Vercel(vercel-labs)が公開しているブラウザ自動化CLI。AIエージェントがWebページを開き、クリックし、フォームを埋め、スクリーンショットを撮る─といった一連の操作を、コマンド1行ずつで実行できる。特徴は「AIエージェントが読むための出力」に振り切った設計で、冗長なJSONではなくコンパクトなテキストを返し、要素の指定には @e1 のような短い識別子(ref)を使う。Claude Code、Cursor、GitHub Copilot、OpenAI Codex、Gemini など、シェルコマンドを実行できるエージェントならどれとでも組み合わせられる。2026年1月の公開以降、8月末までに50回近いリリースを重ねている。
主な特徴
- ref方式による要素指定:
snapshotコマンドでページ構造を取得すると、各要素に@e1,@e2といった短いIDが振られる。以降はclick @e1のように指定するだけでよく、長いCSSセレクタやXPathをAIに書かせる必要がない。指定が壊れにくく、やり取りのトークン量も抑えられる - 50以上のコマンド: ページ遷移、フォーム入力、スクリーンショット、PDF出力、JavaScript実行、ネットワーク傍受、Cookie・ストレージ操作、タブ/フレーム制御、アクセシビリティ監査(axe-core、WCAGタグでの絞り込み対応)まで一通り揃う
- Rust製のCLIとデーモン構成: コマンドを叩くたびにブラウザを起動し直すのではなく、常駐デーモンがChrome DevTools Protocol経由でブラウザを保持する。デーモンは1時間アイドルで自動停止し、状態を保存する
- セッションの永続化: Cookie・ログイン状態・プロファイル・プロキシ設定を保持できるため、ログインが必要なサイトを扱う長時間タスクでも毎回認証をやり直さずに済む
- MCPサーバーとしても動く:
agent-browser mcpでModel Context Protocolのstdioサーバーとして起動できる。core / network / state / debug / tabs / react / mobile / all といったツールプロファイルを選び、エージェントに渡すツール数を絞れる - クラウドブラウザとiOS Simulator対応:
-pオプションでBrowserless、Browserbase、Browser Use、Kernel、AgentCore などのリモートブラウザに切り替えられる。Appium経由でiOS Simulator上のブラウザも操作できる
料金
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| OSS(Apache-2.0) | $0 | CLI・デーモン・MCPサーバーを含む全機能。ローカル実行 |
| クラウドブラウザ連携 | 各サービスの料金 | Browserbase・Browserless 等を使う場合は、各社の課金が別途発生 |
料金は2026年8月時点の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
メリット・デメリット
✅ メリット
- 無料のオープンソース(Apache-2.0)で、アカウント登録なしにすぐ試せる(
npx agent-browser open example.com) - 出力がコンパクトなテキストのため、エージェントの文脈(コンテキスト)を圧迫しにくい
- ref方式で要素を指定するので、AIが生成したセレクタが壊れるという典型的な失敗を避けやすい
- CLI・MCPサーバーの両方で使えるため、シェルを叩ける環境ならエージェントを選ばない
- macOS・Linux・Windows向けのネイティブバイナリが配布され、npm・Homebrew・Cargo のいずれでも導入できる
⚠️ デメリット
- GUIアプリではなくコマンドラインツールのため、ターミナル操作に不慣れだと導入のハードルがある
- 更新が非常に速く(2026年1月から8月で約50リリース)、バージョン間の挙動差に注意が必要
- 実行環境にChromeが必要(
agent-browser installでChrome for Testingを導入する手順が用意されている) - リモートブラウザやクラウドプロバイダを使う場合、それぞれの料金・利用規約を別に把握する必要がある
- OSSプロジェクトであり、商用サポート窓口は提供されていない
類似サービスとの比較
| 比較項目 | agent-browser | Playwright MCP | browser-use | Browserbase |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Vercel(vercel-labs) | Microsoft | browser-use | Browserbase |
| 形態 | CLI + MCPサーバー | MCPサーバー | Pythonライブラリ | クラウドブラウザ基盤 |
| 主な使い方 | シェルコマンドで直接操作 | エージェントにツールとして接続 | Pythonコードから制御 | リモート実行環境として利用 |
| 実行場所 | ローカル(リモートにも切替可) | ローカル | ローカル/クラウド | クラウド |
| 料金 | 無料(OSS) | 無料(OSS) | 無料(OSS) | 有料 |
こんな人におすすめ
- Claude Code や Cursor にWeb画面の確認・操作まで任せたい開発者
- E2Eテストやフォーム入力の自動化を、コードを書かずにエージェントへ委ねたい人
- MCPサーバーとしてブラウザ操作ツールをエージェントに接続したい人
- 既存の自動化スクリプトがセレクタ変更で頻繁に壊れて困っている人
- iOS Simulator を含むモバイル環境での表示確認を自動化したいフロントエンド担当者
まとめ
agent-browserは、「人が読むためのブラウザ自動化」ではなく「AIが読むためのブラウザ自動化」に設計を寄せたツールである。ref方式の要素指定とコンパクトなテキスト出力によって、エージェントが少ないやり取りで確実に画面を操作できるようにしている。Apache-2.0のオープンソースで費用がかからないため、まずは npx agent-browser open example.com で挙動を確かめ、常用するなら npm か Homebrew で導入し、MCPサーバーとしてエージェントに接続するとよい。