AIアプリの開発を、コードではなく「図」で進めるためのビジュアルワークフロービルダー。ノードベースのエディタ上でプロンプトを数珠つなぎにし、途中でデータを加工し、外部APIを呼び出す ─ その一連の流れをドラッグ&ドロップで組み立てられる。OpenAI・Claude・LLaMAといった主要モデルに対応し、180を超える外部サービスとの連携ノードが用意されている。開発・テスト・本番をブランチで分けて管理でき、動かした後のパフォーマンス監視まで同じ画面で完結する。提供元はハンガリーのGBD Software as a Service Ltd。
主な特徴
- ノードベースのビジュアルエディタ: プロンプト、データ変換、条件分岐、API呼び出しといった処理を「ノード」として並べ、線でつないでいくだけでワークフローが組み上がる。処理の流れが図として一目で分かるため、どこで詰まっているかを追いやすい
- プロンプトチェーンの構築: 1つの巨大なプロンプトに全部を詰め込むのではなく、「要約する」「分類する」「文章を整える」といった小さなステップに分けて数珠つなぎにできる。途中の出力を次のノードの入力として渡せるので、精度の調整もステップ単位で行える
- 複数のLLMを使い分け: OpenAI、Claude、LLaMAなど主要モデルに対応。ワークフローの中でノードごとに別のモデルを指定できるため、「下書きは安いモデル、仕上げは高性能モデル」といった使い分けが可能
- 180以上の外部API統合: スプレッドシート、チャットツール、CRM、データベースなど、外部サービスと接続するノードが多数用意されている。AIの出力をそのまま業務システムへ流し込む用途に向く
- 開発・テスト・本番のブランチ管理: ソフトウェア開発と同じ考え方で環境を分けられる。本番を止めずに新しいプロンプトを試し、問題がなければ反映する、という進め方ができる
- パフォーマンスモニタリング: 実行結果・処理時間・エラーの発生状況を記録し、後から確認できる。プロンプトを変えた前後で結果がどう変わったかを比較する材料になる
- チーム利用を前提としたセキュリティ: GDPRに準拠し、2要素認証(2FA)に対応。メンバーごとの権限管理も備え、複数人での共同作業を想定した作りになっている
料金
| プラン | 月額料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 無料プラン | $0 | 機能を試すための無料枠 |
| 有料プラン | 要問い合わせ | 利用量の拡大、チーム機能など |
料金は2026年8月時点の情報です。公式の料金ページは動的に生成されており、本記事の執筆時点では具体的な金額を確認できなかった。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- コードを書かずにAIの処理フローを組み立てられるため、エンジニア以外のメンバーも設計に参加しやすい
- 処理の流れが図として見えるので、うまくいかないときに原因のノードを特定しやすい
- ノードごとにモデルを選べるため、精度とコストのバランスを細かく調整できる
- 開発・テスト・本番を分けて管理でき、本番運用を意識した進め方ができる
- 無料プランがあり、まず触って感触を確かめられる
⚠️ デメリット
- 公式サイトに具体的な料金表が掲載されておらず、本格導入前に問い合わせが必要になる
- 日本語の情報がまだ少なく、公式ドキュメントやヘルプは英語が中心
- ノードが増えると図が複雑になり、大規模なワークフローでは見通しが悪くなりやすい
- 各モデルの利用料は別途発生するため、実際のランニングコストは自分で見積もる必要がある
- ビジュアルツール全般に共通する制約として、細かい制御を求めるとコードで書いたほうが早い場面も出てくる
類似サービスとの比較
| 比較項目 | AgentRunner | Dify | Flowise | n8n |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド/セルフホスト | セルフホスト中心(OSS) | クラウド/セルフホスト(OSS) |
| 主な用途 | AIワークフロー構築とアプリ化 | LLMアプリ開発・RAG | LLMアプリのプロトタイピング | 業務自動化全般(AIは一部) |
| 編集方法 | ノードベースのビジュアル | ビジュアル+設定画面 | ノードベースのビジュアル | ノードベースのビジュアル |
| 環境分離 | 開発/テスト/本番のブランチ管理 | バージョン管理あり | 限定的 | 本番・テストの分離が可能 |
| 外部連携 | 180以上のAPI統合 | ツール連携あり | LangChain系の連携 | 連携数が非常に多い |
こんな人におすすめ
- AIを使った社内ツールを作りたいが、ゼロからコードを書く余裕がない担当者
- プロンプトを試行錯誤する過程をチームで共有し、履歴を残しながら改善したい人
- 複数のLLMを比較しながら、処理ごとに最適なモデルを選びたい人
- 試作で終わらせず、本番運用まで見据えた環境分離やモニタリングが必要なチーム
- 既存の業務システムとAIの出力をつなぎ込みたい人
まとめ
AgentRunnerは、AIの処理を「図」として組み立て、そのまま本番運用まで持っていくことを狙ったワークフロービルダーである。プロンプトチェーン、複数モデルの使い分け、180以上の外部連携、環境のブランチ管理といった要素が1つの画面にまとまっており、試作から運用までの距離が短い。一方で公式サイトに明示的な料金表がなく、日本語情報も限られるため、まずは無料プランで小さなワークフローを1本組んでみて、自分の用途に合うかを確かめるのが現実的な進め方になる。