Microsoft Copilot Studio | Zendesk AI | Intercom Fin |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Salesforce | Microsoft | Zendesk | Intercom |
| 強み | CRM・Data 360との統合、多チャネル | Microsoft 365・Teams連携 | ヘルプデスク特化 | サポート自動解決特化 |
| 主な用途 | 営業・サービス・社内業務の自動化 | 業務エージェント構築 | カスタマーサポート | カスタマーサポート |
| 音声対応 | 対応(SIP連携) | 対応 | 対応 | 対応 |
| 課金モデル | 会話/従量/ユーザー単位 | メッセージ従量+ユーザー単位 | 解決数ベース等 | 解決数ベース($0.99/解決〜) |
こんな人におすすめ
- すでにSalesforce CRMを導入しており、顧客データを活かしたAIエージェントを運用したい企業
- 電話(IVR)・メール・SMS・WhatsAppなど複数チャネルの顧客対応を一つの基盤で自動化したい企業
- エージェントの本番運用に監視・ガードレール・コンプライアンス対応を求めるエンタープライズ
- コードを書かずに業務部門主導でAIエージェントを構築・改善したいチーム
まとめ
Agentforce 360は、SalesforceのCRM・Data 360という強力なデータ基盤の上でAIエージェントを構築・運用できるエンタープライズ向けプラットフォームである。会話型ビルダーによる開発の手軽さと、ヘルスモニタリング・Trust Layerといった本番運用の堅牢さを兼ね備える点が強みだ。一方でSalesforceエコシステムへの依存度が高く、課金体系も複雑なため、導入時は自社の利用量を見積もったうえで課金モデルを選ぶことが重要になる。